在宅血液透析(HHD)導入検討されている患者様にとって
在宅血液透析(HHD)1回のリアルな"流れ"
ご興味ありませんか?
というのも、例えばGoogleで…
「在宅血液透析 流れ」
と検索すると、確かに多くの医療機関のHPは見つかります。
が、そこでご紹介されている内容は
在宅血液透析導入"まで"の流れ(手続き上の流れも含む)
勿論、これはこれで大切で必要な内容なのですが
在宅血液透析導入後、つまり
日常生活に落とし込んだ、より具体的な流れ
ではないですよね。
通院血液透析とのわかりやすい違い、例えば…
- シャント肢への穿刺を患者自身で行う (=自己穿刺)
- 透析前の「準備」/透析後の「後片付け」がある
等は、なんとなく聞いたことはあるでしょう。
ただ
日常生活に落とし込んだ、より具体的な流れ
となると、なかなか医療機関のHPでは伝わりにくいのではないでしょうか。
通院血液透析患者は(※私は経験が無いので詳細は不明…)
自分の足、もしくは送迎バス等でクリニックへ到着
そのまま指定のベッド等で横になれば
施設スタッフがシャント肢に穿刺し透析が始まり
透析が終われば、そのまま帰宅できる。
それを
「はい、ではこれからは全部ご自身でやっていただきます」
と言われても、なかなかイメージするのは難しい。
一般社団法人 日本透析医学会HPによると
2019年末時点での透析患者総数は344,640人
うち、在宅血液透析患者数は760人(0.2%)
(参照元:一般社団法人 日本透析医学会)
極論を言ってしまえば、この760人分
760通りの在宅血液透析の"流れ"があると思います。
したがって今回は
あくまで"イチ在宅血液透析(HHD)患者"である私の
在宅血液透析(HHD)1回のリアルな流れをご紹介致します。
現在、在宅血液透析(HHD)導入検討されている患者様が
これからHHD導入検討する際のイメージ作りとして
また
実際HHDを導入開始した患者様が
今後ご自身の「型」を作る上での一つのモデルケースとして
Table of Contents
【在宅透析の流れ】在宅血液透析(HHD)1回のリアルな"流れ"~「準備」から「後片付け」まで
我が家の"前提条件"
在宅血液透析において、介助者は必置。
私の介助者は、妻。言い換えると
妻がいてはじめて、在宅血液透析が施行できるわけです。
その妻は、日中フルタイム勤務する、所謂"オフィスワーカー"
結果、在宅血液透析を施行する時間帯は
必然的に妻が仕事から帰宅してから、つまり夜間帯になります。
在宅血液透析の流れ(全体図)
- 入浴
- 除菌作業(手洗い/テーブル/リクライニングチェア等)
- プライミング_01
- 食事
- 休憩(仮眠)
- プライミング_02
- 体重測定
- 除水量計算/除水量入力
- バイタルチェック
- 自己穿刺
- 穿刺部と血液回路との接続
- 透析開始
- 透析終了/返血/バイタルチェック
- 抜針/止血/バイタルチェック
- 体重測定
- 後片付け/透析機器洗浄
- 休憩/就寝
オーソドックスな流れはこんな感じ。
在宅血液透析の流れ(各論)
今回はあくまで
「在宅血液透析(HHD)1回のリアルな"流れ"」のご紹介なので
各論それぞれについて"深入り"致しません。
各論単体で一つのテーマとして深掘りできるもの、例えば…
- プライミング
- 自己穿刺
- 自己抜針/自己止血
については、深掘った別記事がございますので
ご興味のある方は、そちらをご参照下さいませ。
入浴
私の場合は"基本的"に、入浴は透析「前」。
通院血液透析の場合、医療機関スタッフから
「透析をした日はお風呂は入らないでください」
と、指示されている患者様多いのではないでしょうか。
一般的に透析後は
- 身体が低血圧傾向にあり、入浴により更に血圧が低下する
- 穿刺部位から感染症をおこす
等のリスク回避の観点から、医療機関スタッフの方々は患者様に
「透析をした日はお風呂は入らないでください」
とのご指示を出すのだと、私は理解してます。
しかし
透析前なら、透析をする当日入浴は問題ないでしょう。
妻が仕事から帰宅する前までに
入浴だけでも済ませておこう、ということで
時間帯は、だいたい18:00頃
稀に、例えば妻が仕事休みの日(土日/祝祭日)
日中の明るい時間帯に透析をすることがあります
(※その時の気分や、夜LIVEでスポーツ観戦したい等の理由で)
もちろん、その日は透析後入浴しない、という選択肢もありますが
透析終了後、ある程度(数時間)経過してから入浴する場合も。
しかし、その場合は少々面倒。
先に挙げた
- 身体が低血圧傾向にあり、入浴により更に血圧が低下する
- 穿刺部位から感染症をおこす
透析後数時間経過していれば、血圧低下の面はさほど問題ないとして
穿刺部位からの感染症には注意を払う必要はあります。そのため
穿刺部位に貼ってあるインジェクションパットの上から
清潔なガーゼを複数枚重ね置き、医療用テープで四方を固定
さらに、その上からラップを2、3重巻いてから、入浴します。
(シャワーのみ、湯船には入りません)
除菌作業(手洗い、テーブル、リクライニングチェア等)
入浴が済んだ頃に、妻が仕事から帰宅します。
妻には帰宅して一息ついたら、入浴してもらってます。
その間に私はプライミングを行う、といった流れ。
「除菌作業」は
プライミングをする"前準備"といったところでしょうか。
手洗い
医療機関スタッフの方々は
患者・スタッフ双方の感染予防の観点から医療用手袋を装着しているでしょうが
HHDではその必要性はないでしょう、ということで
素手で諸々の手技を行います。
手洗いは、ハンドソープを使って入念に。
これから自分の手(素手)で、医療機器及び医療備品を扱うわけですから、当然。
テーブル
テーブルは、透析に必要な医療用備品を置いたり
なにより、この上で自己穿刺を始めとした医療行為を行いますので
アルコールティッシュでくまなく拭いて除菌します。
HHD導入にあたっては
「どんなテーブルを用意するか(購入するか)」
で、結構悩むと思います。
医療機関で使用されているテーブルは、そこそこの値段はするでしょうね。
かといって
「テーブル」であればなんでもいい、ということにはならないでしょう
その上で医療行為をするわけですから。
私は、費用面はやむなし
安心安全、医療機関仕様のテーブルを購入しました。
自己穿刺や、透析中の不測の事態に対する処置をするには、やはり
"その目的に合った仕様のものが良い!!"
というのが、9年弱(2021年12月現在)HHDを行ってきた私の感想です。
大袈裟に言えば、命懸かってますからね。
リクライニングチェア
アルコールティッシュでくまなく拭いて除菌します。
テーブル同様、HHD導入時
「どんなベッド or ソファー(チェア)を用意するか(購入するか)」
悩ましいところ。
そもそもまず、自分が透析中、横になる場所を
「ベッド」にするか「ソファー(チェア)」にするか
医療機関では
ベッドとリクライニングチェアが併設されているかと思いますが
(※私のお世話になっている医療機関は、ベッド/チェア併設)
ベッドにせよ、リクライニングチェアにせよ
足元・枕元がボタン操作で動かせるような医療用のもの。
この医療用ベッド/リクライニングチェアは、医療用テーブル以上に高価格。
私にはとても手がでる代物ではありません。
ベッドに関しては
そもそも、ベッドだと場所とる、といった問題はありますが、それよりも
在宅血液透析患者ゆえの理由、つまり専門医療スタッフが不在ゆえ
透析中に起こる事象、例えば各種警報(Ex:静脈圧上限警報)が鳴った場合
患者自身で対処する必要があるわけです。
「フルフラットのベッドで、透析中ぐっすりお休み」
というわけにはいきません。
色々検討した結果
足元、背もたれの角度をボタン操作で行える、
医療用でない"普通の"リクライニングチェアを購入しました。
透析の数時間、自分の身体を安静にする大事な場所となりますので
(数年前お家騒動のあった某家具店の)ショールームに出向き、みっちり吟味して決めました。
ショールームでは、血液透析を想定した"使い心地"を検討するので、客から
「針」だの「血」だの聞かされたフロア担当者の反応が微妙だったのは印象的でした。
それなりに"いい値段"はしましたが、その甲斐あってか
2013年から2021年12月現在までこれといった故障はありません。
ただ、それなりに痛んではきております。
ひざ下が当たる部分の擦り切れは、ご想像できると思いますが
肘掛け部分の右側"のみ"が擦り切れている点は、特徴かと。
私のシャント肢は左
透析中は血液回路を介してコンソールと繋がっているので、自由度は制限される。
再三申し上げているように
在宅血液透析では、患者が全ての手技を患者自身で行う。
自身で上体を起こす場面は、"事あるごとに"ある。
シャント肢である左腕の自由度が制限されている中
その動作の支点となるのは、必然的に右腕、特に右「ひじ」となる。
結果、左に比べて右ひじが当たる部分"のみ"が擦り切れてくる、というわけです。
プライミング_01
「(狭義の)プライミング」をメディカルに正確に説明すると
ダイアライザと血液回路内の微細な塵、膜の保護剤などを洗浄、
回路内を生理食塩液や透析液で充填し空気を除去し、
治療が開始できる状態にすること
引用元: 一般社団法人 S-QUE研究会
だそうですが
HHD患者の認識としては(広義の)プライミング、つまり
"穿刺前の透析機器準備全般"
といった程度でよろしいかと。
もちろん、ちゃんと勉強して理解はしてますが
ほぼ毎日透析する日常においては
メディカル面での細かな工程の違い等までは、あまり意識しません。
メモ
(在宅血液透析について
メディカルで専門的な情報が必要な方は、是非医療機関のサイトをご確認下さいませ。)
(広義の)プライミングの作業工程を細分化すると…
- 液置換
- (狭義の)プライミング
- ガスパージ
となりますが
上述したように、ここで各フェーズに関して深入り致しません。
「プライミング」全般に興味のある方は、下記ブログ記事ご参照下さい👇
食事
先ほど…
入浴が済んだ頃に、妻が仕事から帰宅します。
妻には帰宅して一息ついたら、入浴してもらってます。
その間に私はプライミングを行う、といった流れ。
と申し上げました。ということで
私はプライミングが済み、妻も入浴が終わって
双方落ち着いたら、夕食をとります。
実は、HHD導入当初は、透析「中」に食事をしてました。
今より、透析日数が少なく透析時間が長かったので
透析前に食事時間を設定してしまうと、透析終了時刻がかなり遅くなる計算でした。
ただ
透析中に食事をとらなくなった理由は「時間」だけの問題ではありません。
それは…
透析中の血圧低下で、気分不快が頻発したから
一般的に食事をすると
"食べたものの消化吸収のために、血流が腸の近くに集まり、結果血圧が低下する"
と、聞きます。
施設血液透析では、透析中食事をされる方多くいらっしゃると思いますが
その場合スタッフが、体調の変化を常にチェックしてくれているので、安心でしょう。
しかし、HHDでは
患者が透析中の自身の身体変化をチェックし管理しますので
あえてリスクをとる必要はない。
ほぼ毎日、血液透析をする生活
夕食くらいは、ゆっくり摂りたいですよね。
休憩(仮眠)
食事と透析開始までの間に休憩(仮眠)をいれる理由。
「食事」ところで
一般的に食事をすると
"食べたものの消化吸収のために、血流が腸の近くに集まり、結果血圧が低下する"
と、聞きます。
と書きました。それも理由としてありますが、私は単純に
「お腹一杯だし、眠い…」から。
"食べたものの消化吸収のために、血流が腸の近くに集まり、結果血圧が低下する"
"から"眠くなるのかもしれませんが…
私は透析中、絶対に寝ません❗。
激しい睡魔に襲われますが、なんとしてでも寝ません❗。
HHDでは、透析をする患者のそばに、医療専門スタッフがいません。
HHDで起こる事象の全ては
患者である私の責任のもと行われなければなりません。
"全て患者が行う"ということは
❝透析中は眠れない❞
とも言えます。したがって
「食事と透析開始までの間に休憩(仮眠)をいれる」理由の本質は…
透析中、睡魔に襲われないようにするため
(事前に仮眠をとっておけば、そのリスクを抑えられる)
といったところでしょうか。
【透析中の睡眠】については
下記ブログ記事で詳しくご紹介しておりますのでご参照下さい👇
仮眠をとることの"代償"として
透析開始時刻が大幅に遅れる、つまり
透析終了時刻が大幅に遅くなる、ということが挙げられます。
透析開始時刻が"22:30"となった場合
通常の予定透析時間「3時間」を施行したら
透析終了時刻は深夜"01:30"となります。
"透析終了時刻"というのは…
「予定していた除水or予定していた血液浄化時間が終了し、血液ポンプが止まった時刻」
であって、そこから
返血、抜針、止血、バイタルチェック、後片付け等
結果、就寝時刻は深夜"02:30"は過ぎる??
透析終了時刻が大幅に遅くなる…
私だけならまだしも
介助者で、翌日"通常勤務/通常出勤"を控えている妻には
少々酷な話。
私の現在のHHDスケジュールでは
非透析日は土曜のみ、つまり平日は全て透析を施行
妻の仕事の休みは土曜/日曜祭日。平日は全て出勤
そんな妻が毎日"寝不足続き"で結果、体調を崩してしまっては
元も子もない。したがって
食事の後「仮眠」をとった代償として透析開始時刻が大幅に遅れた場合は
"時短営業"つまり、透析時間を短くします。
現状、通常予定透析時間は「3時間」それを
「2時間半」または「2時間」とします。
週3回の施設血液透析患者様の中には
「2時間透析?短いじゃん!!大丈夫なの?」
と思われる方もいらっしゃるかと思いますが
在宅血液透析で、現在「連日血液透析」を行っております私ですので
その点は、まあ大丈夫かな、との判断です(※主治医了承済)。
プライミング_02
透析準備の最終チェック、といったところでしょうか。
一番気を使うのは、血液回路内の気泡の有無。
このフェーズに関しても先にご紹介した
下記ブログ記事をご参照ください👇
体重測定
正確に測定するため、私は体重計に3回乗ります。
体重計に乗った時の姿勢の微妙や違いで、数値が0.1ズレたりすることがあります。
たがが0.1かと思いますが、この測定値が除水量に関係してきます。
1回目2回目で同値の場合は当然、3回目は計測しません。
除水量計算、除水量入力
除水量を計算し、その値を透析機械のモニター画面で入力します。
除水量の算出は、
参考
(当日の体重-DW)+0.4
施設血液透析では加算分は「+0.2」だと思います。
ちなみに、"加算分"の意味ですが…
血液ポンプが回ることで脱血が始まり、透析が開始されます。
透析開始直後は
プライミングで血液回路内に満たされている生理食塩水約200ml分が、体内に流入します。
つまり
❝水分を200ml飲んだ→体重が0.2kg増えた❞
ことになります。
この分を目標除水量にあらかじめ加算しておくというわけです(※私の認識です)。
さて
なぜ私の場合、加算分が「+0.4」なのか?理由は
透析中に飲水(温かいお茶)するから。
これは単に「喉が渇いた」場合もありますが、主目的は先述した
"眠気防止"
です。
以前は
「温かいお茶=大体100㎖」
と想定し加算分「0.3」だったのですが、最近は(2021年12月現在)
"眠気防止"の更なる効果として
ホットコーヒー☕(ブラック)を透析中に飲むことが多い。
したがって、更に「0.1」の加算により除水量の算出が
参考
(当日の体重-DW)+0.4
となるわけです。
バイタルチェック
バイタル(体温、血圧、脈拍)を測ります。
"血圧やや高めの状態で透析開始する方が、HHDでは安心"
と言われています。
基本的に
透析の経過とともに、血圧は徐々に下がっていきます。
血圧低下による身体からのSOS
その段階で適切な措置をしないと、気を失ってしまう可能性もあります。
施設血液透析であれば、スタッフがモニターを逐一確認し
直接患者本人に「大丈夫ですか?」と声をかけ様子を見ながら
状況に応じた処置をしてくれます。
しかし、HHDでは
客観的なデータ(=モニターのチェック)と
自身の中から発せられるSOSと対話しながら
患者自身で処置をしなければなりません。
そのためには
ある程度の肉体的精神的余裕のある時点で、諸々の判断
例えば、
- 除水スピードを落とすのか
- 除水を一時的に止めるのか
- 血流が頭のほうに行きやすいよう、足を挙上するのか
- 少量の生理食塩水を投与するのか
- はたまた、その日は透析を中止するのか等々
全ては患者自身の判断のもと、処置が行われます。
したがって
「スタート時点では血圧がやや高めのほうが安心」なのです。
自己穿刺
自己穿刺に関しては
既にVTube動画を一本配信しております👇
他にも複数、ブログ記事を投稿しておりますので
よろしければ、そちらをご参照下さい。
⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩
上記ブログ記事に関する内容は
VTube動画として形を変えて、お伝えしていければと(今のところ💦)思っております。
穿刺部と血液回路との接続
自分の体内と"外の世界"が「物理的」につながる…
鉗子をつかって血流を一旦止めて、その間に穿刺部位と血液回路とをつなぎ
しっかりジョイントしていることを確認して鉗子を外し、血流を放つ
自己穿刺同様、シビれる瞬間です。
穿刺部位と接続された血液回路ですが、そこそこ長さがありますので
血液回路の長さが余った分を、うまい具合に曲げて
シャント肢の穿刺部位以外のエリアに、医療用テープで固定させます。
こんな感じ👇
透析開始
施設血液透析では
患者は透析中、思い思いの過ごし方をしながら、4~5時間(※オーバーナイトは除く)
透析が終わるのを待ち、その間
スタッフが巡回しながら、患者一人一人の様子をうかがい
1時間おきにバイタルをチェックしに来られます。
HHDでは(当然ながら)
施設血液透析でスタッフの方々が行ってくれることを、患者自身が全てやります。つまり
透析中も、仕事があります。
30分もしくは1時間おきにバイタル(=血圧・脈拍)を測り
それを「血液浄化記録表」(紙)に記入
加えて
バイタル測定時点の静脈圧/血流量/透析液温度/除水積算量を
同じく「血液浄化記録表」に記入します。
「血液浄化記録表」は記入しやすいように、クリップボードに挟んだ状態で
透析中ずっと、テーブルの上、すぐ手が届く場所に置いておきます。
透析中のバイタルチェックについて
血圧計は腕帯(マンシェット)巻きつけタイプで、透析機器本体背面からコードが伸びてます。
透析中自由に動かせるのは、シャント肢"じゃない側"の腕、つまり血圧を測定する側の腕なので
マンシェットをはめっぱなしだと少々都合が悪い。
バイタルチェックのたびにマンシェットを着脱する手間はあります。
ただ実際は
自分の腕回りに合わせたマンシェットを、あらかじめ輪っか状にしておいて、そこに腕を通します。
透析終了/返血/バイタルチェック
透析終了のブザーが鳴ると、返血の工程にうつります。
体外の血液回路内には、約200mlの血液が残ってます。
ゆっくり100ml/minのペースで体内に戻してあげます。
透析後半、血圧が下がるなどして気分不快があるときは
この200mlの自己血液が戻ってくることで
ジワーっと、身体全体が少し落ち着いてくる感覚があります。
返血が終わったら、バイタルを測ります。
収縮期血圧が極端に低く、気分不快がある時
少量の生食食塩水を投与するよう指示はされてますが
その機会は、ほぼないです。
そもそも
透析中に、あまりに気分不快が続いたら
その日は透析中止しますから。
抜針/止血/バイタルチェック
「自己抜針」と「自己止血」
私個人的には
HHD患者に技術面・精神面で、ある程度のレベルのものを要求される
と思ってます。
詳細は下記ブログ記事ご参照下さい👇
圧迫止血開始から約10分経過後
穿刺部位からの出血がないことを確認したら、そこにインジェクションパットを張ります。
私はその後
聴診器で、シャント肢の「音」を確認します。
※My 聴診器(ネーム入り)
VA(=バスキュラーアクセス)、前腕部、上腕部、各々複数個所。
透析患者にとって、シャントは「命綱」
少しの変化も、見逃せませんから。
問題なければ、最後のバイタルチェック。
施設血液透析の場合
最後のバイタルチェックで、血圧が低かったり、気分不快があるようなら
状態が落ち着くまで、そのままベッドで横になったり座ったりすること、あるかと思います。
私の場合は、近くに布団を敷いてもらっているので
透析用のリクライニングチェアからゆっくり移動して
その布団で横になり、状態が落ち着くのを待ちます。
体重測定
体重を測り、測定値を経過表に記入。
透析前体重と後体重との差異も経過表に記入します。
気分不快なく透析が終わった日は、リビングテーブルへ移動し
そこでホッと一息つきます。
後片付け、透析機械洗浄
やっと、Coffee Break!
といきたいところですが、もうひと踏ん張り。後片付けをします。
透析機器に取り付けていた使用済みダイアライザーと血液回路を外し
それを小さくまとめて、新聞紙等でしっかり包みます。
(実際は、妻にやってもらってます💦)
在宅医療の廃棄物処分についての詳細は
下記ブログ記事ご参照下さい👇
透析機器の洗浄については、ボタン一つ押すだけ。寝てる間に終わります。
(注:薬液補充は忘れずに)
就寝中の透析機器洗浄"音"についても
下記ブログ記事ご参照下さい👇
休憩、就寝
やっっっっと、終わりました、フ~っ。これで、身体を休めることができます。
ゆっくり温かいお茶を飲んで、敷いている布団で少し横になります。
日付はすでに変わっているので、すぐベッドで就寝したいところですが
私、皮膚が少々弱いんですね。
処置キットにあらかじめ入っているインジェクションパットは、皮膚への粘着性が高く
透析後の穿刺部位に貼るには非常に優れているのですが
私の場合、長時間貼っていると、皮膚がかぶれてしまうのです。
そのため
より接着面積が小さく粘着性も弱いインジェクションパット
(一般的な健康診断の採血後に貼るタイプのもの)に張り替えてます。
ただ
しっかり止血したつもりでも、数分経って出血したり
張り替え時でも、まだちょっと出血してること、ままあるので
すぐにでも寝たいところ、少なくとも30分以上は、リビングで時間を過ごします。
とはいえ
それでも、透析後の気分があまりに優れない時は、そのままベットに直行。
パットのことは、諦めます。
まとめ
在宅血液透析導入を決めてから
自宅での血液透析開始に至るまでには
管理医療施設でみっちりトレーニングを行います。
そこでは
透析機器の操作方法や手技は学べます。
ただ
実際、自宅での血液透析生活が始まると
色々勝手が違うことも出てきます。
結果として
ある程度の"自由度"は許容されるかなと。
透析ルームはオーダーメイドですし
スケジューリングは自由。もちろん
管理医療施設側からのルールを厳守した上で…
ただ
この「自由」という言葉を履き違えはいけません。
2006年サッカーWCドイツ大会へのぞむジーコジャパン
当時チームの中心的存在であった中田英寿の言葉
自由ということはその分選手一人一人が担う責任が大きくなる
在宅血液透析も同じ。
自由に決めていいですよ、と言われたと同時に
決めたルールや仕様に対し、患者自身で責任を負う必要はあります。
その責任とリスクを負った上で初めて
施設血液透析にはない
在宅血液透析のメリットを享受できるのです。
まだまだ諸外国に比べてHHD普及率の低い日本ですが
一人でも多くの患者様がHHD導入されること、願っております。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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