在宅血液透析(HHD)を行う患者は
血液透析に必要な医療備品の在庫管理及び発注業務も
患者自身で全て行います。
在宅血液透析に必要な医療備品としては
[su_box title="在宅血液透析に必要な医療備品" style="soft" box_color="#82edfd"]
- 透析液
- 生理食塩水
- ダイアライザー
- 血液回路
- ヘパリン(抗凝固剤)
- 穿刺針
- 消毒綿(ヘキシジン)
- 消毒キット
- シリンジ
- 洗浄用次亜塩素酸
- 洗浄用酢酸
[/su_box]
ざっとこんな感じ。このうち
[su_note note_color="#82edfd" text_color="#000000"]
- 消毒キット
- シリンジ
- 洗浄用次亜塩素
- 洗浄用酢酸
[/su_note]
これらは、毎月発注するような備品ではありません。
「消毒キット」は1ロット360個
毎回の透析で使用するとはいえ、360パックもあれば1回の発注でしばらく、もつ。
「シリンジ」は1ロット100本
透析中、静脈圧が上昇し、その原因が返血側針先に血栓が形成された(であろう)場合に使用する。
頻度はさほど高くないので、これも1回の発注でしばらく、もつ。
「洗浄用次亜塩素」の内容量は1本1800㎖
毎回の透析後の透析機器自動洗浄の際使用。
「洗浄用酢酸」の内容量は1本500㎖
自動洗浄の際週一回、次亜塩素酸消毒に加え酢酸洗浄が行われる際に使用。
こちらも、毎月発注するような備品ではない。
つまり、毎月発注をかけるのは
[su_note note_color="#ffb7b8" text_color="#000000"]
- 透析液
- 生理食塩水
- ダイアライザー
- 血液回路
- ヘパリン(抗凝固剤)
- 穿刺針
- 消毒綿(ヘキシジン)
[/su_note]
そして、今回フィーチャーするのは
ポイント
- 透析液
- 生理食塩水
「透析液」「生理食塩水」のメーカー配送担当者。
「ダイアライザー」他、それ以外の透析備品は宅配業者が配送してくれ
もちろん、宅配業者の方にも感謝申し上げますが(荷姿はそれなりに大きい)
今回は御免なさい。
[su_box title="補足" style="soft" box_color="#6284ff"]
なぜ、このタイミング(2022年4月時点)で、あらためて
「透析液」「生理食塩水」のメーカー配送担当者のお話をするか。
2022年4月6日㈬配信したVTube動画(TALKS)でお話した通り
「透析液/生理食塩水」メーカーからHHD管理医療施設へ、突然
[su_note note_color="#000000" text_color="#ff2323"]
物品は原則、"玄関渡し"とする
[/su_note]
との通達があったようで。
メーカー側の事情も多いにあることは推察され(上記TALKSで軽く触れてます)
致し方ない面はあるでしょうが
患者側からすると、非常に厳しい…
なぜ私的に「非常に厳しい」のか
「透析液/生理食塩水」配送担当者様のこれまでの仕事ぶりをお伝えすることが
一番分かり易いかと思いまして、この度
過去記事を一部Re-Writeしたものをアップしました。
HHDを支える影の立役者「透析物品配送担当者」をフィーチャーする
はじめに
参考情報として、恥ずかしながら
我が家の立地を、簡単にご紹介しておきます。
後にご紹介する物品運搬業務が、いかに大変かが理解しやすいかと思います。
道路沿いの駐車場から、一度階段を降りてもらいます。
「16段」降りた先に、居住建物があります。
狭い玄関を入り、約4mの狭い廊下の先に、2階へ繋がる階段が。
「14段」を上った先の奥の部屋が透析室、そこに備品庫があります。
備品庫といってはいますが、要するに押入です。
透析室として使っている部屋が元々和室だったこともあり
押入という丁度良い収納スペースがあったわけです。
仕事内容
大型トラックで来訪し、何をして頂くかというと
注意ポイント
- 透析液の空ボトル及び空段ボールの回収
- 透析液・生理食塩水の運搬
- 透析液・生理食塩水の備品庫への収納
大きく分けると、こんなところでしょうか。
行動内容
透析液の空ボトル及び空段ボールの回収
使用済み透析液の空ボトル及び空段ボールは
空ボトルを元の段ボールに入れた状態で、透析室の脇スペースに積んでおります。
2階まで上がって頂いて、これら全てを一旦、玄関まで下ろします。
中身が空で重さはないですが、一つ一つがかさばるので
どうしても2~3往復はされてます。
玄関を出て
今度は外階段を2~3往復して、全ての空箱を配送車内へ運びます。
透析液・生理食塩水の運搬
6㍑と9㍑の透析液。
A液とB液があるので、段ボール1つの重さは
[su_box title="透析液" style="soft" box_color="#20fcfc"]
- 6㍑→約12㎏
- 9㍑→約18㎏
[/su_box]
生理食塩水は1パック1.5㍑、1つの段ボールに5パック
段ボール1つの重さとしては、約7.5㎏。
近年で一番大変だったであろう個数は
新型コロナの影響による物流系統の乱れを懸念し
通常より発注数多くなった時。
データ
- 透析液6㍑×15セット
- 透析液9㍑×8セット
- 生理食塩水×9箱
これだけの量を運搬するわけです。
まずは、配送車から全て荷下ろしし、そこから
生理食塩水を2個ずつ
透析液6㍑は1個、状況に応じて2個ずつ
透析液9㍑は(さすがに)1個ずつ持ち
16段の外階段を下り、玄関に置き
今来た16段の外階段を再度上り、荷下ろしした荷物を持ち
また今来た16段の外階段を下る・・・
我が家の玄関は狭く
これだけの量と重さの段ボールを積み置きするのも大変でしょうが
上手い具合に仮置きしているようです。
さて
配送車から荷下ろしした荷物を全て玄関まで運搬したら
息つく間もなく、2階の透析部屋までの運搬作業が始まります。
玄関から階段までは、約4mの長さの狭い廊下。
外階段よりも段差は若干高め、道幅は狭く
形状も180度右回りしているので、少々窮屈かと思われます。
透析液・生理食塩水の備品庫への収納
前述したように、我が家の備品庫は元押入。
一階部と二階部に分かれ
- 二階部に生理食塩水
- 一階部に透析液
収納して頂いております。
生理食塩水
まず、生理食塩水を運んでいる様子。
生理食塩水は備品庫二階部に、高さ的にはMAX8個(4段重ね)収納可。
何度か階段の上り下りを繰り返し、次に透析液6㍑タイプの運搬へ。
透析液
6㍑タイプとはいえ1セット12㎏あるわけで
基本的には1個ずつ2階に運ぶんでしょうが
(これは憶測ですが)数が多く、それでいて先を急ぐ必要がある時には
2セットつまり24㎏を抱えて階段を上っていきます。
備品庫一階部はスペース的に、透析液6㍑タイプがMAX16セット、収納可。
9㍑タイプと6㍑タイプは、高さに微妙なズレがあるので
備品庫内には6㍑タイプ、9㍑タイプは備品庫外の空きスペース
といった配置をとって頂いております。
2階へ運んだら、そのまま備品庫へ収納してくれます。
一階部の奥まった所から順々に、きれいに並べてくれます。
12㎏のものを持って身体を屈むのも、大変そう。
残ったのはボスキャラ、透析液9㍑タイプ。
これはどうやっても1セットずつの運搬。
透析部屋の空きスペース一角に
血液回路が梱包されていた段ボールを潰したものを、目印として敷いているので
そちらへ順々に運搬し、積み上げくれています。
全ての荷物の運搬が終了、私から納品書へのサインを貰って、お帰りになられます。
さすがに疲労感は隠せませんが、そこはプロフェッショナル。
「ありがとうございました!」の言葉を残し、去っていくのでした。
参考
先述した「近年で一番大変だったであろう個数」
この日、運搬した総重量
180㎏(透析液6㍑×15セット)+144㎏(透析液9㍑×8セット)+67.5㎏(生理食塩水×9箱)
=391.5㎏!!
まとめ
数年前(何年前か忘れてしまいましたが…)HHD管理医療施設から
「在宅血液透析関連の物品配送」に関する現状について
文書を頂きました。その内容は…
全国に目を向けると、幾つかの問題も生じてきているようなのです。
今までは、HHDを導入する患者の総数が極めて少なかったため、物品配送については
各医療機器・薬剤メーカー、各医療機器卸業者、各医療機関の❝善意❞として実施されていたようで。
在宅血液透析という特殊な医療が全国的に少しずつ拡がりを見せつつある現状は
透析患者としては非常に喜ばしい傾向であることは間違いなのですが、その反面
その患者数の増加に伴い
これまで通りのロジスティクス体制を維持することが難しくなってきている、とのこと。
実際、ほとんどの医療機器・薬剤メーカー、医療機器卸業者が
患者宅への配送を中止する方向で検討に入っていたり
各医療機関においても
患者宅への配送の中止や、患者からの配送料の徴収を開始しているところもある、とか。
幸運なことに、私の場合
お世話になっているHHD管理医療機関の医院長はじめ関係者の方々が
できるだけ患者への負担がない形での物品配送継続を模索して下さり
各メーカーや配送業者、行政機関等との話し合いを行った結果
これまで、何とか患者への金銭的な負担はなく物品配送を継続して頂いている
というのが現状なようです。
冒頭で、「透析液/生理食塩水」メーカーからHHD管理医療施設へ、突然
[su_note note_color="#000000" text_color="#ff2323"]
物品は原則、"玄関渡し"とする
[/su_note]
との通達があったこと、ご紹介しましたが
全国的には、本来の物品配送は(残念ながら)
[su_note note_color="#ff2323" text_color="#000000"]
"玄関渡し"
[/su_note]
が原則のように見受けられます。
にも関わらず私の場合は、建物立地やレイアウトの問題とはいえ
当該配送担当者(配送業者)のご厚意で、指定場所まで配送して頂いております。
以前、主治医から聞いた話では、患者の中には
備品庫等、指定場所まで配送して下さる担当者のご厚意に"甘え過ぎ"て
備品庫内に残る透析液/生理食塩水の在庫を、そのままの状態、つまり
在庫分の出し入れをも担当者に強いている方もいるとか(いないとか)…
(事情はあろうかと思いますが)それは、いけません。
したがって、私は配送日前日の夜までには
少なくとも、備品庫内に残る在庫(特に透析液)は全て外へ一旦取り出して
収納スペースはほぼ空の状態にだけは、しております。
"現在の透析環境が未来永劫続くわけではない"
透析備品のロジスティクス体制に関しても、例外ではない。
HHDに携わる多くの関係者の方々のご尽力により
今こうして恩恵を享受しているわけです。
とはいえ
「はい、今日から配送は玄関までで」と言われたら。
あれだけの数と重量を運ぶこと、正直厳しい…
- 発注の際、重い9㍑タイプを避け、6㍑タイプに統一する
- 段ボールからA液B液を取り出し、それぞれで2階へ運搬する
介助者である妻との話ででた"代替案"は、こんな感じ。
患者として、やれることは致しますが、本音のところは
HHDに携わる関係者様方の間で
特定の領域に負担が集中することのない「落としどころ」を
見つけて頂き、調整して頂くことを、願っております。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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