先般、在宅血液透析外来時
「在宅血液透析介助者の実態調査」に関する研究へのご協力のお願い
と題したアンケート用紙を頂きました。
目的については、下記のような記載がございました。
1. 研究の目的と意義について
日本で在宅血液透析を希望された場合、原則として患者様自身が行うことと介助者様がいることが条件となっています。介助者様へのご負担に対する医療者の支援体制は、施設によって様々です。今回、介助者様のご負担や施設からの支援について実態調査を行い、介助者様への支援方法の確立に向けた医療者の課題を明らかにしたいと考えております。
実施機関は、「一般社団法人 日本在宅血液透析学会」
こういった、在宅血液透析に携わる医療者様方のご尽力のお陰で
私は今、在宅血液透析を施行し、その恩恵にあずからせて頂いている…
改めて、感謝申し上げます。
実態調査の対象は、"研究の目的と意義"を見て明らかなように
「現在」在宅血液透析を施行する患者の「介助者」。
勿論、私の介助者である妻には協力をお願いしたところ。
私も内容を一読致しました、そして思いました…
「このアンケート内容は、これから在宅血液透析導入を検討する患者様並びに介助者となる予定の方々にも、非常に有益ではないか?」
当該アンケート実施機関の"研究の目的と意義"とは異なりますが
多くのCKD患者様の一助にと、現在情報発信活動を行っている
"イチ素人"の独断としてm(__)m
内容の一部、特に
「在宅血液透析介助者の役割と負担」が垣間見れる部分を
私の独断と偏見による簡単な考察も交え、ご紹介したいと思います。
ちなみに、我が家の場合
私の在宅血液透析管理医療施設の場合、と言ったほうが良いかもしれませんが
在宅で血液透析を行うに必要な手技は全て患者本人が行う、との前提のもと
導入トレーニングは、患者本人"のみ"が行います。
つまり、介助者である妻は、トレーニングを受けておりません。
私が導入したのは、かれこれ約9年前(2022年4月現在)
色々、状況は変わってる可能性はありますが…(未確認)
これからご紹介するアンケート内容には
在宅血液透析導入トレーニングを受けている介助者を前提とした問いが、多く含まれます。
介助者トレーニング実施の有無
全国的に見て、どちらが多数派かは存じ上げませんが…
私の考察には、上記点が加味されている旨、ご了承下さいませ。
Table of Contents
アンケートから見る、在宅血液透析"介助者"の役割と負担
在宅血液透析介助者の、主に現在の(HHD導入後)役割に関して
Ⅲ.あなた自身が行っている在宅血液透析の介助について教えてください。
⑴実際にあなたが指導や説明を受けた事や実際に実施している事に〇をつけてください。
知識
- 腎臓や慢性腎臓病について
- 透析のしくみ
- 透析患者の自己管理
準備
- 物品の準備
- プライミング
治療開始
- 穿刺の介助
- 回路の接続
- 開始の機械操作
治療中
- 血圧測定
- 機械のチェック
- 警報の対処
- 食事の支度
- 記録
治療の終了
- 終了の機械操作
- 抜針の介助
- 機械の片づけ
- 機械の清掃
その他
- 物品請求時の確認
- ゴミの処理
- 定期メンテナンス時の同席
- トラブル時の報告
- 食事の管理
- 内服薬の管理
参考まで、我が家での状況を簡単にご紹介させて頂くと…
(準備)物品の準備
介助者である妻には毎回の透析前までに、6㍑/9㍑の透析液を
格納してある備品庫からコンソール横まで運んでもらってます。
(透析中)血圧測定/記録/警報の対処
マンシェットを自分で腕に巻き、血圧を測定、結果を記録表に記入する…
自分で全く問題なくできるのですが
私の体調の様子見も兼ねて
妻が行ってくれることは、あります。
「警報の対処」
本来は非常に重要な行為であり
トレーニングを受けている私が直接"手を下す"のが必然ですが…
リクライニングチェア、ほぼフルフラットな状態で透析施行中の警報📢
当然、大きな警報音が鳴ります、そして鳴り続けます。
透析施行中の私が、コンソールのディスプレイ操作を行うには
私自身が立ち上がる必要があります、なぜなら手が届かないから。
急いで背もたれを戻し、上体を起こし立ち上がり、ディスプレイ操作を行う…
全く不可能は所業ではありませんが
>急いで背もたれを戻し、上体を起こし立ち上がり
そう早く、コトは進みません。
その間、警報音は鳴り続けます。
我が家での警報音、その多くは「静脈圧上限/下限警報」
もちろん軽視してはいけませんが、その原因はわかっていて
「一先ず、警報音を消し、警報をリセット」すれば良い(と思っている)ので
近くにいる妻が、私の操作指示に従い
実際にディスプレイ操作を行ってもらっている、というのが
我が家の実状です。
(治療の終了)終了の機械操作
「警報の対処」同様、本来は非常に重要な行為であり
当然、ディスプレイ操作が必要。
さて、言わずもがな
透析後半から透析終了時にかけて
患者の血圧は低下傾向にあります。
その状況でディスプレイ操作を行うため、私自身が
>急いで背もたれを戻し、上体を起こし立ち上がり
ことは、(全く不可能は所業ではありませんが)
出来る限り、避けて然るべき?との実体験から
「警報の対処」同様
近くにいる妻が、私の操作指示に従い
実際にディスプレイ操作を行ってもらっている、というのが
我が家の実状です。
(治療の終了)機械の片づけ/機械の清掃
このフェーズになると
患者である私(人間)とコンソール(機械)とは"物理的に"繋がっておりません。
患者(人間)とコンソール(機械)とが"物理的に"繋がっている
「透析開始~透析中~透析終了~返血」に比べると
患者の命に関わる危険性は、グッと低くなる。
我が家では、妻が「機械の片づけ/機械の清掃」を行ってくれているお陰で
患者である私は、透析終了後にすぐ、身体を休めることができています。
(その他)物品請求時の確認/ゴミの処理
物品の発注数を確定させ実際に発注するのは、勿論私が行っておりますが
近年は、発注前の"棚卸し作業"は、妻が行ってくれています。
発注数を確定する際、自ら在庫数を確認する手間が省け
非常に助かっています。
「ごみの処理」については「機械の片づけ」と関連します。
「機械の片づけ」つまり、使用済のダイアライザー&血液回路等を
我が家では妻が新聞紙を使って、何重にも巻いて梱包してくれています。
その流れで、自治体指定のゴミ袋に入れて
然るべき時に、ゴミ出ししてくれています。
在宅血液透析介助者の、トレーニングに関して
Ⅳ.在宅血液透析の介助を始めてから現在のあなた自身のことについて教えてください。
⑴在宅血液透析を決める前の事について伺います。
(1-1) 在宅血液透析を決める前の 医療者からの説明は十分にありましたか。
(1-2) 在宅血液透析を決める前にもっと知っておきたかったと思うことがあれば記載してください。
⑵在宅血液透析トレーニング中の事について伺います。
(2-1) 在宅血液透析導入トレーニングはいかがでしたが
(2-2) (2-1)で「とても大変だった」「大変だった」と答えた方に伺います。大変だったことは何ですか。あてはまるものがあれば〇をつけてください。
- 知識や技術の習得
- トレーニングのための時間の確保
- トレーニングのための通院
- 自宅環境の調整
- 患者との関係
- 医療者との関係
その他大変だったことがあれば記載してください。
"イントロダクション"の「参考」部分でお話しましたが
ここは、我が家では行っていない部分。
実際行っていないことを、とやかく申し上げることはできかねますので
ここでの発言は、控えさせていただきます。
内容のみ、ご参照下さいませ。
在宅血液透析介助者の負担に関して
⑶在宅血液透析を開始してから現在までの事について伺います。
(3-1) 在宅血液透析の介助を開始してから「大変だ」「困った」と思ったことはありますか。あてはまるものがあれば〇をつけてください。
- 開始直後から介助に慣れるまでの手技習得
- 物品管理
- 透析機器変更時の再訓練
- 使用物品変更時の対応
- トラブルへの対応
- 透析中以外の体調不良時の対応
- 透析中の血圧などの変化の対応
- 責任感の重さ
- 自分の時間がない事
- 生活の変化
- 自分の体調不良時の介助
- 他の家族の生活と介助の両立
- 他に頼める人がいない
- 経済的負担
- 在宅血液透析を行う本人や医療者との関係
この他に「大変だ」「困った」と思うことがあれば記入してください。
(3-2) 在宅血液透析を介助する中で「大変だ」「困った」と思う時に相談する人すべてに〇をつけてください。
- 在宅血液透析を行う本人
- 家族
- 友人
- 医師
- 看護師
- 臨床工学技士
- その他
- 相談する人が見つからない
- 困っていても相談していない
(3-3) 在宅血液透析管理施設では面談等あなたと話しをする機会を設けていますか。
(3-4) 在宅血液透析管理施設ではあなたと他の在宅血液透析を実施する介助者の方と話しをする機会を設けていますか。
(3-5) 在宅血液透析管理施設ではあなたが休息できるように施設で透析をする機会を設けていますか。
(3-6) 在宅血液透析を受けている方と今後の透析治療や生活について話すことはありますか。
問いの内容を一読した感想としては、アンケート実施機関側は
在宅血液透析介助者の「心的負担」を非常に危惧してるように見えます。
この「心的負担」については、もしかして
- 在宅血液透析導入トレーニングをした介助者
- 在宅血液透析導入トレーニングをしていない介助者
で差異がある可能性はありそう。つまり、我が家がそうであるように
在宅血液透析導入トレーニングをして"いない"介助者の場合は
原則、在宅で血液透析に必要な手技は行わない。
一方、在宅血液透析導入トレーニングを"した"介助者の場合は
"それ相応の役割"が求められているのではないか、と勝手に推察してます。
(3-7) 在宅血液透析の介助者となって思うことがあるようでしたら〇をつけてください。
- 食事が自由になった
- 在宅血液透析を受ける本人が元気になった
- 治療効果がわかる
- 本人や医療者と信頼関係がよくなった
- 以前より自分の時間が作れる
- 治療の役に立っていると感じる
その他在宅血液透析を行ってよいと思うことがあれば記載してください。
我が家は、といいますか、私の場合は
これまでも再三申し上げているとおり…
慢性腎不全から先行的生体腎移植
移植腎廃絶から通院血液透析を経ず、在宅血液透析導入
という、オーソドックスとは言い難いルートを辿っております。
私事ですが、妻とは在宅血液透析導入の約2年前に入籍、生活を共にしています。
勿論、その間は移植腎が廃絶に向かっている時期。
移植腎廃絶直前には「急性心膜炎」を発症し入院する等
妻には多くの負担をかけたと思います。
が、ここでの問いは、察するに
長らく通院血液透析をされた患者様が、在宅血液透析を導入して、どのような変化が生じましたか?
という点に主眼が置かれている感がありますので
この辺りも考慮し、ここでの発言は、控えさせていただきます。
内容のみ、ご参照下さいませ。
(3-8) 在宅血液透析を開始してからの医療者のサポートは十分ですか。
(3-9) あまり十分ではない、十分ではないと答えた方に伺います。十分ではないと思うものに〇をつけてください。
- 慣れない技術
- 機械や手技トラブルの対応
- 物品の管理
- ゴミの処理
- 介助のための自分自身の生活調整
- 介助のための他の家族との生活調整
- 介助による精神的ストレス
- HHD実施上の役割調整
- 在宅血液透析を受ける本人の体調の変化と管理
- その他
⑷現在やこれから希望するサポートがあれば〇をつけてください。
- 介助者への心理的サポート
- 介助休息のための施設透析
- 開始や終了時の訪問看護の利用
- 最新医学情報の提供
- 在宅血液透析を受けている本人への心理的援助
- 在宅血液透析を受けている本人への教育的援助
- 在宅血液透析の介助に関係する情報提供
- 他の在宅血液透析患者との交流の場
- 他の在宅血液透析介助者との交流の場
他に希望するサポートがあれば記載してください。
在宅血液透析患者のみならず、その介助者に対しても
より良いサポート体制を構築していこう、とする
医療者側の、有難くも積極的な姿勢が伺えます。
非常にありがたい。
幸い、今のところ我が家(妻も含め)では
ここでご紹介されている医療者側のサポートの必要性は感じることはありません。
ただ、一点
"ホッとな話題"としては…「物品の管理」
察するに、ここでいう「物品の管理」は
自宅内に大量に保管しておく必要のある
透析備品の管理について、ということになろうかと思いますが…
広義の「物品の管理」という点でいうと
"物品配送"について
是非、これらVTube動画をご参照頂きたいのですが…
医薬品の個人宅配送については契約上患者様宅の玄関先までとなっております。居宅内への医薬品の配送は致しかねますのでご理解の程申し上げます。
透析液メーカーからHHDクリニックへの突然の通達。
あの重い透析液を今後
一階から二階へ患者側が運ばなければいけないことを意味します。
配送業界の厳しい状況の一端は、メディア等で見聞きしているので
負荷が配送業者に傾いてる現状を回避するため、致し方ないと理解しますが
患者サイドの本音としては…非常に厳しい💧
今後、関係者様方で、患者負担のより少ない
"落としどころ"を見つけて頂くこと、願っております。
⑸今後も在宅血液透析の介助を続けたいと思いますか。
- 思う
- まあ思う
- あまり思わない
- 思わない
妻が
「あまり思わない/思わない」
と思っていたら、どうしましょうか💦
まとめ(参考動画ご紹介)
2020年末時点での在宅血液透析患者数は751人(参照元:日本透析医学会)
つまり、これは大袈裟ではなく
751通りの"家族模様"があるわけです。
- 患者と介助者との関係性
- 二人を取り巻く環境
- 患者/介助者と親族含め関係者様との関係性
- HHD導入に際しての、介助者トレーニングの有無
挙げたらキリがありません。
何が申し上げたいか…
我が家以外のことを、私がとやかく申し上げることはできない、ということ。
ということで、在宅血液透析介助者に関し
「あくまで、我が家ではこんな感じ」ということがわかる
VTube動画を配信済でありますので
興味がある方は、是非ご参照頂ければと思います。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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