在宅血液透析(HHD)導入から、もうすぐ丸8年。
透析回数も《2000》まで、カウントダウン状態。
"標準血液透析"(週3回3~6h未満)の場合、約14年を要するところを
血液透析導入から、たった8年も満たない年月で
その回数《2000》を経過しようとしております(※2021年5月25日現在1993回)
週6回3h(非透析日㈯のみ/㈰は4h)
"連日血液透析"(Dairy Hemodialysis)の恩恵を与る一方で
「デメリット」もございます、それは
頻回の穿刺や接続による❝VAの荒廃リスク❞
そのリスクをできるだけ回避するためには
新たな穿刺可能領域の開拓は必要、と私は考えます。
そこで今回は、新規開拓の一環として先に行われた
自己穿刺の"逆刺し"について
その「キッカケ」から「失敗」そして「リベンジ成功」までの過程を
Table of Contents
【在宅透析と穿刺】自己穿刺"逆刺し"リベンジ!! 「失敗」から「成功」への道程を振り返る…
穿刺部位"新規開拓"の必要性
現在、月に2~3回
"シャント外来"を受診しております。
といっても、私にとってはそう特別なものではなくて…
2002年末、母をドナーとした先行的生体腎移植手術を受けた私。
当時の主治医にシャントを診て頂いている、ということ。
在宅血液透析を診て頂いている主治医と"棲み分け"して頂いているわけですね。
シャント外来時、昨年あたりからでしょうか
「この辺りは(針)刺し過ぎてるから、もう刺さない方がいいね。」
と指摘される領域が、ちらほら出てきました。
そのことは、穿刺可能領域(選択肢)が狭まることを意味します。
「返血側」穿刺部位の"新規開拓"についていは、先にブログでご紹介致しました。
一方で
「脱血側」穿刺部位の"新規開拓"となると、領域が限られるのが現状。
私の自己穿刺は"末梢"から"中枢"方向、分かりやすく申し上げると
針先を自分自身に向けて皮膚及び血管に刺し、針を押し込む、というもの。
「ここは行けるんじゃない?」
外来時、担当看護師さんからご指摘を頂いた領域がありました。
しかしながら、です…
"シャント外来"の医療機関は「通院血液透析」のみを行う所。
担当の看護師さん、もちろんHHDや自己穿刺に関する知識はおありでしょうが
「自己穿刺をする患者目線」という部分では
"HHD外来"の"HHD担当臨床工学技士"さんとは、やや差異はあるかな、と。つまり
看護師さんの仰る「行ける(刺せる)」というのは
医療者が患者(他者)を穿刺するには、さほど問題ない所でも
患者が自己を指す、となると実は難しい…
"新規領域"をご提示して下さるのは大変助かるのですが
いざ自分自身がやるとなると"腰が引ける"場所だったりするんです。
その"腰が引ける"要因が「逆刺し」つまり"末梢"から"中枢"方向の逆
"中枢"から"末梢"方向、分かりやすく申し上げると
自分の身体の"手前"から"指先方向"に針先を向けて
皮膚及び血管に刺し、針を押し込む、というもの。
HHD導入から8年間
これまでに「やったことない」わけではないのですが
非常にテクニカルであったことは覚えている。
しかしもう、背に腹は代えられない…
いよいよ穿刺!しかし…
そもそもなぜ「逆刺し」をする必要があるのか。
原因は、血管の走行にあります。
真っ直ぐの走行の血管が、途中で蛇行している場合
蛇行"手前"から真っ直ぐ穿刺すると当然
血管の「壁」にぶち当たり、針先をそれ以上先に進めることは困難。
当該穿刺領域は、そういった事情がある。
しかし、血管が曲がった領域"から"
血管が真っ直ぐ走行している方向へ針を刺すことができれば良い。
問題は、刺す方向が逆、つまり「逆刺し」をする必要があるというわけです。
いよいよ穿刺!!
穿刺手技の全てが「逆」ですから、やはり勝手が違う。
穿刺針の持ち方は当然違う
皮膚に"張り"をもたせるためのテープを貼る方向も逆
大いなる不安を抱えたまま「ブスッ!」と一刺し…あれ??
脱血確認が取れない、つまり内筒(金属針)が血管を捉えていない。
既に、嫌な汗が全身を流れる、当然痛みもある。
刺してしまった以上、何とか成功させたいとの思いで、更に針を押し進める
痛い!ただただ痛い!!
これは完全に「外し」てしまったようです。
諦めて抜針
内筒が血管を捉えすらしていないので、出血も殆どありませんが
メンタルダメージは大きい…
とはいえ、別のところを穿刺してでも透析は行わなければいけないので
気持ちを奮い立たせ、その日は別の領域へ穿刺、透析を終えました。
担当臨床工学技士さんからのアドバイス
「逆刺し」を失敗した日の翌日、ちょうど"HHD外来"の日でしたので
HHD担当の臨床工学技士さんに「逆刺し」についてのレクチャーを賜りました。
そこでわかったこと、まず前提として
同クリニックでは、基本的に在宅では「逆刺し」を推奨していない、ということ。
それだけ、自己穿刺をする側にとっては技術的に非常に難しいということか。
しかし、穿刺する領域が限定的な患者様に関しては
やむを得ず「逆刺し」を施行されているHHD患者様もいる、とのこと。
「逆刺し」であれ、通常の穿刺であれ、自己穿刺の場合は
全ての手技を"片手"で行う、これが一番難儀なところ。
今回の「逆刺し」関して言えば、例えば…
内筒が血管を捉え、外筒(カニューラ)が血管壁を突き破り脱血確認がとれた段階で
- 一旦、クランピングチューブとシャント肢とをテープで「仮止め」し
- 手を内筒の"お尻部分"に持ち替えて、内筒を少し(1㎝程)引き抜く
- 「仮止め」テープを剥がし、手をクランピングチューブに持ち替え
- カニューラを更に押し進め、血管内に留置する…
このように"一手間二手間"かければ、片手で全ての手技を行うことは、たしかに可能。
しかし、上記の
- クランピングチューブとシャント肢とをテープで「仮止め」し
- 手を内筒の"お尻部分"に持ち替えて、内筒を少し(1㎝程)引き抜く
この手間を省き「片手」で
- 内筒を少し(1㎝程)引き抜く
ことが出来れば、手技は無駄なく非常にスムーズに行われる。
ということで、そこから
練習用の針(先端が丸まっているもの)を使って、技師さんと私
「この持ち方がいい」「あの持ち方がいい」と意見のすり合わせ。
そこで
私的に"しっくり"くる持ち方並びに内筒(金属針)の抜き方があり
「これで試してみよう!!」
と、モチベーションがアップした次第(軽くですが💦)。
想定外の"リベンジ"挑戦
>私的に"しっくり"くる持ち方並びに内筒(金属針)の抜き方があり
>「これで試してみよう!!」
とは申し上げたものの、HHD外来から帰宅したその夜に
「逆刺しリベンジ」
を行うことは、全く頭にはありませんでした。ただ
その夜の透析、「逆刺し」はやらないせよ
「できるだけ穿刺頻度の低い領域を刺そう」
と思い、"成功確率50%"の領域へ穿刺、結果は…失敗💧
内筒は血管を捉えた(はず)、外筒も血管壁を通過した(はず)
しかし、カニューラが先に押し進められない…
泣く泣く抜針
血管に外筒まで刺し込んでいるので、圧迫止血は十分行う必要がある。
穿刺ミス…メンタルは当然落ちる。
「もう次、失敗は許されない」と
再穿刺する領域は、穿刺成功確率の高い"安牌"なところを選択するのが定石。
ところが
なぜか
その日に限って、訳もなく"チャレンジ精神"が湧き上がって参りまして…
予定に無かった「逆刺しリベンジ」に挑戦することになりました。
HHD外来時に"習得"した針の持ち方/指の動作確認を入念に行い、いざ穿刺!!
結果は…成功です💮💮💯
込み上げた「達成感」
自分で自分を誉めたい‼️いや
皆様からも誉めて貰いたい😊
それぐらい俺頑張った👏脱血側穿刺1回目失敗😵💧気持ちが落ちたにも関わらず昨夜失敗した場所での"逆刺し"リベンジ💉見事チャレンジ成功🎉
返血側穿刺も初めての場所、それも成功🎉HHD8年、手技技術向上もありますが
気持ちの勝利です🌟👍 pic.twitter.com/UNDplScJ9y— 腎生を善く生きる@在宅血液透析(HHD)8年目突入‼️ (@Live_KidneyLife) May 21, 2021
「逆刺しリベンジ」を果たした直後のツイート。
込み上げる達成感を抑えられていない自分がいます。
更に嬉しいことに
同ツイートが(私の中では)大きな反響がございまして
同ツイートを(おそらく)キッカケに、非常に多くの方が私のアカウントをフォローして下さいました。
腎臓病(原疾患は様々)患者様はもとより、大きな"誤算"としては
多くの医療者、特に「臨床工学技士」の方々からのフォローがございました。
大変恐縮しております。
まとめ
今回の「逆刺しリベンジ」に成功したことには
大きな意味・意義がございます。それは
「新しい穿刺可能領域を開拓した」ということもさることながら
「いつでも"ここ"を刺せる」という"心の余裕"が担保された、ということ。
今回、穿刺した部位は脱血側で、場所は前腕。
恐らくですが
「その次も!その次も!」
という頻度で穿刺するようなことは、ないと思います。
一度成功したとて、高い緊張感は必要とされるでしょうし
何よりその場所、痛いんですよ💦
前腕の正中から"尺骨寄り"(内側)は、"橈骨寄り"(外側)に比べて
穿刺時の痛みが少々強いのです。
したがって、できることなら刺す頻度は少なくしたい。
ですが
「いつでも"ここ"を刺せる」
このポジティブな気持ちを契機に
「また新たな領域の開拓を!」
とのモチベーションも(多少💦)芽生えております。
透析生活は長期戦。ましてや
連日血液透析を施行する私にとっては
穿刺可能領域が多いに越したことはない。
此度の成功は、一つの通過点。
「新たな大陸が、私を待っている…」なんて😋😋
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
目次へ戻る