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在宅血液透析 穿刺/抜針/止血

【在宅透析と穿刺】在宅血液透析(HHD)の自己穿刺「痛み」と「緊張」を5段階で評価してみた※2022年4月改訂

injection, needle

在宅血液透析では、必須の自己穿刺。

しかし、文字通り

"自分で自分の腕・血管に針を刺す"

その時の、患者自身が持つ感覚を描写しているところは、あまりお目にかかったことがない。

ならば、この自己穿刺の「言語化」を試みよう!

というわけで、下記VTube動画をアップしました👇

今回はその"スピンオフ"的な内容になります。

自己穿刺における「痛み」と「緊張」にフォーカスし、それらを

独断と偏見で5段階評価してみました。

自己穿刺の各フェーズは、上述VTube同様、下記の通り。

ポイント

  1. 金属針(内筒)が皮膚を突き抜ける時【第一段階】
  2. 金属針(内筒)が皮下を通過し、先端が血管をとらえた時【第二段階】
  3. カニューラ(外筒)先端で血管壁を突き破る時【第三段階】
  4. カニューラ(外筒)先端を血管内部で押し進める時【第四段階】
  5. 金属針(内筒)を抜く時【第五段階】

では、参りましょう。

お断り

私は自己穿刺の際

ペンレステープ/エムラクリームといった

局所麻酔薬の類は使用しません。

その理由につきましては、下記ブログをご参照下さい👇

「痛み」を好き好む方は、決して多くはないでしょう。

通院血液透析患者様の中には、また私以外の在宅血液透析患者様の中にも

穿刺前に局所麻酔薬を使用する方は多くいらっしゃるかと思います。

その点において、局所麻酔薬を使用「しない派」はマイノリティと思われ

結果、この記事も

「誰に向けてのもの??」

となりそうですが💦

しかし、見方を変えれば

  • これからお話するような「痛み」や「緊張」が存在するからこそ、ペンレステープ/エムラクリームが存在する
  • これからお話するような「痛み」や「緊張」が存在するからこそ、私は"あえて"ペンレステープ/エムラクリームを使用しない

といった側面もあろうかと思いますので

その点ご理解の上、何卒、お付き合い下さいませ。

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在宅血液透析(HHD)の自己穿刺「痛み」と「緊張」を5段階で評価してみた

はじめに

自己穿刺のフェーズに入る前に

在宅血液透析では、特に心理面で

"越えなければならない"フェーズがあると考えます。それは

在宅で血液透析をする(私の場合毎日)に必要なレベルにまで

「モチベーション」を上げるフェーズです。

現在の透析スケジュール(週6回3時間透析)となってから

2022年4月現在で約5年(2017年5月~)。

ほぼ毎日、在宅で血液透析する…

「ルーティン化されている」とも言えなくはないですが

一日の流れで"何となく/無意識的に"できるほど

血液透析という医療行為は安易ではありません。結果

1年365日、在宅で血液透析をすることへの「モチベーション」は

  • 「モチベーション」…3

を(どんな時でも)キープしているつもり。

それでも時に「嗚呼~今日はやりたくないな~」

と思う"弱い自分"が顔をのぞかせ

「モチベーション」3から↘2↘1

となることも、ままあります。

基本、その日の体調に問題がなければ

予定している(私の場合は土曜日をのぞく毎日)透析を

スキップすることは、ありません。

これは、私が私に課した"ルール"です。

  • 血液透析患者の殆どを占める通院血液透析患者様の場合は、透析回数は週3回
  • 透析患者総数の約0.2%の在宅血液透析患者、その内の1人である私の、透析回数は週6回

透析回数"だけ"を考えると

「一日くらい"サボって"も、大丈夫っしょ!」

と考える"弱い自分"がいてもおかしくないのですが

1回でもそれを許すと(1回でも例外を認めてしまうと)

それが悪しき慣習になる。

私もそんなに強い人間ではないですから…

「嗚呼~今日はやりたくないな~」と

モチベーションレベルが↘2↘1と下がったものを

なんとか↗4↗5に毎回上げていく作業。

この点やはり、在宅血液透析はメンタルの強さも相当求められるかな、と。

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自己穿刺の準備段階

  • 「痛み」…圏外
  • 「緊張」…1~2

準備段階から自己穿刺は始まっています。

私の場合

自宅にある"透析部屋"、そこにあるリクライニングチェアに座り

テーブルの上に、自己穿刺に必要な医療備品を用意します。

シャント肢を軽く駆血し穿刺部位を決定

穿刺部位を丁寧にアルコール消毒する(※私はアルコールに弱いのでヘキシンジンを使用)。

金属針(内筒)先端のシャント肢への"ファーストコンタクト"に向け

気持ちを落ち着かせつつ、徐々に緊張感を高めていきます。

「これから刺すぞ!!」

"緊張感を高めている途上"ということで、「緊張」レベルは1~2

「痛み」レベルは、まだ何も刺さっていないので、圏外。

  • 「痛み」…圏外
  • 「緊張」…3

穿刺針を持ち、穿刺部位に対して適切な進入角度に穿刺針をセット。

角度を保ったまま、金属針(内筒)先端をゆっくり皮膚へ近づけていく…

「緊張」のレベルは、もう一段上がります。

このフェーズというのは、前述のVTube動画内でもお話しておりますが

脳内における

sadisticな自分とmasochisticな自分とのせめぎあいが

まさに開始される段階です(※まだまだ序盤です)。

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自己穿刺の第一段階( 金属針が皮膚を突き抜ける時 )

  • 「痛み」…4
  • 「緊張」…3

緊張は「3」に保ったまま。

針を刺すことへの躊躇いはありません。ただ

"ありません"というのは正確ではないかもしれません。

"躊躇いを殺す"

と言った方が、近い。そうさせているのは

「もう逃げられない」という"諦め"の境地でしょうか。

もう逃げられない、やるしかないですから。

痛いのが分かっていながら、自分で自分の腕に針を刺さなければならない。

痛みを甘んじて受け入れる覚悟が必要です。

金属針(内筒)が皮膚を突き抜ける時

「痛み」は当然の「4」。

痛みの種類は、文字通り"針を刺すような痛み"。

「4」の痛みは一瞬で

徐々に「3」→「2」→「1」と静まっていくのが普通ですが

ただ、金属針(内筒)先端が皮膚を突き抜けてすぐ、どこかの神経に触れてしまうと

(※「そんな感覚がある」というだけ。解剖学的なことは全く分かりません)

鋭い「4」の痛みが引き続き残る場合

時に痛みレベルが「5」にまで跳ね上がることもあります。

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自己穿刺の第二段階( 金属針が皮下を通過し、先端が血管をとらえた時 )

  • 「痛み」…3
  • 「緊張」…3

痛みは「3」にやや下がります。

金属針(内筒)先端が血管をとらえたという感覚は、基本ありませんが

たまに軽く「プスッ」とした感覚が、腕の中から伝わってくる場合も。

「プスッ」とした感覚、痛みはありません。

ということは、ここでの痛み「3」というのは

穿刺針がシャント肢に刺さったまま、まだ進行途中ゆえの痛みとなります。

ここで気を抜いてしまい、針を持つ指の緊張まで緩めてしまうと

せっかく血管をとらえた金属針(内筒)先端が、血管から外れる場合があるので

針を持つ手先に神経を集中させる、つまり

「緊張」は依然「3」にキープしたままです。

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自己穿刺の第三段階( カニューラ先端で血管壁を突き破る時 )

  • 「痛み」…2
  • 「緊張」…4

第二段階で

金属針(内筒)先端が血管をとらえ血管壁を突き刺し、脱血が確認出来たら

この第三段階で

針全体をややねかせ、カニューラ(外筒)先端を血管内に刺し込みます。

金属針(内筒)と違い、カニューラ(外筒)は先端が鋭利ではないので

血管壁を突き破って血管内に進入させるには、やや力がいります。

カニューラ(外筒)先端が血管壁を突き破る時の痛みは、ほとんどありません。

血管壁を突き破る時、「ブチッ!」という感覚が、腕の中から伝わってきますが

痛みを感じることはなく、ただ不思議な感覚だけが残ります。

よって、ここでの「痛み」レベル「2」は、前段階同様

穿刺針がシャント肢に刺さったまま、まだ進行途中ゆえの痛みです。

痛みが減少傾向にあるのに対して

「緊張」は「4」に増します。

重複しますが、第二段階で

金属針(内筒)が血管壁をとらえ、脱血の確認がとれたら

針全体を血管に対して出来るだけ平行に近い角度に寝かせます。

この際、血管をとらえた金属針(内筒)先端が外れないよう

それでいて針を寝かせて先に進めるために

私の場合若干、ホント若干ですが、針を押し気味にして寝かせかます。

そして、カニューラ(外筒)先端が血管壁をとらえ、そして突き破る感覚を逃さないよう

一段集中力を高めます。

血液透析導入から約9年(2022年4月現在)

シャント肢の静脈血管も太く強く

血管壁も厚くなってきている気がします。結果

カニューラ(外筒)先端で血管壁を突き破る時

針を持つ指先に込める力も強くなってきました。

"他者穿刺"(医療者が患者に行う穿刺)の場合は両手が使えるので

穿刺の際皮膚が"ひしゃげ"ないよう

針の持ち手と反対の手(指)で皮膚を押し引っ張ることができますが

自己穿刺では、それが難しい、なぜなら手が「余っていない」から。

皮膚の"ひしゃげ"防止のため、前もって

医療用テープを使って、皮膚に張りをもたせる処理を施してはいますが

それでも、穿刺針を押し込んだ際

太くなった血管壁の抵抗が強いと

なかなかカニューラ(外筒)先端で血管壁を突き破ることができず

その間、皮膚が"ひしゃげ"てしまう。

こんな時の「緊張」レベルは、どうしても上がります。

補足

針を持つ指先が感じる抵抗感が

太くなった血管壁の抵抗によるものであれば

「緊張」レベルが上がりつつも、覚悟をもって針を刺し込むことができますが

"そうでないもの"による抵抗であることも考えられ(金属針が血管をとらえていない等)

その点意識下におくと、余計に「緊張」レベルは上がります。

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自己穿刺の第四段階( カニューラ先端を血管内部で押し進める時 )

  • 「痛み」…1
  • 「緊張」…3

血管の走行に対し、ほぼ真っ直ぐにカニューラ(外筒)が血管内に刺し込まれていたら

痛みはほとんどなく、痛みレベルは「1」

ただ、「緊張」はまだ「3」。

"他人穿刺"の場合

医療者の方々は、ここのプロセスは全く躊躇うことなく

「スッ」と押し込むとの(勝手な)印象がありますが

私はかなり慎重派、別の言い方をすれば、ビビり症なので

カニューラ(外筒)が「ほぼ真っ直ぐ」かどうかを

確認しながらゆっくり押し進めるため

緊張感はまだ続いています。

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自己穿刺の第五段階( 金属針を抜く時 )

  • 「痛み」…圏外
  • 「緊張」…2

この段階では痛みはもう、ありません。

ここまで来れば一安心なのですが

金属針(内筒)の抜く際、誤ってカニューラ(外筒)まで引っこ抜いてしまっては、最悪です。

穿刺針(クランピングチューブ)をしっかり医療用テープで腕に固定して

金属針(内筒)だけを「スーッ」と抜くため、「2」の「緊張」は保ちます。

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番外編

自己穿刺の第三段階( カニューラ先端で血管壁を突き破る時 )

自己穿刺の第四段階( カニューラ先端を血管内部で押し進める時 )

このフェーズで

✅カニューラ(外筒)先端で血管壁をとらえた感覚が曖昧な場合

✅その感覚が曖昧な状況でカニューラ(外筒)先端を更に刺し込んだ場合

  • 「痛み」…5
  • 「緊張」…5

このケース、多くの場合は前段階

自己穿刺の第二段階( 金属針が皮下を通過し、先端が血管をとらえた時 )で

脱血確認が曖昧な場合が多く

その後の、カニューラ(外筒)先端で血管壁を突き破る際の

「ブチッ!」という感覚も曖昧で、半信半疑。

でも、ここまで来たんだから後には引けない、と力を込めて針を刺し込むと

もうそりゃ、痛い痛い(>_<)

「緊張」MAX/「痛み」MAXで、変な汗が出ます。

また、最近の穿刺ミスで多いケースなのですが(上腕上部での返血側穿刺)

自己穿刺の第二段階( 金属針が皮下を通過し、先端が血管をとらえた時 )

自己穿刺の第三段階( カニューラ先端で血管壁を突き破る時 )

これらのフェーズで確かな手ごたえがあるにも関わらず

自己穿刺の第四段階( カニューラ先端を血管内部で押し進める時 )

で、針を血管内に刺し込むことができない(先に進まない)時があります。

この場合

  • 「痛み」…2
  • 「緊張」…5

つまり、「痛み」はそれほどではないものの

思うような針の刺し込みができないことの"焦り"から

「緊張」はMAXとなります。

針が刺し込めない原因は色々あるんでしょう。

弁の存在、血管の蛇行、血管の潜り込み…

この「穿刺ミス」をする部位はほぼ決まっているので(上腕上部)

クリニックで、血管の走行をエコー確認しました。

HHD担当技師さんの見解では、血管がやや"潜り気味"とのこと。

これを受け、気持ちカニューレ(外筒)先端を下げ気味の意識で刺し込むも

成功確率は五分五分…

血管内のカニューレ(外筒)の"動き直し"をする等、粘ってみても

成功確率は五分五分…

駄目な場合は当然、一旦針を抜き、十分な止血をし

穿刺のための「モチベーション」を上げる作業を、再度行う。

「痛み」はほぼ無いとはいえ、嫌なもんです。

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まとめ

thanks,

自己穿刺における「痛み」と「緊張」

「痛み」があるから(発生するから)、身体中に「緊張」が走る…

「じゃあ、その痛み除くために、ペンレス(エムラクリーム)使えばいいじゃん!」

というお声が聞こえてきそうですが

自己穿刺をする立場としては、局所麻酔薬を使用することで

これまでご紹介してきた

全ての工程での全ての感覚が"掴めなくなる"のでは?

と思ってしまうわけです。

補足

局所麻酔薬を使用しない理由は「1つ」ではない。

在宅血液透析9年目(2022年4月現在)、つまり

自己穿刺9年目

"慣れてきた"のは事実ですが

その慣れは、手技の慣れ

技術的な部分が上がり、手技がスムーズにはなっているでしょうが

今回ご紹介した「痛み」と「緊張」に"慣れる"ことはないでしょう。

慣れないので、「痛み」「緊張」レベルが上がる度に

気持ちが折れそうになる。

それに負けないだけの「モチベーション」=メンタルの強さが

"慣れる"ことはない「痛み」と「緊張」に打ち勝つ術とも言えるかも。

と、なんとも格好いい、体の良い表現を使いましたが

前提にあるのは

移植腎が廃絶し、献腎移植の機会が訪れなければ

血液透析を施行し続けなければいけない現状を「受容」する姿勢。

「受容」すると言うと、これまた聞こえは良いですが

当の本人としては、"諦めた"結果の「受容」です。

「痛かろうと辛かろうと、やんなきゃしゃーない💧」

というのが本音です。

在宅血液透析導入をめぐっては

一般的に、一番の導入障壁は「自己穿刺」である、と聞きます。

が、一方で、在宅血液透析を管理する医療機関側からは

「実際に自己穿刺がうまくいかず在宅血液透析の導入をあきらめる患者さんはまれ」

という話も聞きます。

この点、あくまでイチ素人の独断と偏見ですが…

在宅血液透析導入を決意する患者様の殆どは

ある種の「覚悟をを持って」らっしゃるのではないか。

ちょっとやそっと自己穿刺が上手くいかないぐらいで

「やっぱり(HHD導入)やめた…」

となる患者様は、そう多くはないのではないか。

生への執着

もちろん私もあります、ありますが

在宅血液透析が落とし込まれた日常を送る上では

「生への執着」といった、そんな高尚な志よりも、シンプルに

「痛かろうと辛かろうと、やんなきゃしゃーない💧」

といった現状の「受容」、現状への「諦め」の精神が

折れかかる気持ちを、なんとか支えているのではないでしょうか。

かくいう私ですが、最近は

「来るべき献腎移植まで、(在宅血液透析を)頑張ろう!!」

という気持ちが強くなってきました。


「献腎移植をして、マスターズ陸上に出場する」

という夢も出来ましたし。

そこまでは、なんとか頑張りますよ。

さて、今日もまた自己穿刺に向けて

モチベーションを上げていきましょうか!!

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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