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在宅血液透析 透析全般

【在宅透析とは】日本透析医学会誌「頻回・長時間透析の現状と展望」を、患者自身が読んでみる(最終章)

2020年7月31日

document,

医療行為を受動的でなく

能動的に自ら行う、というHHDの特殊性から

HHD患者サイドも

同医療行為について、"能動的"に学ぼう!

日本透析医学会「維持血液透析ガイドライン」に続く"第二弾"として

日本透析医学会雑誌

過去2回の投稿で、各論

  1. 透析量、水分管理
  2. 安全性(施設深夜長時間透析(INHD)の適応と安全対策の実態)
  3. 適応
  4. 患者管理と透析処方
  5. バスキュラーアクセス管理

ご紹介して参りましたが

一つの記事にまとめきれず、大変申し訳ございません🙇。

今回が最終章となります。

在宅透析とは】日本透析医学会誌「頻回・長時間透析の現状と展望」を、患者自身が読んでみる(最終章)

各論

各論

  1. 透析量、水分管理
  2. 安全性(施設深夜長時間透析(INHD)の適応と安全対策の実態)
  3. 適応
  4. 患者管理と透析処方
  5. バスキュラーアクセス管理
  6. 透析装置(頻回・長時間透析に適した装置)
  7. 統計調査(JRDR 予後解析からみた頻回・長時間透析の至適透析量)

6.透析装置(頻回・長時間透析に適した装置)

programming

在宅血液透析(HHD)用の装置に必要な機能や条件について

国内透析装置メーカーへの調査、検討を行った

その内容報告となっております。

結果

シェアの6割を占める日機装

それに続く東レ、ニプロ、JMS

上記4社からあげられた

「RO装置」並びに「透析機器装置」への今後の展望が紹介されています。

RO装置(水処理装置)への今後の展望

  • 装置の小型化
  • 動作音の減音化
  • 消耗部品交換作業の容易性
  • 透析装置との洗浄・消毒の連動が可能であること

血液透析機器への今後の展望については、主に2点

透析液の精製

透析液精製については

粉末溶解可能な装置❞について言及してます。

これに関しては、補足資料をご紹介させて下さい。

参考資料

日本医療機器学会 医療機器学(2016 Vol.86 No.1)「在宅血液透析に求められるシステムとその役割

現在の在宅血液透析で使用する透析原液は液剤タイプ

6㍑or9㍑の透析原液を

毎回、患者や介助者が透析装置まで運ぶ必要がある。

配送するメーカーの負担も大きい(毎回見ていれば分かります)。

実は、透析原液は

粉末剤(人工腎臓透析用剤)を溶解して作製することができる

これはセントラル方式人工透析システム(CDDS:Central Dialysis Fluid Delivery System)

を採用している医療施設で使用されているもので

溶解装置により透析原液が作製され

供給装置により希釈されて

ベッドサイドの透析用監視装置に供給される。

CDDS

(引用元:NEDO 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

HHDに適した粉末剤や個人用溶解装置を開発すること

物流やストックだけでなく

空容器の廃棄に対するメリットもあることから

HHDにおける粉末剤への期待は高いとされています。

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操作タッチパネル

透析機器操作タッチパネルのHHD向けへの変更については

現在のところ、在宅透析専用のタッチパネルはなく

機能を制約することによって必要最低限の操作が可能である。

在宅血液透析専用画面の開発に関しては

認可や制約を受ける可能性があり、今後の課題である。

との提言がなされています。

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考察

アメリカでは(中略)在宅血液透析専用装置を2台承認している

との記述が。

奇しくも、当ブログで

その2台(と思われる)装置の記事を投稿しております。

興味のあるかたは是非👇

Outset Medical社:"Tablo"

NxStage社:"System One"

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7.統計調査(JRDR 予後解析からみた頻回・長時間透析の至適透析量)

document,statistic

既に前記事で

小分子である尿素を指標物質とした"Kt/V"が

頻回・長時間透析の評価指標として適応困難な旨は、述べた。

現状

頻回・長時間血液透析の"透析量"を

生命予後との関連で適切に評価する指標が定まっていない

そこで、当統計調査では

JRDR(Japanese Society for Dialysis Therapy Renal Data Registry)

2010年末の透析患者を対象とし

HDP(Hemodialysis product)という指標を用いた解析を行っている。

HDP(Hemodialysis product)

透析スケジュールに注目した適正透析の指標で

ポイント

「1回透析時間」×「回数²」

で計算される。つまり

実際の代謝物除去量ではなく

時間と頻度だけで評価される

HDP>70

が適正な透析であるとされているが、これは80年代前半に

❝長時間透析により10年生存率75%❞と、長期生存率の優位性を報告

その際のHDPが"72"であったことに立脚しています。

週3回では、1日透析時間は8時間

ちなみに、施設血液透析の一般的な「週3回4時間透析」は

HDP"36"=(4h×3²)

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考察(解析したものの…)

頻回・長時間血液透析の"透析量"の指標として

HDPには一定の評価がなされたものの

  • 観察期間が12カ月であり死亡イベントが少ない
  • 頻回透析患者のサンプル数が小さい(HDPが大きい患者が少ない)
  • HDPが低い患者の残腎機能の影響が大きい

等の関与が少なからずあったと考えられることから

透析方法を含めた透析処方の変更に十分対応できていなかった、としている。

今後は

❝頻回・長時間透析がさらに増えているより直近のデータを用いた解析を行い

長期的に観察を行うことで、解析精度は増すのでは❞

として、報告を結んでいる。

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まとめ

thanks

全3回に分けて

日本透析医学会雑誌

私が理解出来る範囲内で、内容をご紹介して参りました。

記事をまとめながら考えていたこと、それは

現在の自身のHHDに、どう落とし込んでいくか

ということ。

  • 透析の頻度、時間
  • バスキュラーアクセスの管理
  • 自宅での公衆衛生、安全管理
  • 医療機関、メーカーへの要望等

頻回・長時間透析に関する❝エビデンスレベルが低い❞とされる中

"720人"(わが国の慢性透析療法の現況(2018 年 12 月 31 日現在)より)

私含め、現在HHDを行う患者の責任と役割は、決して小さくはない

まずは絶対、事故を起こさないこと。

そして

まだまだマイナーな頻回・長時間透析医療の未来のために

自らの経験を的確にフィードバックすること

ひいては、そのことが

自分自身の未来をより明るいものにすると信じて

次のブログテーマ、決まったな😏

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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