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在宅血液透析 透析全般

【在宅透析とは】日本透析医学会誌「頻回・長時間透析の現状と展望」を、患者自身が読んでみる(続)

2020年7月30日

document

医療行為を受動的でなく

能動的に自ら行う、というHHDの特殊性から

HHD患者サイドも

同医療行為について、"能動的"に学ぼう!

日本透析医学会「維持血液透析ガイドライン」に続く"第二弾"として

日本透析医学会雑誌

前回、各論

  1. 透析量、水分管理
  2. 安全性(施設深夜長時間透析(INHD)の適応と安全対策の実態)

までで力尽きまして…💦

大変申し訳ございませんでした🙇。

今回はその続きです。

【在宅透析とは】日本透析医学会誌「頻回・長時間透析の現状と展望」を、患者自身が読んでみる

各論

各論

  1. 透析量、水分管理
  2. 安全性(施設深夜長時間透析(INHD)の適応と安全対策の実態)
  3. 適応
  4. 患者管理と透析処方
  5. バスキュラーアクセス管理
  6. 透析装置(頻回・長時間透析に適した装置)
  7. 統計調査(JRDR 予後解析からみた頻回・長時間透析の至適透析量)

3.適応

1.透析量、水分管理 と内容はほぼ重複しています。

ただ、より"マクロ的"といいますか…

キーワードは❝エビデンス

維持血液透析ガイドライン」では

標準血液透析は生命を維持する最低限の治療であり

そのため透析関連合併症が発生し生命予後が不十分となる。

これを解決する最もよい方法は

週あたりの透析時間の増加であり

長時間血液透析や頻回血液透析が有用

と述べている一方で

❝透析時間の増加、回数の増加を考慮すべき❞、と

やや曖昧ともとれる表現での記述もある。

KDOQI(Kidney Disease Outcomes Quality Initiative)ガイドラインでも

We suggest that

patients with end-stage kidney disease be offered in-center short frequent hemodialysis

as an alternative to conventional in-center thrice weekly hemodialysis

"suggest"=提案する、との表現。なぜなら

十分な❝エビデンス❞がないから。

この「3.適応」の本旨は…

❝「ガイドライン」ではエビデンスレベル低いので強く推奨してないけど

欠点より利点が大きいので 積極的に頻回・長時間透析を試みるべき。

その「根拠」を説明していきますね。

あっ、でも

メリット・デメリットをちゃんと患者、家族に説明し、同意は得て下さいね。❞

といったところでしょうか。

注)専門家の方々へ。茶化してるわけではないので何卒了承を🙏

(補足)

現在のコロナ禍でもよく耳にする❝エビデンス❞という言葉。

EBM(evidence-based medicine)という用語の意味を理解すれば

自ずと❝エビデンス❞のニュアンスも掴めるかと思いますので、ご紹介しておきます。

EBM(evidence-based medicine)とは…

科学的根拠に基づく医療のこと。

入手可能な範囲で最も信頼できる根拠を把握した上で、

個々の患者に特有の臨床状況と患者の価値観を考慮した医療を行うための一連の行動指針。

医療行為を医師が受けた教育、研究、臨床経験に依存した裁量権に単純にゆだねるのではなく、

医療方針の決定に当たって

臨床研究の成果を良心的に思慮深く適用することを求める考え方である。

(引用元:公益社団法人日本薬学会

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積極的に頻回・長時間透析を試みるべき、とする「根拠」

構成としては

最初に、頻回・長時間透析の利点を挙げ

次に、その利点が得られる要因を、各々説明していきます。

最後の方に

デメリットに関する記述が少しございます。

頻回・長時間透析のメリット

頻回・長時間透析のメリット

  • 溶質除去の増加
  • QOLの改善
  • 良好な血圧コントロール
  • 心血管系への好影響
  • 投与薬剤の減少
  • 入院率および死亡率の低下

要因

  • 効果的な溶質除去
  • 時間あたりの除水量を少なくできること

詳細については、表現の違いが多少あるにせよ

前回記事に記した内容と大差ないので、ここでは割愛。

前回記事はこちら👇

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頻回・長時間透析のデメリット

頻回・長時間透析のデメリット

  • 頻回透析によりVA不全が多く発生すること
  • 長時間透析により残腎機能の早期低下の可能性があること

加えて

市販透析液が頻回・長時間透析に適さない旨の記述がありますが

詳細については、こちらも過去記事と重複しますので、割愛。

過去記事はこちら👇

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エビデンスレベルは低いが・・・

透析患者の体調は、日々変化している。

研究達成のために多くの症例を

長期にわたって、同じ条件で透析治療をすることには無理がある。

腎移植」が

通常の透析療法より生命予後とQOLが良い、という共通認識は

観察研究によるものである。

したがって、頻回・長時間透析も観察研究により

標準血液透析に比べ優れた治療法であると認識されるべきだ

とし、これを結びとしています。

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4.患者管理と透析処方

頻回・長時間透析を行うにあたって、実施施設に必要とされる

ポイント

患者管理(教育)計画の整備

緊急時対応体制の整備

が主題、プラスαといった構成となってます。

はじめに…

❝頻回・長時間透析は

同治療が患者と医療従事者との

適切な信頼関係や取り決めに基づいて実施されることで

安全性が担保され、デメリットを最小化することができてはじめて

そのメリットを享受できるものである

としています。

患者管理(教育)計画の整備

頻回・長時間透析を、安全面に十分配慮し実施するためには

患者や家族、介助者等に対して

十分なインフォームドコンセントを取る必要がある

なぜなら

医療者側と患者側の認識に相違があることで

さまざまな問題、例えば

適切な時期を逸した「導入」や「中止」がなされる等

同治療の有効性の低減や安全面での懸念が発生するから。

治療開始後においても

継続的な計画の確認・見直しを行い

より柔軟な対応と

慣れによるリスク低減に努める必要がある。

医療者側と患者側との関係性

一方のみの働きかけで築けるものではない。

その意味で

我々患者も、情報に対して受け身一辺倒にならず

より能動的に学ぶ必要はあると思われます。

その上で、医療従事者と患者は互いに

適切な距離感と、適度な緊張感を保ちつつ

双方が患者管理のあり方について常に考え

深い信頼関係を築いていくことが重要である。

緊急時対応体制の整備

頻回・長時間透析、特に在宅血液透析(HHD)については

安全面での配慮が重要

したがって、実施施設側は

患者が血液透析を行う際の緊急時に

患者からの連絡を受けられる体制の整備が必要であり、かつ

その体制について文書で患者に提示する必要がある。

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5.バスキュラーアクセス管理

はじめに、ここでも

頻回・長時間透析ともに施行患者数が少ないため

VAに関する報告も少なく

定まった評価も難しいのが現状である。

と、エビデンスレベルの低さを挙げております。

Ⅰ.頻回透析でのVA管理

頻回の穿刺や接続による

VAの荒廃リスク

を挙げてます。

VAトラブルの内の「狭窄」に関しては

頻回穿刺による

  • 血管損傷
  • 乱流の増加

が、増悪因子として関与していると考えられています。

対処としてはそれぞれ

  • ボタンホール穿刺の検討(血管損傷)
  • 血流量を下げる(乱流増加)

を挙げています。

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Ⅱ.長時間透析でのVA管理

シャント系トラブルは多くなる可能性があるとしながらも

その原因は不明で

長時間の穿刺針の留置が何らかの原因である可能性は否定できない

とするにとどめております。

また

長時間穿刺された状態が継続することによる

  • 抜針・接続解離事故
  • VA部の感染制御

には、注意が必要としています。

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まとめ

thanks

大変申し訳ございません🙇🙇。

今回も「完走」出来ませんでした💧💧

それだけ、同資料の内容が濃い!

と、ご理解いただければ💦

お伝えしたいことが多くて

ついつい、文字数がかさんでしまうんですね。

(でも、言い訳ですね…)

6.透析装置(頻回・長時間透析に適した装置)

7.統計調査(JRDR 予後解析からみた頻回・長時間透析の至適透析量)

次回持ち越しとさせて頂き

「最終回」と致します(そのつもりです💦💦)。

これまで同様、原文献をしっかり読み込み

よりよい形で皆様に有益と思われる情報を提供致します。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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