この記事で
- パンデミック状況下で透析を必要とする患者が増え、結果、透析機器が不足していること
- 透析患者増の原因の一つがサイトカインストーム、つまり、感染に対し免疫系が過剰反応し全身に血栓が形成されてしまうこと
をご紹介させて頂きました。
今回はこの
死に直結しうるサイトカインストームを防ぐ
可能性を秘めた新しい方法
に関する記事をご紹介致します。
引用元はKnowridge Science Reportという
オーストラリア・シドニー発の科学技術雑誌?で
タイトルは
New way to prevent immune inflammatory overreaction, a big cause of COVID-19 death
❝COVID-19死の大きな原因である免疫炎症性過剰反応を防ぐ新しい方法❞
Table of Contents
【透析と感染症】透析患者は知っておくべき。サイトカインストームを防ぐ新たな可能性
はじめに
勝手ながら、お断りをさせて下さい。
今回(も?)ご紹介する引用記事は
おそらく専門家の方々が拝見なさるものと思われ
一素人の患者が踏み込む領域ではないかもしれません。
しかし、枝の部分はさておき
記事内容の概略を知り
「へ~そうなんだ~」
と見聞を広げることは、別段悪いことではないよな、と。
一素人の患者の目というフィルターを通して見える景色を
これまた同じ患者の方々へお伝えし、共有したい
そして
いたずらに恐れない、正しく恐れましょう
そんな思いで記事を書いております。
何卒、ご了承下さい。
概要
ざっくり言ってしまうと
メモ
サイトカインストームによる血栓除去のため
通常のダイアライザーの代わりに
敗血症ショック治療に使われるフィルターを使う。
まだデータが十分ではないが
サイトカインストーム(文字通り「嵐」)を抑えることが出来れば
患者や家族が悲しい思いをせずにすむのでは・・・(最後はかなり意訳)
こんなような内容です、ほんとザックリですが。
詳細(原文とともに)
この記事のほぼ結論といっていい記述が
冒頭にきます。
In a new study,
researchers found that
replacing the usual filter in a kidney dialysis machine with a filter known to trap these tiny proteins
may help avoid the devastation.
最近の研究で
通常の血液透析用ダイアライザーの代わりに
小さなタンパク質をトラップすることで知られる別のフィルターを使用することで
(身体への)ダメージを防ぐことができることが分かった。
疾患経過の早い段階でサイトカインを上手く浄化できれば
腎臓や他臓器への損傷が防げるのでは
というのが、専門家チームの考えにあったようです。
そこで
通常の血液透析で使用するダイアライザーの代わりに
❝オキシリス❞フィルターを採用したとのこと。
敗血症治療との類似点
❝オキシリス❞??
素人にはなんのこっちゃですが、記事によると
元々ヨーロッパ、アジア方面では
敗血症ショックの治療に用いられていたとか。
この点についての詳細は
別の記事を斜め読みしてみました。
なんとなくですがイメージは出来たかな、と。
参照元はNCBI(National Center for Biotechnology Information)
タイトルは
Endotoxin and cytokine reducing properties of the oXiris membrane in patients with septic shock
❝エンドトキシン❞という言葉は
在宅血液透析で使うフィルターに絡めて
聞いたことがあります。
塩素によって死滅した水道水内の細菌の❝カス❞
ぐらいの認識ですが。
それが体内に入ると色々悪さをする、と。
この記事によると
- エンドトキシンが炎症反応を誘発
- サイトカインの二次放出
が起こることで
敗血症ショックや多臓器不全が進行する可能性があるという。
このエンドトキシンとサイトカインのレベルを下げるために検討されたのが
❝オキシリス❞フィルターを使った持続的腎代替療法(CRRT)。
これにより
エンドトキシン・サイトカインの効果的な除去が可能となった、という。
持続的腎代替療法(CRRT)については、もともと良く知りませんでしたが
冒頭ご紹介した前回記事で私も勉強しまして
なんとなくのイメージは出来ていました。
ちなみに❝オキシリス❞フィルターについて
英文では下記のように表現されています
the Oxiris filter set,
used for more than a decade in Europe and Asia,
works like a sponge
to capture and absorb cytokines along with toxins released by bacteria called endotoxins
スポンジのような働きで
サイトカインを捉えて吸収する。
cytokines along with toxins released by bacteria called endotoxins
という言い回しは、先ほどご紹介した
- エンドトキシンが炎症反応を誘発
- サイトカインの二次放出が起こる
ということと同じ意味か、と。
さて、透析患者としては
ちゃんと血液浄化・除水してくれるかどうかが気になるところです。
Like standard kidney dialysis filters,
these also filter excess fluid and
contain the blood thinner heparin, which can reduce clots,
標準的な血液透析用ダイアライザー同様
❝オキシリス❞フィルターは除水も行い、ヘパリンも含んでいる。
こちらとしてはヘパリンの有無はどうでもいいのですが( ̄▽ ̄;)
知りたかった内容の記載が見当たらず、残念。
検証
when patients show signs of significant respiratory problems and
sare headed to intensive care,
the researchers are using this blood filter for up to 72 hours,
患者が重大な呼吸障害の兆候を示して集中治療に向かう際
❝オキシリス❞フィルターを72時間使用。
They are assessing cytokine levels before the new therapy,
then at 24 and 48 hours to
look at trends and
assess how the patients are doing clinically.
サイトカインのレベルを評価
その後24時間と48時間にトレンドを調べて
患者の臨床状態を評価している。
結果
現在も、同種のデータや比較データを収集している段階で
まだ検証途中な様子。
しかし、専門家チームによれば
The team says
if they can come in early in the disease process,
patients will not do so poorly,
they will not have so much organ dysfunction,
they will probably have less clotting, less ARDS, and less kidney failure.
(私なりに意訳させてもらうと)
患者が感染初期の段階で同治療に着手できれば
多臓器不全や
過剰な血液凝固、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、腎不全も減るだろう、と。
まとめ
今回の引用記事は、個人的に少々難解で
非常に読み応えのある内容のものでした。
しかし、私は思うのです。
患者も
特に自身の病気や治療については
身の丈に合わせながらも守備範囲(見聞)を広げることで
病気を「正しく恐れる」ことができる、と。
それを良しと思わない医療従事者の方々もいらっしゃるとは思います。
そこで求められるのは、患者が持つバランス感覚。
患者は
専門家の方々に教えを乞う時は、常に謙虚な姿勢で
という点を、肝に銘じています。
これからも
あくまで私の個人的なフィルターを通してではありますが
透析や移植に関し、私自身が興味関心を持った情報を
同じ境遇の患者の皆さんと共有できれば、との思いで
発信し続けて参りたいと思います。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。