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在宅血液透析 透析全般

【在宅透析とは】日本透析医学会「維持血液透析ガイドライン」を、HHD患者自身が読んでみた

2020年7月28日

medical,document,

MediPressによると

在宅血液透析の最大のメリットは

ポイント

十分な透析を行いやすい(緩徐+しっかり+こまめ)

他のメリットとしては

ポイント

  • 自宅で好きな時に行える
  • 通院の負担が大幅に減る
  • 透析液などを変更しやすい
  • 院内感染のリスクがない

個人的には

もう少しアカデミックな情報も勉強したいかな~、という欲求

と同時に

私含めた現在HHDを行う患者並びに、HHD導入を検討している方々は

医療行為を受動的でなく

能動的に自ら行う、というHHDの特殊性から

同医療行為(=HHD)について、より能動的に学ぶ必要性もあるのではないか、と。

このような観点から、今回

一般社団法人 日本透析医学会

維持血液透析ガイドライン:血液透析処方

内、在宅血液透析に関する記述部分について精読してみました。

もちろん

医療従事者向けゆえ、素人の私には少々難解。

ただ

私が理解出来た部分を、私なりに表現することは

日常手に取りにくい専門家向けの情報の一端を得られる点において

当ブログの読者初め、非医療従事者の方々にとっては

それなりに有益ではないか、と。

【在宅透析とは】日本透析医学会「維持血液透析ガイドライン」を、HHD患者自身が読んでみた

はじめに

同ガイドラインは

第1章 血液透析量(小分子物質)と透析時間

第2章 血液透析量とその効果:β₂-ミクログロブリン(β₂-M)

第3章 ドライウエイトの設定

第4章 適切な透析量・治療効果を得るための評価

第5章 発展的血液浄化法

第6章 小児維持血液透析処方ガイドライン

と、全6章に分けられており、内

在宅血液透析に関しては、「第5章 発展的血液浄化法」の

「Ⅲ.透析スケジュール」

に記述がございます。

全体の構成は

  • 2/3を「解説」
  • 1/3を「補足」

となっております。HHDは

「頻回・長時間血液透析」の一形態

という位置づけか。

内容を大局的に見てみると、「解説」部分では

標準血液透析と比較した場合の「頻回・長時間血液透析」のメリット

「補足」部分では

「長時間血液透析・頻回血液透析」のデメリット

が記述されている、と言って差し支えないかと思います。

したがって、以下は

「頻回・長時間血液透析」の定義

を挟み

ポイント

「頻回・長時間血液透析」のメリット

「頻回・長時間血液透析」のデメリット

といった構成で進めて参ります。

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解説

「頻回・長時間血液透析」の定義

上記定義でいうと、私の

"週6回、3時間"(※非透析日翌日は4時間)は

"頻回標準時間血液透析":週5回以上、3~6時間未満

ということになります。

さて、まず

当ガイドラインでは、標準血液透析を

生命を維持する最低限の治療であり、

そのため透析関連合併症が発生し生命予後が不十分

としている。これを解決する方法として

頻回・長時間血液透析が有用である、と。

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「頻回・長時間血液透析」のメリット

pros,

頻回・長時間血液透析の優位性が発揮されるケース(症例)を

大きく二つ、つまり

  1. 通常の血液透析では管理困難な兆候を有する症例
  2. 通常の血液透析により安定している症例で
    さらに透析時間・回数を増加することにより、
    よりより状態に維持できる可能性がある症例

とに分類しております。

1.通常の血液透析では管理困難な兆候を有する症例 はさらに

  1. 心不全兆候を認める、または血行動態の不安定な症例
  2. 適切な除水、適切な降圧薬管理、適切な塩分摂取管理を行っても
    高血圧状態が持続する症例
  3. 高リン血症が持続する症例

とに分け、話が進みます。

a.心不全兆候を認める、または血行動態の不安定な症例
b.適切な除水、適切な降圧薬管理、適切な塩分摂取管理を行っても高血圧状態が持続する症例
長時間血液透析

透析時間を長く確保することは

ゆっくりした除水速度で、かつ総除水量も増加させることが可能

これにより、体液コントロールの改善が得られるため

血行動態が安定することになります。

また、透析時間を長く確保することは

透析後半に血圧が低下するという「透析低血圧」の頻度を減少させます。

このことは

特に高齢者など合併症を有する患者さんにとっては、有益。

血行動態が安定し、「透析低血圧」の頻度を減少させることが出来れば

目標DWに達することが、より容易となり

結果、血圧のコントロールは良好

降圧剤の減量も得られる

血行動態(循環動態)とは

血管、心臓など循環系を流れる血液の状態のことです。

循環は心臓・血管・循環血液量の3つの要素によって構成されています。

循環機能はこの3要素を統合して全身の臓器に血液を循環させる機能のことで、

3要素のうち一つでも機能が破綻すれば、循環機能全体が不全をきたします。

(引用元:じんラボ

頻回血液透析

標準血液透析の透析回数は週3日、つまり

連続2日間の非透析日が発生することになります。

週の血液透析回数が増えれば

非透析日が2日連続することはなくなる、つまり

透析間の体重増加が少なくてすみ

このことは、上記長時間血液透析同様

血行動態の安定に寄与します。

日本国内のある臨床研究では

標準血液透析を

❝2時間・週6回❞の頻回血液透析に変更した結果

DWの上昇にもかかわらず

有意な血圧低下が得られた、という。

他には、「左心室肥大の減少」も報告されています。

左心室肥大は透析患者には一般的で、予後不良の因子の一つでありますが

頻回血液透析による体液と血圧の適切な管理により

左心室肥大が減少したという。

左心室肥大とは

左室肥大は、

高血圧、冠動脈疾患、弁膜疾患あるいは糖尿病などいずれの要因でもたらされたかに関わらず、

心不全発症の重要な因子である。

心不全患者の約20%は心電図上の左室肥大を有し、

左室肥大の程度が増すのに応じて

心不全患者の長期予後が段階的に悪化することが知られているからである。

(引用元:J-STAGE「左室肥大と心不全」)

c.高リン血症が持続する症例
長時間血液透析

リンは

同じ小分子である尿素などとは

  • 体内を循環する血液中に比して、組織内に大量に存在している
  • 移行速度に関して多くの要因が複雑に絡んでいる

等の違いがある。このことから

尿素などは

血液透析時間延長の効果が、相対的に少ないのに対し

リンの除去量を増加させる方法の一つとして

透析時間の延長は非常に有用である。

ただし、長時間の透析となると

リンの最大プールである骨から血液中への移動も危惧される点

注意を要する。

頻回血液透析

透析回数の増加も

リンの除去量を増加させるには有用、加えて

リン吸着薬の減少も得られる

しかし同時に

食事量が増加して、リン摂取量が増加することなどを考慮すると

リン除去を増加させるため

頻回血液透析でも時間の延長が必要となる。

※頻回夜間睡眠中血液透析

リンを除去❝し過ぎる❞、つまり

食事量増加などで、リン摂取量が増加するにもかかわらず

血清リン値の低下とリン吸着薬の著明な減少が示され、さらに

低リン血症の防止のため、透析液にリンの補充を必要とする場合もある。

通常の血液透析により安定している症例

標準血液透析から、透析時間・回数を増加することにより

よりよい状態に維持できる可能性、つまり

QOL向上への効果がある。

あるデータでは

5時間以上5.5時間未満まで

透析時間が長いほど死亡リスクが低下している。また

長時間のゆっくりした週3回8時間の血液透析で

心血管合併症による死亡の減少が見られる。これは主に

血圧の良好なコントロールに関連している。

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補足

「頻回・長時間血液透析」のデメリット

cons,

長時間血液透析

一般に市販されている透析液は

あくまで週3回の標準血液透析を前提として組成が決定されている。

そのため

国内で市販されている透析液で長時間血液透析を行うと

カリウム、リン、カルシウムなどが過剰に除去され

低カリウム血症や、低リン・低カルシウム血症と

それに伴う骨量減少などの合併症の発生が危惧される。

このような場合は

血流量、透析液流量を調節するとともに

適切な透析液組成を選択する必要がある。

とくに、頻回夜間睡眠中血液透析では

上述したように、リンを除去❝し過ぎる❞ので

透析液カルシウム濃度とリン濃度を適切に調整することも必要となる。

このように

標準血液透析を前提として組成された市販の透析液を

「長時間血液透析」「頻回血液透析」といった

標準と異なった透析条件で用いる場合には

安全性を厳格に担保しなければならない

頻回血液透析

あるデータでは

頻回血液透析でVA(バスキュラーアクセス)不全が多く発生している。

これは

頻回穿刺による血管の荒廃と考えられる。

また、頻回血液透析により穿刺回数が増すということは

❝穿刺痛の増加❞を意味する。

これについて、ガイドラインでは

ボタンホール法や補助器具が開発されており

疼痛の緩和も期待される。

との記述がある。

補助器具については以前、記事を投稿しましたが

結局、針を腕に何度も刺すことは変わらないので

個人的には❝疼痛の緩和❞はあまり期待してません😔。

上述した透析液同様

現在の透析機器及び関連備品も

標準血液透析と同じダイアライザー、血液回路、透析液供給装置等を用いているので

材料使用量の増加は避けられない。したがって

今後、専用装置の開発が必要である。

※海外の透析機器についての記事はこちら👇

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まとめ

thanks

一部難解な表現は含まれていましたが

内容としては、十分理解可能なものでした。

実は、今回の記事はいわば「エピソード0」でして…

よりアカデミックな領域を勉強したいと、資料を検索したところ

日本透析医学会雑誌 2019年9号(52-9)に

頻回・長時間透析の現状と展望

という報告記事がございました。

今回ご紹介したガイドラインに比べて

内容はかなり高度、記述も難解。

ただし

「頻回血液透析」「長時間血液透析」に関して

かなり突っ込んで内容となっており

個人的には、非常に興味深いものでした。

自分の実体験を踏まえながら、時間をかけて読み解き

近いうちに、皆様にご紹介できる形にまで

記事をまとめてみたいと考えております。

お楽しみに!

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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