❝医療行為を受動的でなく
能動的に自ら行う、というHHDの特殊性から
HHD患者サイドも
同医療行為について、"能動的"に学ぼう!❞
日本透析医学会「維持血液透析ガイドライン」に続く"第二弾"として
日本透析医学会雑誌
過去2回の投稿で、各論
- 透析量、水分管理
- 安全性(施設深夜長時間透析(INHD)の適応と安全対策の実態)
- 適応
- 患者管理と透析処方
- バスキュラーアクセス管理
ご紹介して参りましたが
一つの記事にまとめきれず、大変申し訳ございません🙇。
在宅透析とは】日本透析医学会誌「頻回・長時間透析の現状と展望」を、患者自身が読んでみる(最終章)
各論
各論
- 透析量、水分管理
- 安全性(施設深夜長時間透析(INHD)の適応と安全対策の実態)
- 適応
- 患者管理と透析処方
- バスキュラーアクセス管理
- 透析装置(頻回・長時間透析に適した装置)
- 統計調査(JRDR 予後解析からみた頻回・長時間透析の至適透析量)
6.透析装置(頻回・長時間透析に適した装置)
在宅血液透析(HHD)用の装置に必要な機能や条件について
国内透析装置メーカーへの調査、検討を行った
その内容報告となっております。
結果
シェアの6割を占める日機装
それに続く東レ、ニプロ、JMS
上記4社からあげられた
「RO装置」並びに「透析機器装置」への今後の展望が紹介されています。
RO装置(水処理装置)への今後の展望
- 装置の小型化
- 動作音の減音化
- 消耗部品交換作業の容易性
- 透析装置との洗浄・消毒の連動が可能であること
血液透析機器への今後の展望については、主に2点
透析液の精製
透析液精製については
❝粉末溶解可能な装置❞について言及してます。
これに関しては、補足資料をご紹介させて下さい。
参考資料
日本医療機器学会 医療機器学(2016 Vol.86 No.1)「在宅血液透析に求められるシステムとその役割」
現在の在宅血液透析で使用する透析原液は液剤タイプ。
6㍑or9㍑の透析原液を
毎回、患者や介助者が透析装置まで運ぶ必要がある。
配送するメーカーの負担も大きい(毎回見ていれば分かります)。
実は、透析原液は
粉末剤(人工腎臓透析用剤)を溶解して作製することができる。
これはセントラル方式人工透析システム(CDDS:Central Dialysis Fluid Delivery System)
を採用している医療施設で使用されているもので
溶解装置により透析原液が作製され
供給装置により希釈されて
ベッドサイドの透析用監視装置に供給される。
(引用元:NEDO 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
HHDに適した粉末剤や個人用溶解装置を開発することで
物流やストックだけでなく
空容器の廃棄に対するメリットもあることから
HHDにおける粉末剤への期待は高いとされています。
操作タッチパネル
透析機器操作タッチパネルのHHD向けへの変更については
現在のところ、在宅透析専用のタッチパネルはなく
機能を制約することによって必要最低限の操作が可能である。
在宅血液透析専用画面の開発に関しては
認可や制約を受ける可能性があり、今後の課題である。
との提言がなされています。
考察
❝アメリカでは(中略)在宅血液透析専用装置を2台承認している❞
との記述が。
奇しくも、当ブログで
その2台(と思われる)装置の記事を投稿しております。
興味のあるかたは是非👇
Outset Medical社:"Tablo"
NxStage社:"System One"
7.統計調査(JRDR 予後解析からみた頻回・長時間透析の至適透析量)
既に前記事で
小分子である尿素を指標物質とした"Kt/V"が
頻回・長時間透析の評価指標として適応困難な旨は、述べた。
現状
頻回・長時間血液透析の"透析量"を
生命予後との関連で適切に評価する指標が定まっていない。
そこで、当統計調査では
JRDR(Japanese Society for Dialysis Therapy Renal Data Registry)
2010年末の透析患者を対象とし
HDP(Hemodialysis product)という指標を用いた解析を行っている。
HDP(Hemodialysis product)
透析スケジュールに注目した適正透析の指標で
ポイント
「1回透析時間」×「回数²」
で計算される。つまり
実際の代謝物除去量ではなく
時間と頻度だけで評価される。
HDP>70
が適正な透析であるとされているが、これは80年代前半に
❝長時間透析により10年生存率75%❞と、長期生存率の優位性を報告
その際のHDPが"72"であったことに立脚しています。
(週3回では、1日透析時間は8時間)
ちなみに、施設血液透析の一般的な「週3回4時間透析」は
HDP"36"=(4h×3²)
考察(解析したものの…)
頻回・長時間血液透析の"透析量"の指標として
HDPには一定の評価がなされたものの
- 観察期間が12カ月であり死亡イベントが少ない
- 頻回透析患者のサンプル数が小さい(HDPが大きい患者が少ない)
- HDPが低い患者の残腎機能の影響が大きい
等の関与が少なからずあったと考えられることから
透析方法を含めた透析処方の変更に十分対応できていなかった、としている。
今後は
❝頻回・長時間透析がさらに増えているより直近のデータを用いた解析を行い
長期的に観察を行うことで、解析精度は増すのでは❞
として、報告を結んでいる。
まとめ
全3回に分けて
日本透析医学会雑誌
私が理解出来る範囲内で、内容をご紹介して参りました。
記事をまとめながら考えていたこと、それは
❝現在の自身のHHDに、どう落とし込んでいくか❞
ということ。
- 透析の頻度、時間
- バスキュラーアクセスの管理
- 自宅での公衆衛生、安全管理
- 医療機関、メーカーへの要望等
頻回・長時間透析に関する❝エビデンスレベルが低い❞とされる中
"720人"(わが国の慢性透析療法の現況(2018 年 12 月 31 日現在)より)
私含め、現在HHDを行う患者の責任と役割は、決して小さくはない。
まずは絶対、事故を起こさないこと。
そして
まだまだマイナーな頻回・長時間透析医療の未来のために
自らの経験を的確にフィードバックすること。
ひいては、そのことが
自分自身の未来をより明るいものにすると信じて。
次のブログテーマ、決まったな😏
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。