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在宅血液透析 穿刺/抜針/止血

【在宅透析と自己穿刺】自己穿刺を行う者だけが感じるであろう 「自己穿刺特有の難しさ」

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CKD患者で、在宅血液透析導入を検討されている方

真っ先に浮かぶ"不安材料"といえば、おそらく

自己穿刺

でしょう。

お気持ち、よくわかります。

在宅血液透析8年目(2020年9月末現在)の私ですが、最初に

自分の手で

自分の腕へ

自分の血管へ

針を刺した時の事、当時の心境は

今での鮮明に覚えています。

とはいえ

在宅血液透析を導入すると決意し、実際の導入トレーニングが始まったら

あれこれ考えても、やるしかないわけです。

やること全てが初めての経験。

教えて下さる技師さんからのレクチャー、アドバイスをよく聞いて

ただひたすらに、その通りに「刺す」だけ。

これが

自宅での血液透析生活が始まり

1年経ち2年経ち…5年程経ってくると

「別の難しさ」を感じてきます。

今回は

自己穿刺を行う者だけが(おそらく)感じるであろう

「自己穿刺特有の難しさ」について

深掘りして参ります。

【在宅透析と自己穿刺】自己穿刺を行う者だけが感じるであろう 「自己穿刺特有の難しさ」

前記事でご紹介しましたが

私の自己穿刺の手技工程は下記の通り。

穿刺前準備

  1. 穿刺部位の位置決め
  2. 穿刺針の準備
  3. 駆血ベルトの仮止め
  4. 穿刺部位消毒
  5. テープ裁断
  6. 穿刺部位付近へのテープ貼付
  7. シャント肢駆血
  8. 手枕セット
  9. 穿刺針の保持
  10. 穿刺針持ち手を手枕で支持
  11. 穿刺針進入角度の決定
  12. 穿刺針先端の皮膚アプローチ

片手で行うこと(両手が使えないこと)

「これが全て」と言っていいほど

"他人穿刺"と"自己穿刺"との決定的な違い。

施設スタッフの方々は

穿刺針を持っている手の反対側の手、いわば

"余っている手"つまり両手を使って患者へ穿刺します、当たり前ですが。

これが自己穿刺では

片方の腕(シャント肢)は針を"打たれる側"に回るので

"刺す側"の役割を果たすことは、実際的に不可能。

(※私の想像を超えるスペシャルな手技をお持ちの方がいる可能性は捨てきれないが…)

そこにこそ「自己穿刺の特異性」があると思うのです。

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触診

穿刺する部位の大体の当たりをつけて、腕を駆血。

血管の太さ、走行、深さ等を触診

血管の存在を確認し、穿刺。

この時(これは想像ですけど…)※右利きの方を想定

施設スタッフの方々は、右手で穿刺針を持ち

もう片方の左手で触診。つまり

腕(皮膚)に針を刺し込む直前まで

患者さんの血管の存在を感じ、"当たり"を付けることができる。

一見何気ないことですが、このことは自己穿刺をする立場からは

大きなアドバンテージに思います。

自己穿刺の場合、当然ながら

血管を触診するのも、腕(皮膚)に針を刺し込むのも、同じ腕。

腕を駆血し、穿刺する部位の大体の当たりをつける辺りまで、つまり

針をまだ持っていない段階では

自分の血管を自分の腕で触診することは、造作も無いこと。

しかし

いよいよ穿刺、つまり穿刺針を持ってしまうと、状況は変わる。

確実に仕留めるには、ギリギリまで血管の存在を確認したいところ。

その為の触診をするには

針を持ったまま触診することになる。

触診するために使った指を、穿刺針へ"戻す"時

時々、穿刺針の向きが違ってる場合があり

(※私の使用する穿刺針には「こっちが上!」と分かるよう黒い「●」印ある)

その時、自分の目線を穿刺部位から一瞬外してしまうんですね。

大きなズレはないとはいえ

これから自分で自分の腕を針で刺そうとする時の心情としては

ギリギリまで、当たりを付けた場所を見ていたいものです。

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皮膚の"ヨレ"

穿刺の際、皮膚に一定程度張りがある方が、針が皮膚及び血管に刺さりやすい。

施設スタッフの方々は、上述と同じ理屈ですが

穿刺針を持っている手の反対側の手、いわば"余っている手"で

患者の穿刺部位付近の皮膚を押し引っ張ることで、皮膚に十分な緊張を持たせ穿刺できます。

一方、自己穿刺では手が"余って"ないので、同様のことはできません。

では、どうするか。

苦肉の策として私の場合は、医療用テープを使って

穿刺部位付近の皮膚を引っ張りながらテープ止めをします。

こうすると、かなり皮膚に緊張感を持たせられ、針が刺さりやすい。

しかし、これも危ういもんで

針の皮膚及び血管への挿入時に、想定以上の力が加わってしまうと

せっかく貼っていたテープが、剝がれてしまうことがある

穿刺した部位の皮膚が硬かったり、血管が硬かったりする場合です。

さっきまで張りのあった皮膚が

穿刺の大事な局面で、通常の皮膚の表面状態に。

結果、穿刺針を押し進める時に、皮膚が"ヨレて"しまって

刺さりずらいし、時に痛い。

在宅血液透析8年目、最近では

皮膚の張りを持たせる手段として、事前のテープ貼りだけでなく

穿刺針を持つ手、己の5本の指を最大限に利用することができるようになってます。

具体的には…

  • 「親指」と「薬指」で針の中央部を摘まむように持ち
  • 「人差指」は針の"お尻部分"に
  • 「薬指」は軽く針を保持する程度

つまりこれだと、「小指」が余るわけです。

そこで、その「小指」の"横っ腹"で

穿刺部周辺を押し引っ張ることが出来てます。

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穿刺方向

施設スタッフの方々は、その道の"プロフェッショナル"なので

患者さんの血管に対して

あらゆる方向から穿刺する技術はお持ちだと思います。

一方、自己穿刺をする私の基本的な穿刺方向は

末梢から中枢方向」です。つまり

脱血側穿刺でよく行われる(であろう…)

「中枢から抹消方向」へは、殆ど行いません。

理由はズバリ、刺しずらいから。

「中枢から抹消方向」への穿刺、やったことはあります。

先述したように

医療用テープを使って穿刺部位付近の皮膚を引っ張りながらテープ止めをし

針を皮膚へ挿入、内菅(金属針)先端が血管をとらえ"脱血"を確認

ここまでは、いい。

しかし、そこからが難しい、つまり

内菅を少し引き抜くことが難しい。

今現在まで、そこの段階を私一人で打開する術は、見いだせていません…

この場合は例外的に

介助者である妻の手を借り、妻に内菅を少し引き抜いてもらいます。

このような理由から

穿刺方向は今のところ「末梢から中枢方向」と限定的です。

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穿刺場所

現在でも、生体腎移植手術の時の主治医にはお世話になっていて

2~3カ月に1回のペースで、シャントの状態を診てもらってます。

先週の外来時。

8年間弱、日々行われた穿刺

ここはもう、刺さない方がいい

との場所を2~3か所指摘された。そこでその分

"新規の穿刺可能場所"の探索を、お付きの看護師さんと共に行いました。

いくつか

「ここ、刺せるんじゃない?」

との場所を探索、指示して頂いたのですが…

自己穿刺をやる立場からは

「そこ、ムズイっす…」という場所ばかり。

上腕部で、ほとんど肩位置程の場所だったり

前腕尺骨側の"裏側"の場所だったり、さらには

「足はどう??」

と言われました!!。主治医は

「足は静脈炎起こすから本当は止めた方がいい」とおっしゃって頂きましたが。

"穿刺可能な血管はどこか?"という点だけでなく

"自己穿刺可能な血管はどこか"という点を考慮して頂かないと

こちらとしては、実践に移すのは正直難しい

やはり

在宅血液透析患者を受け入れ、管理している病院/クリニックの

専門の技師、看護師さんにご相談しないと、いけないようですね。

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まとめ

thanks

時々考えます。

刺せる場所が無くなったら、どうしよう…

この先、献腎移植手術の機会、順番が回ってこなければ

"死ぬまで"透析を続けるわけです。

長年、針を刺し続けていれば、血管はボロボロとなり

シャントトラブルとは、隣り合わせ。

現在VA(バスキュラーアクセス)のあるのは左手

左手がシャントとして使えなくなったら

右手にVAを造設することに、なるんだろうか。

その場合でも、個人的には

今の在宅血液透析は、維持したい!!

それを可能とするためには

現在の利き手ではない左手で

自己穿刺はじめとした、在宅血液透析に関する全ての手技を行えるよう

その「巧緻性」を高める必要は、ある。

まあ、時間はある。

鉗子の操作練習から、始めますかね。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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