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メリット/デメリット 在宅血液透析

【在宅透析のメリット/デメリット】私が考える、在宅血液透析を導入・継続するために必要な一番の"条件"

try, difficulties,

私自身が言うのも変ですが…

Twitterのキーワード検索で"在宅血液透析"と入力し検索すると

最新タブのタイムラインに表示されるツイートは、ほぼ私💦

ブログの読者数、Twitterフォロワー数ともに

"微々たるもの"の私が、検索上位にくる

この不可思議な事実一つとっても

在宅血液透析が、いかにニッチな分野かというのが分かる。

[su_box title="補足" style="soft" box_color="#1ffaf4"]

数は少なくとも

読んで頂ける方がいるから、頑張れる。

読者の方々には、感謝の想いで一杯であります🙇🙇

[/su_box]

そんな中、先日

珍しく、私以外の「在宅血液透析」を扱った記事がTwitter上にアップされていて

それなりの方々が(それでも数は非常に少ないですが)反応されていました。

それが、これ👇

有料会員向けの記事ゆえ

誰でも全文見れるという類のものではありませんが

冒頭部分を見て、話の骨子はだいたい予想できます(※あくまで私の勝手な推測です)。

  • 自宅で血液透析する、という選択肢があるんですよ
  • 食事制限を緩和され体調も良くなり、寿命も延びる効果があるそうですよ
  • でも、そこには越えなければいけないハードルがあるようですよ

そして、本文ではおそらく

  • 自分で針を刺さなければいけないこと
  • 自己管理が重要であること

を柱とした話が述べられていることが予想されます。

[su_note note_color="#e7e7dc"]

ちなみに、私のツイートをフォローして頂いている方々で

同記事に反応されてらっしゃる方は、ほとんどお見掛けしませんでしたかね。

おそらく、私のツイートをフォローして頂いているということは

多少なり"在宅血液透析"というワードは、他の多くの方々より認識されていることでしょうから

同記事のヘッドラインをご覧になったとしても、あまり驚きはなかったのでは、と推察してます。

[/su_note]

その一方で、同記事に反応されている多くの方々は、やはり

「家で透析できるのか、いいかも」的な感じだったと記憶してます。

同記事に限らず

医療機関から提供される在宅血液透析に関する情報は

在宅血液透析そのものの話はもちろんですが

「メリット」と「デメリット」を並べて表記されています。

さすがに専門医療機関なので、非常に良くまとまっています(※上から目線的な物言いですみません)

在宅血液透析に関心のある方々は、とにもかくにも

複数の専門医療機関のHPをご覧頂くことが第一歩だと思います。

が!

HHD導入から約8年弱

在宅血液透析をリアルに継続している私としては

大手マスメディアや医療専門機関では、あまり語られていない(ように思える)

在宅血液透析を導入・継続するために必要な一番の"条件"というものがある

と、思っているんですね。

今回は、そこをお話します。

ちなみに内容は、在宅血液透析を導入・継続するために必要な「根幹」の部分であります。

「枝葉」の部分に関して、つまり

各カテゴリー各要素については、個々の記事をアップしておりますので

(今後もアップしてまいりますので)そちらをご参照下さい。

[su_box title="注意!!" style="soft" box_color="#fa1f23"]

私は"イチ透析患者"であって、在宅血液透析普及を推進するような立場には当然ありません。

それらは専門の医師をはじめとした医療従事者の方々の"仕事"であり"領域"です。

また

私が自身の行う在宅血液透析のことをお話するという行為は

決して、医療施設にて辛く苦しい血液透析を行ってらっしゃる多くの患者さんに対して

「俺はHHDやってるんだぜ、いいだろ」

などといったニュアンスは、一切!一切含まれません!!

あくまで

私は、在宅血液透析を行う今の透析環境に満足しているということ、そして

そのリアルな体験や、そこで感じたことを伝えるだけ

それ以上でもそれ以下でもありませんので

くれぐれも誤解無きよう、お願い申し上げます。

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【在宅透析のメリット/デメリット】私が考える、在宅血液透析を導入・継続するために必要な一番の"条件"

日本透析医会の「在宅血液透析管理マニュアル」

公益社団法人 日本透析医会の、在宅血液透析に関するガイドライン

在宅血液透析管理マニュアル には

冒頭「在宅血液透析の意義 」が述べれられています

在宅治療は、単に入院や頻回通院の解消策にとどまらず、

患者のQOLを考えた場合、もっとも望ましい医療の姿といえる。

特に血液透析治療は移植が成功しない限り終生続けねばならない治療であり、

患者が医療施設で過ごす時間の累積は膨大なものとなる。

在宅血液透析は、特に生命予後が良いとされる頻回または長時間透析を、

医療施設の事情に左右されず、自分の生活スタイルに合わせて実施することができるという利点があり、

患者の QOL を考えた場合、非常にメリットの大きい治療法といえる。

(引用元:在宅血液透析管理マニュアル

こちらをご覧になって、どこか気になりましたか?

❝血液透析治療は移植が成功しない限り終生続けねばならない治療であり、患者が医療施設で過ごす時間の累積は膨大なものとなる。❞

という部分は、特に現在

施設で標準血液透析(週3回、3~6時間未満)を行う患者さんには、非常に悩ましく

辛い現実かと思います。

しかし、今回私が注目するのは

特に生命予後が良いとされる頻回または長時間透析を、医療施設の事情に左右されず、自分の生活スタイルに合わせて実施することができるという利点があり

という部分です。

本記事の結論を先に申し上げてしまいますが

果たして

頻回または長時間透析を(中略)

自分の生活スタイルに合わせて実施することは(あなたは)可能なのか?

という問題です。

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「頻回または長時間透析を実施する」ということ

HDP(Hemodialysis product)

HDP(Hemodialysis product)とは

透析スケジュールに注目した適正透析の指標で

ポイント

「1回透析時間」×「回数²」

で計算される。つまり

実際の代謝物除去量ではなく

時間と頻度だけで評価されたものです。

施設血液透析の一般的な血液透析(週3回4時間)のHDPは"36"(4h×3²)

一般社団法人 日本透析医学会の「維持血液透析ガイドライン:血液透析処方」には

下記のような記述がございます。

現状の血液透析治療は間歇的治療であり、

多くの症例は週あたり12時間しか治療されていないため腎機能の代行は不完全である。

この標準血液透析(週3回、3〜6時間未満)は生命を維持する最低限の治療であり、

そのため透析関連合併症が発生し生命予後が不十分となる。

(引用元:「維持血液透析ガイドライン:血液透析処方

一方で

病院側が定めたHDP「72」を一定期間下回った場合、というのを

在宅血液透析の中止基準としている医療機関もある、と聞きます。

このHDP「72」という値はどこからくるのか。

これについては、下記文献参照👇

日本透析医学会雑誌

「7.統計調査(JRDR 予後解析からみた頻回・長時間透析の至適透析量)」の項目に記述がございます。

(中略)「HDP>70」が適正な透析であるとされている。

これは、80年代前半にCharraらが長時間透析により10年生存率75%と長期生存率の優位性を報告しているが、

その際の透析量はHDP72となることに立脚している(週3回、1日8時間)。

(引用元:「頻回・長時間透析の現状と展望」)

何を申し上げたいか。

在宅血液透析を導入する、ということは

最低でもHDP「72」となるよう、自宅で血液透析を行う必要がある、ということ。

上記参考文献では

HDP「72」となる透析スケジュールを「週3回、1日8時間」としておりますが

実際、私の管理病院でもそうですが

"非透析日を中2日作らないこと"も、HHD継続の条件とする場合が多い(と思われます)。

これをクリアするには、最低週4回は血液透析を行うことになる。

週4回でHDP「72」とするには、「1日4.5時間」の血液透析が必要

つまり現在、施設にて標準血液透析を行う患者さんにとっては

"透析回数"も"透析時間"も、現状より多く長くなる

ということを受け入れなければいけません。

※後に述べますが、このHDP「72」というのは"最低ライン"であって

HDP「108」が望ましい、とHPで公示している医療機関もございます。

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患者本人の問題

先述した

「"透析回数"も"透析時間"も、現状より多く長くなる

このことを深掘りするのに、一つ興味深いエピソードをご紹介します。

在宅血液透析患者は必ず月に一回

管理医療施設へ外来し、医師の診察を受けるのですが

その外来時の待合室での、ある一コマをご紹介します。

同管理医療施設は当然、通院血液透析を行う専門クリニックでありますので

血液透析を行いに通院される患者さんが

待合室の前を(ちょうど入れ替えのタイミングということもあり)行き来するわけです。

そんな中、1人の通院血液透析患者さんが、クリニックのドアを開けるなりスタッフの方に

「よお!在宅で透析できるんだってな?じゃあ、ここ(病院)来なくていいんだろ?イイじゃねーか!」

と、矢継ぎ早にお話し始めたのです。

受付のスタッフや近くにいた看護師の方も、一瞬のことで返答に困っておりました。

院長室が近く、同やり取り(患者さんの一方通行ですが…)を聞きつけた院長が来られて

「少しお話しましょうか」と同患者さんを、院長室へ招き入れました。

スタッフの方々は、一様に苦笑い。

時間にして5~10分程度でしょうか

院長室から出てこられた同患者さん、当初の威勢の良さは消え

おとなしく奥の透析ルームへ向かって歩いて行かれました。

これは私の勝手な憶測ですが、同患者さんは院長に

"在宅血液透析とは"という基本的な情報を初めて聞き、諭された形で院長室を後にしたのでしょう。

前置きが長くなりましたが…

「よお!在宅で透析できるんだってな?じゃあ、ここ(病院)来なくていいんだろ?イイじゃねーか!」

そういうことじゃないんですね、在宅血液透析は

ご自身の現在のライフスタイル、生活のタイムテーブルに

「週4回、1回4.5時間」という血液透析を、どう組み込んでいくか。

イメージしてみて下さい。

なお「4.5時間」というのも、これはあくまで

血液ポンプが回り血液透析が始まってから、除水及び血液浄化が終わるまでの時間、であって

その前のプライミング、自己穿刺を含めた血液透析を開始するための準備時間も

その後の返血/止血時間、使用済み医療備品の後片付け、透析機器及び周辺の清掃時間も

当然、含まれません。

それぞれ、どれほどの時間を要するかは、患者本人または介助者によって異なると思います。

ちなみに、私の場合は「1回3時間」

3時間という"短時間"ではありますが、毎日就寝時間は深夜1時は確実に過ぎます。

私は自営(行政書士)

介助者の妻は、比較的近距離通勤で定時退社を容認されている

この状況で、毎日就寝時間は深夜1時は確実に過ぎます。

[su_box title="注意!!" style="soft" box_color="#fa1f23"]

"私はこうです"という事実説明であって

もしかしたら、在宅血液透析をしながら

週5日、8:30~17:15(※地方自治体がモデル)

フルタイム勤務されている患者さんもいらっしゃるでしょう。

あくまで「私にはフルタイム勤務はできなかった」 ということですので

くれぐれも誤解の無いようにお願い申し上げます。

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介助者の問題

介助者がクリアしなければいけない諸問題については

下記ブログ記事を是非ご参照下さい👇。ここでは紙面の関係上割愛させて頂きます。

お読みいただければ

そう簡単なことではないこと、ご理解して頂けるかと思います。

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まとめ

ここで一つ、専門医療機関のHPをご紹介させて下さい。

茨城県立中央病院

在宅血液透析でクリアすべきHDPをイメージする際の

有益な情報がまとめられていたので。

CCR(クレアチ二ンクリアランス)30ml/分の透析ができれば、

何の自覚症状もなく本来の寿命をまっとうできるのではないでしょうか?

それでは、どれくらいの透析がクレアチ二ンクリアランス30ml/分の透析なのでしょうか?

(中略)

では標準透析(のHDP※筆者補足)を計算してみましょう。

4時間×週3回×週3回=36 となります。

これが、10%の腎機能代償です。

30%腎機能代謝する為には、その3倍が必要になります。

つまり36×3=108 HDP(透析プロダクト)となります。

腎機能を30%代償できる透析の量は?

さあ、透析プロダクト108の透析の組み合わせを考えてみましょう!

(中略)

週4回では6時間45分が理想的ということになります。

昼間に行うと腰が痛くなるかもしれません。

それでは、もっと透析の頻度を増やしてみましょう。

週5回では、4時間19分

週6回では、3時間丁度

週7回では、2時間12分 となります。

(引用元:茨城県立中央病院 在宅血液透析とは(在宅血液透析(HHD)の治療効果について)

週4回であれ、週5回であれ、週6回であれ、週7回であれ

自宅で血液透析を行いながら

先に上げた

"週5日、8:30~17:15(※地方自治体がモデル)フルタイム勤務"

これを患者自身行うことが、いかに簡単ではないか。

同様に、介助者が

"週5日、8:30~17:15(※地方自治体がモデル)フルタイム勤務"

これをしながら、HHDの介助業務を行うことが、いかに簡単ではないか。

私は現在、"週6回の3時間"(土曜日のみ非透析日)

HHD導入当初は隔日透析、次に2連日透析1日休み

次に週回(3連日透析1日休み、2連日透析1日休み)と言う風に

徐々に透析回数を増やしていきました。

その過程で

"週5日、8:30~17:15(※地方自治体がモデル)フルタイム勤務"

これを続けることが"私は"現実的に困難と判断し

行政書士資格を取得したという経緯があります。

先にご紹介したように、HDPは

ポイント

「1回透析時間」×「回数²」

で計算されます。これを見ると

「回数²」なので

透析時間より透析"回数"を増やした方が

HDPの数値そのものを上げる効果はあるわけです。

ただし、現状では

推奨される透析時間、透析回数のエビデンスが不足し定まっていないようですが…

(※下記ブログ記事参照願います👇)

繰り返しのご紹介になりますが…

在宅血液透析は、特に生命予後が良いとされる頻回または長時間透析を

医療施設の事情に左右されず、自分の生活スタイルに合わせて実施することができるという利点があり、

患者の QOL を考えた場合、非常にメリットの大きい治療法といえる。

(引用元:在宅血液透析管理マニュアル

多くの施設血液透析患者さんが行う標準血液透析(週3回、3〜6時間未満)が

生命を維持する最低限の治療である、と公証されている以上

標準血液透析以上の透析回数、透析時間を可能とする在宅血液透析に

生命予後や患者のQOLの観点からメリットがあることは自明なのでしょう。

しかし

その在宅血液透析を約8年弱続けてきた私が、声を大きくして申し上げたいのは

HHDは、確かに素晴らしい透析環境であり、私自身非常に満足している

ただ、HHDのメリットを享受するためには

  • 頻回または長時間透析を
  • 自分の生活スタイルに合わせて実施すること

これが出来ることが最低条件であるということ、そして

この条件をクリアすることは

患者本人の問題、介助者の問題、諸々の問題も含め

決して簡単なことではないですよ、ということです。

"自由ということはその分選手一人一人が担う責任が大きくなる"

毎度当ブログでご紹介している中田英寿選手(あえて)の言葉。

HHDの"医学的見地"からのメリットは専門家にお任せするとして

「で、実際やってみてどうなのよ?」患者の"リアル"を発信することが

約34万人の透析患者のうちの"720"(2018年12月末時点。日本透析医学会より)の1人である

私の責務だと思ってます。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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