在宅血液透析(HHD)では
血液透析(HD)に関する全てのことを
在宅で患者自らが行う
現在、通院血液透析を行っている患者さんで
- 在宅血液透析に興味のある方
現在、腎保存期の患者さんで
- 在宅血液透析に興味のある方
在宅血液透析について上記のようなイメージ、お持ちかと思います。
しかし…
「採血」まで、在宅で患者自身で行う
ということ、ご存じない方、多いのではないでしょうか。
HHDを管理する全ての医療機関が、そうというわけではないでしょうが
少なくとも、私のHHDを管理して頂いている医療機関では
「採血」も、在宅で患者自身で行います。
そこで今回は、画像も交えながら
在宅での採血から、検体の発送までの一連の流れを
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【在宅透析のサブ業務】在宅血液透析(HHD)では、"採血"も患者自身で行います!
初めに(全体の流れ)
採血は、透析「前」と透析「後」行い
それぞれの検体を検査機関(クリニック経由)に発送します。
検体を入れる「スピッツ」は
中に"抗凝固剤"が入っているものと、入っていないものがあります。
- "抗凝固剤"が入っているものは、透析「前」のみ
- "抗凝固剤"が入って"いないもの"は、透析「前/後」
使用します。
どの「スピッツ」に採取した検体が
なんの検査項目算出に使われるのか
私には、サッパリわかりません…
準備(必要医療備品一覧)
- アルコール綿
- ルアーアダプター
- スピッツ
- スポイト
それぞれが、どの場面で、どう使うか
これからご説明いたします。
採血
血液ポンプが回り、透析開始された直後
※正確には"除水のみ"(限外濾過(ECUM))モードにしてます。これは私独自💦
血液回路動脈側アクセス部近くの「サンプルポート」(上記写真)を
アルコール綿で拭きます、なぜなら"ここ"から血液を採取するから。
採血用の「ルアーアダプター」(上記写真参照)の蓋と紙テープを剥がし
「ルアーアダプター」先端を「サンプルポート」に差し込みます。
尚、この直前に血流量を"200"→"100"へ一時的に落としておきます。
「ルアーアダプター」に採血用の「スピッツ」(上記写真参照)を差し込み、採血。
スピッツ内は陰圧となっているので、規定量まで血液が入り込んできます。
現在は…透析前は
- "抗凝固剤"が入って"いない"スピッツ1本
- "抗凝固剤"が入っているスピッツ2本(場合により3本)
透析後は
- "抗凝固剤"が入って"いない"スピッツ1本
採血します。
尚、"抗凝固剤"が入っているスピッツの場合は
採血した直後に、軽く振ります(抗凝固剤を検体に行き渡らせるため?)。
"抗凝固剤"が入っているスピッツは
この時点で、発送用のビニール袋に入れてしまいます。
※採血が終了したら、モードをECUMから「HD」モードに切り替えます。これは私独自💦
遠心分離
透析前/後に使用する
"抗凝固剤"が入って"いない"スピッツで採取した血液は
遠心分離機にかけることになります。
血液採取後、遠心分離機にかけるタイミングですが
"スピッツ内の血液が少し固まった事を確認してから"。
そこそこの大きさの遠心分離機(幅約25㎝/高さ20㎝強)を
透析中の患者つまり私の手の届く場所に置くことは、無理ではないでしょうが
実際、遠心分離機は、私からは離れたコンセント脇に置き
採取した血液の入ったスピッツを、妻に手渡しし
妻がそのスピッツを遠心分離機にセット
遠心分離機の蓋を閉め、作動させてもらってます。
血清採取
検体を遠心分離する時間は約10分、回転スピードは"3.0×1000"RPM
RPM:"revolutions per minute"または"rotations per minute"
遠心分離機にかけられた検体は、上記画像からもわかるように
黄色っぽい「血清」と、赤褐色の「血球」とに分離されます。
HHD導入当初は、"この状態"で検査機関に郵送しておりましたが…
検査項目のいくつかに、異常値が見られることがしばしばあったことから
(輸送時の不可抗力??)
現在では血清"のみ"をスポイトで吸引し
別容器に入れ直してから、検査機関(クリニック経由)へ郵送しています。
発送
透析前採取した検体(スピッツ3本)&透析後採取した検体(スピッツ1本)を
ビニールの小袋に入れ、更に"プチプチ緩衝材"に包み
ゆうパックで、検査機関(クリニック経由)へ郵送します。
「夏場はポストへの直接投函は控えた方が…」
HHD担当臨床工学技士さんからの留意点がございました。
それならば、ということで
四季関係なく毎回、検体は郵便局本局へ持参し、手渡ししています。
(と言っても、これも妻にお願いしちゃってます…)
まとめ
「家で採血して、遠心分離機まで使ってるんですか!!」
以前、"シャント外来"の時、お付きの看護師さんが驚かれてました。
そこは透析クリニックなので、当然ながら看護師さんも透析の、言わばプロ。
そのような方々も「在宅血液透析」となると
そこに関わりがないと、色々"新鮮"なことがあるようです。
提示させて頂いた画像をご覧いただいて、お気づきかと思いますが
今回ご紹介した、在宅血液透析における採血並びに関連する処置は
HHD患者自身が、血液透析「中」に行います。
血液透析を施行しながら、あれもこれも…
今では慣れたもんですがね。
採血並びに関連する処置を行うには、当然姿勢は座位
「血清を取り出す」には、テーブルの上で
穿刺針が刺さり、血液回路を介してコンソールと繋がっている
シャント肢も使って、動かしながら作業します。
この際、シャント肢が動いたことにより「静脈圧上限警報」が鳴ることしばし。
この点踏まえ、今では"作業中"は
一次的に血流量を200→180~190に下げて行ってます。
こんなことも含め
HHDに関しては、現場で経験して"解っていく"ことが多い
そんな印象を
導入9年目に入った現在でも、痛感しております。
したがって私は、ネガティブな意味での
「在宅血液透析に"慣れた"」
と思うことは、ありません。
手技及びその手順等の慣れは当然あるでしょうが
導入から何年経っても、HHDの最初(広義のプライミング)から
最後(返血/抜針/止血)まで※後片付けは妻任せ💦
緊張感を、今でも保持してます。
専門医療者不在の在宅血液透析においては
この点、非常に重要は「心構え」だと、思います。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。