ブログリーダー・フォローバナー(読者向け)

腎生を善く生きる - にほんブログ村

在宅血液透析 腎臓移植 透析全般

【透析と腎移植】世界の在宅透析並びに腎移植普及率。日本の立ち位置は?(2018)

2021年10月29日

日本の在宅透析並びに腎移植普及率は、諸外国に比べてどうなのか?

常々気になっているところ。

一般社団法人 日本透析医学会によると

PDとHHDを足したわが国の在宅透析の合計の比率は3.1%であり、

これらは先進諸国の中では最も低い部類に入る

(引用元:わが国の慢性透析療法の現況(2019年12月31日現在)

とあります。

先進諸国の中では最も低い部類に入る

だけでは物足りなくないですか?

"元ネタ"があれば、チョットのぞいてみたくないですか?

実は、2020年7月に下記ブログ記事を投稿しております👇

根拠となる参考文献(元ネタ)は

UNITED STATES RENAL DATA SYSTEM(USRDS)による

"Annual Data Report"。

「USRDS」とはどんな組織かというと、同HPによれば

❝末期腎不全(end-stage renal disease:ESRD)や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に関する

年次データレポートを作成して、関係各所に報告している、アメリカの組織❞

のようです。

上記ブログ執筆当時、参照したデータは2018年度版=2016年の数値

「新しいデータ、出てるんじゃね?」

ということで覗いてみましたら、ありました!

"2018年"のデータ

ということで、今回

前記事を"改定"致しました。前回同様

できるだけ多くの透析患者並びに腎移植患者の皆様と

情報を共有できるよう

グラフや数値の表記が細かい原文献を

私なりに見やすい形にするよう努力してみました

是非、ご参照下さい。

kindle,(Amazonに飛びます)


【透析と腎移植】世界の在宅透析並びに腎移植普及率。日本の立ち位置は?(2018)

参考文献

ご紹介するのは、UNITED STATES RENAL DATA SYSTEM(USRDS)による

"Annual Data Report"の中の

世界各国を比較することにフォーカスした

11: International Comparisons

となります(2018年の数値)

はじめに

これからご紹介するデータの中に、私含めた素人(非医療者)にとって

馴染みのない、理解しずらい

Incidence」と「Prevalence

という表現がございますので

最初に解消しておこうと思います。

AJKD(The American Journal of Kidney Diseases)の情報を引用させて頂くと

Incidence refers to the new cases

of ESRD during a given year and is a key population measure of kidney disease and access to renal replacement therapy.

Prevalence refers to all cases

of ESRD during a given year and is a population measure of disease burden and resource requirements.

(引用元:Incidence and prevalence of ESRD. United States Renal Data System

  • 「Incidence」は"新規患者数"
  • 「Prevalence」は"ある時点の患者数"

もちろん正確な意味ではないでしょうが

(注:特に「Prevalence」については

専門的見地からの正確な意味について後述します)

素人であれば

この程度の違いをイメージしておけば良いのでは(少なくとも私はこのイメージでいきます)。

目次へ戻る

Incidence of Treated ESRD

Incidence of treated ESRD, by country or region, 2018

(11: International Comparisons 4/34参照)

末期腎不全新規患者数

補足

単位は"per million population"、つまり

"人口100万人あたり"。

Many Asian countries or areas also had high incidence:

in addition to Taiwan, incidence ≥300 pmp was reported in Thailand (365 pmp), Singapore (347 pmp), South Korea (340 pmp)

and Japan (300 pmp).

アジア圏で、人口100万人あたりの患者数が多い国は…

(台湾)、シンガポール、韓国、日本

目次へ戻る

Average yearly change in incidence of treated ESRD attributed to diabetes, by country or region, 2009-2018

(11: International Comparisons 9/34参照)

糖尿病に起因する末期腎不全新規患者数の年平均変化(2009-2018)

Incidence of treated ESRD attributed to diabetes decreased

in Japan,

Norway, Sweden, Bosnia and Herzegovina, Hungary, Iceland, Italy, and the state of Jalisco in Mexico.

日本は"減少"しているようですね。

目次へ戻る

Incidence of treated ESRD by age and by country or region, 2018

(11: International Comparisons 11/34参照)

年齢別の末期腎不全新規患者数

the highest incidence of treated ESRD occurred in individuals aged ≥75 years;

this was also the case in Japan.

他の先進国同様、日本も例外なく

75歳以上の年齢層が最も多い。

目次へ戻る

Incidence of treated ESRD by sex and by country or region, 2018

(11: International Comparisons 12/34参照)

性別の末期腎不全新規患者数

In every country, the incidence of treated ESRD was higher in men than women.

In Japan,

Greece, Hong Kong, France, Italy, Finland, and Iceland, this ratio was >2:1.

全ての国で、女性より男性の方が多く、特に日本の場合

男女比は"2:1"を超えるという。

目次へ戻る

Prevalence of ESRD

前述で、「Incidence」が"新規患者数"であるのに対し

Prevalence」は

"ある時点の患者数"という❝イメージ❞の話をしましたが

専門的見地から正確には

有病率

と表現するらしい。

さて、この❝有病率❞とは…

ある一時点において、疾病を有している人の割合である。

集団の特定の時点での健康問題の大きさをはかり、その対策を立てるなど、行政面で有用な指標である。

有病率

(引用元:一般社団法人 日本疫学会

とのこと。

Prevalence of treated ESRD, by country or region, 2018

(11: International Comparisons 13/34参照)

末期腎不全患者の有病率

Countries or regions with the highest prevalence of treated ESRD in 2018 were Taiwan (3587 pmp),

Japan (2653 pmp),

the U.S. (2354 pmp), Singapore (2255 pmp), Thailand (2028 pmp), Portugal (2014 pmp) and South Korea (2006 pmp).

末期腎不全患者の有病率が最も高かった国は…

台湾、日本、米国、シンガポール、タイ、ポルトガル、韓国

目次へ戻る

Percentage distribution of ESRD treatment modality, by country or region, 2018

(11: International Comparisons 18/34参照)

末期腎不全患者の各治療法の割合

補足

"modality"(モダリティ)

医療従事者の間では"常用単語"なんでしょうか??

英英辞典で調べても、他に色々ググっても

これ!!という意味が見つからず…

要は

「施設血液透析」「腹膜透析」「腎移植」「在宅血液透析」等

末期腎不全患者が、どの"治療法"に進むか

その選択肢のような意味か、と。

Only in Norway, Finland, Sweden, and the U.K. were more than half of prevalent patients with ESRD
treated with a kidney transplant;

in Japan, only 2% of patients were transplant recipients.

日本において「腎移植」「施設血液透析」「在宅血液透析」「腹膜透析」のうち

「腎移植」が全体に占める割合は、たった2%、とのこと。

目次へ戻る

Prevalence of dialysis by country or region, 2018

(11: International Comparisons 19/34参照)

透析の有病率(人口100万人あたり)

Other countries where the prevalence exceeded 1500 pmp were

Japan (2591 pmp),

Thailand (1885 pmp), Singapore (1854 pmp), the U.S. (1699 pmp), and South Korea (1618 pmp).

台湾が、群を抜いて最も高いものの

日本は、その台湾に次ぐ2位。

目次へ戻る

Distribution of dialysis modality in prevalent patients with ESRD, by country or region, 2018

(11: International Comparisons 22/34参照)

末期腎不全有病患者における"透析モダリティ"

Areas where ≤5% of patients received a home-based therapy were the Czech Republic, Lithuania, Albania, Bangladesh,

and Japan.

チェコ、リトアニア、アルバニア、バングラディシュ同様、日本は

在宅療法を受けている患者が、5%以下。

わが国の慢性透析療法の現況(2019年12月31日現在)で確認してみると…

2019年末透析患者総数 344,640人

うち

腹膜透析(※HD併用は除く) 8,017人

在宅血液透析 760人

(8,017+760)÷344,640=0.025(約2.5%)

目次へ戻る

Kidney Transplantation

Kidney transplantation in patients receiving dialysis, by country or region, 2018

(11: International Comparisons 24/34参照)

透析患者の腎移植件数(透析を受けている患者1000人あたり)

Areas where the prevalence was ≤10 per thousand were Bangladesh, Bosnia and Herzegovina,

Japan,

Thailand, Taiwan, and Malaysia.

バングラディシュ、ボスニアヘルツェゴビナ、タイ、台湾、マレーシア同様、日本は

透析患者1000人あたりの腎移植件数が10以下。

お詫び

腎移植に関し日本が記述されている指標には他に

  • Prevalence of patients with a functioning kidney transplant, by country or region, 2018
  • Average yearly change in the prevalence of patients with a functioning kidney transplant, by country or region, 2009-2018

というのがあったのですが

"prevalence of patients with a functioning kidney transplant"

この意味が私には掴めませんで…

自分が認識できていないデータを、盲目的にご紹介するのは

「違う!」と思いましたので、ここでは割愛いたしました。

目次へ戻る

まとめ

thanks,

UNITED STATES RENAL DATA SYSTEM(USRDS)のAnnual Data Report

11: International Comparisonsの冒頭"Highlights"を参照しながら

日本に関するデータ(順位等)を整理すると※これまでの記述と重複する部分もありますが…

ポイント

  • 人口100万人あたりの末期腎不全新規患者数 9位
  • 75歳以上の末期腎不全新規患者の割合が高い
  • 末期腎不全患者の有病率 2位
  • 人口100万人あたり透析を受けている末期腎不全患者数 2位
  • 透析患者1000人あたりの腎移植件数 34位

これを申し上げては元も子もありませんが

これらのデータ(information)を素人が知ることに

さほど意味があるとは思えません。

なぜなら

これらのデータから、私含め素人が

❝日本の透析医療・腎移植医療が抱える問題点❞

などといった専門的見解を見いだせる術など、当然持ち合わせていないから。

"information"を"intelligence"へ昇華するのは、頭の良いお医者様方の仕事。

ただ、素人とはいえ

自身の抱える疾病や治療について、広く浅く

「へ~、そうなんだ~」レベルの情報でも

"知ろうとする姿勢"は、持ち合わせていても良いのでは、と思い

今回、ご紹介させて頂きました。

個人的には

HHDと腎移植の普及率に

なぜこれだけ諸外国と日本とに差が生じているのか

その背景を、患者の立場で少し探ってみたくはなりましたが

限界はあるでしょうね💦

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



目次へ戻る

ブログ村ブログパーツ(PV)

-在宅血液透析, 腎臓移植, 透析全般

Copyright© 腎生を善く生きる~在宅血液透析患者の"リアル"~ , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.