数日前、Twitter上で
"無能な医者"
という、少々キツイ言葉がバズったようで。
元ネタを見た時の、私の感想としては
「医師の考える"有能な医師"と患者の考える"有能な医師"とは、随分解離がありそうだな。」
ということ。すると
SNS上で時々やり取りさせて頂いている某心療内科の医師が
自身の複数メディアで
「いい医者と悪い医者」にフォーカスしたお話をして下さっていました。
※先生が常日頃からお感じになられていることで
私のツイートがあったから、というわけではないでしょうが…
なんか、ありがとうございました。
医師という立場を前提としたご自身の見解と
ライブ参加されていた一般の方々(専門職の方も含む?)の"体験談"を交えた内容で
興味深く拝聴させて頂きました。
具体的な事案のすり合わせは、現場の医療従事者の方々に委ねるとして
今回私が検討してみたことは
- "良い"とは、そもそもどういったことをさすのか
- "悪い"とは、そもそもどういったことをさすのか
「良い/悪い」の定義の深掘りです。
ことは、医師と患者という問題に限りません。
「良い」「悪い」の定義を掘り下げることで
人間それぞれの立場
専門家(弁護士、税理士、司法書士、行政書士)とクライアント
予備校講師と受験生
先生と生徒
親と子
夫と妻etc
互いの関係性の中で各々が
「良い」「悪い」の定義のどこに重きを置くのか
Table of Contents
【医療従事者と患者】良い○○とは、悪い○○とは
「良い」とは、どういうことが?
"GOOD" means…
(引用元:Dictionary.com)
"英英辞書サイト"Dictionary.comで「good」を検索すると
なんと、42もの意味、定義が出てきます。
これらを、私の独断と偏見で
- 人柄に関する定義
- スキルに関する定義
- それらを包含する"上位概念"的な定義
とに分類してみます。
人柄に関する定義
morally excellent; virtuous; righteous; pious: 道徳的に優れている;徳;正義;敬虔な
well-behaved: 行儀の良い
kind, beneficent, or friendly: 親切、慈悲深い、または友好的
honorable or worthy; in good standing: 立派または価値がある;良好な状態
favorable; propitious: 好ましい;好意的
cheerful; optimistic; amiable: 陽気な;楽観的;愛想が良い
agreeable; pleasant: 快適;楽しい
attractive; handsome: 魅力的;ハンサム
close or intimate; warm: 親密または親密な;暖かい
(引用元:Dictionary.com)
その道のプロ(専門家)へ"素人"が問題解決を求めに行く際
ファーストコンタクト、つまり相手の第一印象というのは、大事。
「相手の第一印象」という点は、プロもアマも共通することではありますが
素人からすると、少々敷居の高い"大先生"にお伺いをたてる時というのは
往々にしてメンタルは緊張状態にあるので
第一印象、つまり「見た目」や「印象」によって
その後の話の展開に気持ちよく入れるか否かが、大きく左右されると思います。
※先日、こんなツイートしました(2021年2月1日追記)
これだけ"イケメン"なら、事務所前はお客様クライアント様長蛇の列でしょうね😅
以前『良い○○とは?悪い○○とは?専門家に対する素人の判断基準』と題したブログ記事でも書きましたが「Good」には"attractive; handsome"
の意味も包含されてますから…#行政書士
💻Bloghttps://t.co/bk0J5wutsb pic.twitter.com/YYS21t7lGk— 腎生を善く生きる@在宅血液透析(HHD)8年目突入‼️ (@7hYpoVO5tzfBVtn) January 30, 2021
逆に
専門家側も、そこを意識する方、多いのではないでしょうか。
特に、顧客を獲得しなければいけない職種、例えば
個人事務所経営の法律家や、予備校講師などは
見た目、人柄を自己プロデュースして
利用者のハートを掴む、ということは、普通にやっていることでしょう。
とはいえ、素人側も
専門家の「見た目」や「印象」が
専門家としての能力と"イコール"ではないことぐらいは、認識しているはず。
それでもなお、表面的な情報で
人を信じる、信じないとなるのは、人間の性なのでしょうね。
スキルに関する定義
satisfactory in quality, quantity, or degree: 質、量、または程度で満足
of high quality; excellent: 高品質;優れた
educated and refined: 教育を受け、洗練されている
competent or skillful; clever: 有能または熟練;賢い
skillfully or expertly done: 巧みにまたは専門的に行われる
(引用元:Dictionary.com)
"今はもう学歴社会ではない"と
世間的には声高に叫ばれて久しいものの
悲しいかな?残念ながら?
学歴や有資格、オフィシャルに公表されている実績等で人をまずは判断する、特に
専門知識レベルで確実に劣る素人が、専門家を判断する材料としては
シンプルにして明確なもの、と思うのは当然。
例えば、医師などは「○○大学医学部卒」の他に
"ハー〇〇〇大学大学院修了"
"オッ〇〇〇〇〇〇大学博士号取得"
なんて経歴にあると、それだけで
「うん、OK!」
となる患者も、いるんじゃないでしょうかね。
専門家としての実績について、現在は
所属する組織のHPのみならず
個人でオウンドメディアを持って
自身の実績を公示されている方も、多くいらっしゃる。
一方で、大学受験の予備校などは
○○大学合格者△△△人!!などと
明確で分かりやすい数値で、その実績がオープン且つ
ある意味そこが全てなので
シビアな世界、といえばシビア。
見た目がどうの、話し方がどうの
志望校に合格させてくれれば、それでよし!となる。
まあ、一部アイドル的な位置づけの方も…今はいるのかな??
全ての定義を包含する"上位概念"的な定義
reliable; dependable; responsible: 信頼できる;信頼できる;責任感がある
advantageous; satisfactory for the purpose: 有利;目的に満足できる
(引用元:Dictionary.com)
素人としては、何をもって
「この人は、GOOD!」
と思えるのか。
ここでご紹介してきた内容のみで、あえて導き出せるとしたら
satisfactory for the purpose
目的に対し満足できる結果を得られるか否か
イケメン(キレイ、可愛い)で、いつもニコニコ
自分の話をいつも親身になって聴いてくれる。
その行為が仮に、専門家の見地からは、なんの問題解決にならないとしても
顧客の目的を果たしてくれて、顧客が結果満足感を得られれば
顧客(素人)にとっては、その専門家が
"Goodな専門家"
となるのかもしれませんね。(良い悪いは、別問題です)
「悪い」は、どういうことが?
"BAD" means…
(引用元:Dictionary.com)
同じく"英英辞書サイト"Dictionary.comで「bad」を検索すると
こちらも、36もの意味、定義が出てきます。
これらも、私の独断と偏見で
- 人柄に関する定義
- スキルに関する定義
- それらを包含する"上位概念"的な定義
とに分類してみます。
人柄に関する定義
having a wicked or evil character; morally reprehensible: 邪悪なまたは邪悪な性格を持っている;道徳的に非難される
causing or characterized by discomfort, inconvenience, uneasiness, or annoyance; disagreeable; unpleasant: 不快感、不便、不安、または不快感を引き起こす、または特徴づける;嫌い;不快
easily provoked to anger; irascible: 怒りを引き起こしやすい;イライラする:無愛想
disreputable or dishonorable: 評判が悪いまたは不名誉
disagreeable or offensive to the senses: 感覚に不快または不快感を与える
(引用元:Dictionary.com)
「Good」のところで
対面での第一印象が大事、と申し上げましたが
次にご紹介する「スキル」に絶対的な自信をお持ちの専門家で
「見た目?関係ね~よ!」と
無愛想を決め込む方、まあ一定数はいるでしょう。
自分が他人に不快感を与えていることに
自覚のある方、自覚のない方、これもいるでしょうね。
自分が他人に不快感を与えていることに自覚のない方、これは特に厄介。
このような方は、対素人との関係だけでなく
同じ組織内、同業者からの"うけ"は、決して良いとは言い難いのではないでしょうか。
ただ
組織内ヒエラルキーの縛りから、許容せざるを得ない場合もあるでしょう。
不潔で、無愛想で、不快感しか与えない人でも
その道の権威で、一応の実績もあれば、頭を下げなければいけない
そんな組織、どこにでもありそうです。
スキルに関する定義
of poor or inferior quality; defective; deficient: 質が悪いか劣っている、欠陥がある;不足
inadequate or below standard; not satisfactory for use: 不十分または標準以下、使用に満足できない
inaccurate, incorrect, or faulty: 不正確、不正確、または欠陥
displaying a lack of skill, talent, proficiency, or judgment: スキル、才能、習熟度、または判断力の欠如を示す
not profitable or worth the price paid: 収益性がない、または支払った価格の価値がない
(引用元:Dictionary.com)
「Good」の実績は、いわば"正の実績"
「Bad」の実績、つまり"負の実績"というのは
よっぽどの不祥事等がなければ、中々素人には分かりずらい。
「年間○○件、敗訴しました」
なんて公示する法律事務所、ないでしょうから。
何度か対峙して、その度に誤った結果をもたらされたら
さすがの素人も、その時点でこの人に「スキルがない」ことは分かるでしょうが
時に、それでは手遅れになってしまう事象もあるので、穏やかな話ではない。
したがって
素人なりの最低限の知識武装は、必要な世の中なのかもしれない。
ひと昔前までは、素人が素人なりの専門知識を得るにしても
専門書を買うなどする必要がありましたが
幸い、今の時代は違う。
素人がその気になれば、専門家が手にするような情報も
手に入れることは出来る、理解できる出来ないは別ですが…
さらに、個人的に厄介だな、と思うのは
途中でBad、つまり自分が満足する結果が得られそうにないな、と思っても
その状況を変えるためには
素人側に多大な精神的ストレスを強いられることは、否めない。
それまで投下した金銭などは、当然戻ってはきませんし…
※参照動画👇
全ての定義を包含する"上位概念"的な定義
not good in any manner or degree: いかなる方法や程度でも良くない
(引用元:Dictionary.com)
こちらに関しては、やはり「Good」同様
satisfactory for the purpose
目的に対し満足できる結果を得られるか否か。
- 顧客の目的を果たしてくれて、結果、顧客が満足感を得られれば「Good」
- 顧客の目的を果たすことなく、結果、顧客が不満足なら「Bad」
「Good」との違いは
素人、顧客側の姿勢が、専門家から見て"良い悪い"がある、という点。
「Bad」の場合、これには判断の余地はないように思います。なぜなら
何度も何度も、顧客が満足の結果を得られていないのに、専門家が
「いや、方向性は間違っていません」
と仰ったところで、いささか説得力はありませんよね。
繰り返しになりますが
「Bad」な状況を変える、抜け出すのは顧客、素人側の問題。
裏切られること1度や2度ならまだしも
3度、4度と"たらい回し"にされる状況は、ただただ気の毒でなりません。
まとめ
山崎豊子著「白い巨塔」
何度もドラマ化され、古くは田宮二郎
数年前の岡田准一と松山ケンイチの作品もありますが
私の世代では、やはり
唐沢寿明の財前五郎と、江口洋介の里見脩二でしょう。
「白い巨塔」などは
"良い医者/悪い医者"とは?という命題に対し
非常にシンプルな構図で、視聴者が一つの「解」を見出すための
分かりやすい教材ではないでしょうか。
しかし、あれが全てでは当然、ありませんよね。
医療ドラマであれば、他にも
「Dr.コトー診療所」「ドクターX」なんかも、あります。
「私、失敗しないので!」と言われても
やっぱりあの感じ、受け付けない患者も、まあいるでしょうし。
弁護士ドラマでは「リーガル・ハイ」。このドラマも
弱者救済の使命に燃える黛真知子(新垣結衣)と
「正義は金で買える!」と豪語する古美門研介(堺雅人)
クライアントからすれば、裁判に勝訴することが目的ではあるが、かといって
金はかかるし"手段を択ばず"の手法は、いささかどうも、という場合も考えられる。
「結果良ければ、全て良し」
人間関係って、それだけで割り切れるものばかりでは、ないですよね。
じゃあ、色々考えなくてすむAIロボットがいいのか、という話になると
これまた、そういうことじゃないようにも思えるし…
「色々なタイプの人間がいるから、面白いじゃん」と言う人もいるが
私個人としては、自分が非常に気~遣い~な分
そうでない人とのコミュニケーションには、非常に骨が折れるし、心身とも疲弊する。
医者だろうと弁護士だろうと教師だろうと
神でもなければ、聖人君子ってわけじゃない、我々素人と同じ人間。
専門家に対しては一定の敬意は払いつつも、過度な期待はせず
自分自身がしっかりとした「芯」を持つこと、「芯」を持った上で
様々な人や状況に応じる「柔軟性」を併せ持つこと。
言うは易く行うは難し…
病気に関しては、自分ではどうすることもできない症状もあるわけで
その点、患者は医師に"マウントを取られる"、どうしようもないですね。
今回のテーマは、今回だけでまとまるものではありません。
そもそも、「解」などない命題。
皆さんの考える一つのキッカケになれば、この記事の役目は果たせたことになります。
敵前逃亡みたいで、すみません。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。