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在宅血液透析

【在宅透析のメリット】HHDのメリットは、時として(人によって)"デメリット"になり得る?

2020年10月16日

schedule,task,responsibility,

2020年10月14日のツイート

https://twitter.com/7hYpoVO5tzfBVtn/status/1316351941799112706

現在の透析スケジュールは

週6回(土曜日非透析日)

時間:日曜日(非透析日の翌日)4時間、それ以外は3時間

上記ツイートにあるように、現在ほぼ毎日血液透析をしているので

1日程度の透析スキップは、さほど問題はないように思えるが

体調が悪化し、翌日以降の透析を行える確率が低くなる不安も、拭いきれない。

そこで、予定時間短縮の2時間透析を行いました。

透析の準備から自己穿刺、透析中の体調管理、透析後の後片付け

別段問題なく終えることはできた。

ただ、やはり

体調不良の状態で、短時間とはいえ、在宅で血液透析に臨む時というのは

いつも以上に、特に精神面でのパワーが要求される。つまり

「穿刺、誰か代わりにやってくれないかな…」などと、弱気な自分を奮い立たせ

透析に向かわせるだけのメンタルの強さは、必要。

そこで、今回は

一般的に言われている在宅血液透析のメリットも

それを享受するために必要な

  • 自己管理
  • 自己決定
  • 自己責任

これらを負うことができなければ

時として(人によって)デメリットになり得る

という話を、していこうと思います。


【在宅透析のメリット】HHDのメリットは、時として(人によって)"デメリット"になり得る?

透析施設への通院不要

メリット

"標準血液透析"(週3回、3~6時間未満)をするCKD患者の方々の多くは

当然ながら、患者自ら、血液透析を受けるために透析施設へ足を運ぶ必要がある。

居住地から透析施設までの移動時間及び

血液透析時間含む、透析施設内での時間が

そのまま"拘束時間"となる。

中には、プライベートな時間が減る、との認識を持つ患者さんもいらっしゃるでしょう。

また、昨今のコロナ禍においては

施設までの移動中並びに施設内での感染リスクが、高まること否定できません。

簡単に言ってしまえば、これら全てが

在宅血液透析導入によって"解消される"わけで

一般的に「在宅血液透析のメリット」と言われます。

デメリット

上記のメリットを享受するためには

徹底した「自己管理」が必要となると思われます。

  • 透析中の自己管理
  • 透析物品の自己管理
  • 透析日程の自己管理

※下記ブログ参照👇

「自己管理」「自己決定」「自己責任」が苦手な場合

これらが、そのままデメリットになってしまう可能性があるかと。

透析前のプライミング

透析前の自己穿刺

透析中のバイタルチェック、経過表への記入

透析後の返血、自己針抜、止血

透析後の後片付け

透析備品の発注業務、在庫管理

これら全て

「嗚呼~面倒くさ!!」

と思うのも、まあ納得。

これらをキッチリ行う、それを継続する

簡単じゃないですよ…

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透析時間、透析回数は自由

メリット

一般社団法人 日本透析医学会

維持血液透析ガイドライン:血液透析処方」からの引用。

現状の血液透析治療は間歇的治療であり、

多くの症例は週あたり12時間しか治療されていないため

腎機能の代行は不完全である。

この標準血液透析は生命を維持する最低限の治療であり、

そのため透析関連合併症が発生し生命予後が不十分となる。

(引用元:「維持血液透析ガイドライン:血液透析処方」)

透析時間、透析回数が自由である、ということは

「頻回血液透析」「長時間血液透析」が可能であることを意味する。

標準血液透析に比べた「頻回血液透析」「長時間血液透析」の有用性について

同ガイドラインでは、下記のように述べられている。

これを解決する最もよい方法は、

週あたりの透析時間の増加であり長時間血液透析や頻回血液透析が有用である。

また現状の透析治療で安定している症例においても、

週あたりの透析時間を増加することにより、

内部環境をより健常な腎機能の状態に近づけることが可能となり

生命予後の改善が期待される。

(引用元:「維持血液透析ガイドライン:血液透析処方」)

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デメリット

標準血液透析に比べた「頻回血液透析」「長時間血液透析」の有用性、つまり

標準血液透析は生命を維持する最低限の治療である。

透析関連合併症の発生や生命予後の観点から

週あたりの透析時間の増加が有用である。

このことを患者自身が理解していなければ、これもデメリットとなる。

つまり

  • 透析日数が今より増えること
  • 透析時間が今より長くなること

この事実を"良しとしない"患者さんも、一定数いることが推測されます。

長期間にわたる通院血液透析生活により

肉体的精神的に辛い思いをし続けている患者さんにとって

血液透析そのものが負担に感じることは、十分に想像できますし理解はしています。

在宅血液透析を導入するということは

標準血液血液透析、つまり週3回、3~6時間

それよりも多くの透析回数、長い透析時間を行うことを、意味します。

病院側が定めたHDP(Hemodialysis product)を一定期間下回った場合、というのを

在宅血液透析の中止基準としている、医療機関もあると聞きます。

ポイント

「1回透析時間」×「回数²」

施設血液透析の一般的な標準血液血液透析(週3回、3~6時間)の"HDP"は

"36"=(4h×3²)

一方、上記HDP値を在宅血液透析の中止基準としているとある医療機関は、"HDP"を

"72"

HDPを「72」にするには、例えば…

週3回、8時間透析(3²×8=72)

週4回、4.5時間透析(4²×4.5=72)

週5回、3時間透析(5²×3=75)

週6回、2時間透析(6²×2=72)

現状の標準血液透析よりは、回数、時間ともに

多く、長く血液透析を行うことは必至であることが、分かります。

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まとめ

thanks

当ブログで、度々ご紹介している中田英寿氏の言葉。

「自由ということはその分選手一人一人が担う責任が大きくなる」

  • 自己管理
  • 自己決定
  • 自己責任

これら全てを担う覚悟を持った上で

それを継続して初めて

施設血液透析にはない

在宅血液透析のメリットを享受できる。

自己管理/自己決定/自己責任

これらを担う覚悟を持った上で、それを継続できる人、というのは

the more you know about your treatment and the more you do on your own,

the better you are likely to do on dialysis.

ということにも、繋がるのかもしれませんね。

逆も、また真なり。

ただ

今回お話したような、在宅血液透析に必要な"資質"をお持ちになりながら

現在住まわれている地域に、在宅血液透析を扱う医療機関がないことで

泣く泣く、導入を諦めている方も、一定数いるのではないか、と

勝手ながら推測しています。

2018年12月31日現在、透析患者数約34万人

内、在宅血液透析導入患者は、たったの"720人"。

(参照元:一般社団法人 日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」)

約34万人の透析患者の内の、何パーセントの方が

HHD導入を、やむを得ない理由で断念しているのか…

逆に言えば、私などは

たまたま、首都圏内に住んでおり

たまたま、腎移植チームに在宅血液透析を扱うクリニックを開業している医師がいた

という、非常に幸運な境遇にあったのだと思っています。

現在の恵まれた医療環境を、一日でも長く継続できるよう、そして

在宅血液透析の一層の普及のための、希少な"サンプル"としての自覚を持って

日々、緊張感を持って(事故のないよう)透析生活を過ごして参ります。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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