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腎臓移植

【腎移植と感染症】腎臓移植患者がウイルス感染すると、なぜ重篤な状態につながる可能性が高いのか?レシピエントが知らなければいけないこと

2020年3月1日

免疫,immune

腎臓移植患者がウイルス感染すると、なぜ重篤な状態につながる可能性が高いのか?

そりゃ、当たり前です。

免疫抑制剤を服用しているから。

私自身、透析患者である前は、

腎移植患者

でありましたから、

新型コロナウイルスが猛威を振るう現在における、

腎移植患者の方々の胸中、

少しは理解しているつもりです。

そこで、今回は、

私の移植腎保存期当時を振り返りながら、

腎移植患者が、

いかに、ウイルスに対し脆弱であるか、をまとめていきます。

ただ、目的は、

その脆弱性にのみ焦点を当てるわけではありません。

ウイルスに対する正しい防御策を講じるため、

腎移植患者が、自身の免疫力について

最低限の正しい知識を身に着けることにあります。

参考まで、

透析患者の、ウイルスに対する脆弱性については、

透析患者がウイルス感染すると、なぜ重篤な状態につながる可能性が高いのか?我々透析患者自身が知らなければいけないこと

をご参照下さい。

【腎移植と感染症】レシピエントがウイルス感染すると、なぜ重篤な状態につながる可能性が高いのか?

私の免疫抑制療法

薬,medicine,drug

私が生体腎移植手術を受けたのは、今から約18年前の2002年末。

その当時の私が服用した免疫抑制剤の❝3本柱❞は、

  • シクロスポリン or タクロリムス
  • ミコフェノール酸モフェチル
  • 副腎皮質ホルモン

です。

シクロスポリン or タクロリムス

総称名はそれぞれ、

「ネオーラル」と「プログラフ」

両者とも、リンパ球の一つであるT細胞の活性を抑制する薬。

移植手術直後から数年(詳細な年数は忘れました)は「ネオーラル」、

その後、移植腎が廃絶するまで「プログラフ」を服用。

腎生検で拒絶反応が確認され、

その進行を抑えるために、

「ネオーラル」から「プログラフ」に切りかえた、

と記憶しております。

蛇足ですが、

「ネオーラル」の、あの臭いが苦手で、

アロマを含ませたマスクをしながら飲んだり、

鼻を洗濯バサミで挟みながら飲んだり、

色々しました。

「プログラフ」に変わったときは、

効果云々よりも、

あの臭いから解放される~と、

安堵したこと、覚えてます。

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ミコフェノール酸モフェチル

総称名は「セルセプト」

代謝拮抗薬に分類される薬剤で、

細胞分裂を阻害する薬。

移植腎保存期、全期間を通じて、

一番、服用する量が変動した薬でした。

拒絶反応が起きたり、感染症を起こしたり、好中球が下がったり・・・

その都度、数を増減させて、

体調の変化を観察してましたね。

飲む量が多いうえに、カプセル1錠が大きいので、

毎月、院外処方でもらう時は、結構な量でした。

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副腎皮質ホルモン

いわゆる「ステロイド」剤、

薬名としては「プレドニン」です。

手術前から術直後数カ月は、

5㎎単位の「プレドニン」を相当量服用しましたが、

その後、服用量は減り、

1㎎単位の「プレドニゾン」を服用してました。

前記事

在宅透析患者が、過去の腎臓移植手術を振り返る(エピソード5)

などでも書きましたが、

入院中に、免疫抑制剤の専門書を読み、

そこで、

「シクロスポリン」や「ミコフェノール酸モフェチル」の作用を知りました。

実は、手術を受ける前は、

免疫抑制=ステロイド

との認識しか持ち合わせていなかったので、

術前から各種免疫抑制剤を服用していたのですが、

この「プレドニン」に対する不安がとりわけ大きく、

最初に飲んだ、あの夜の病室での光景は、

今での覚えてます。「嗚呼~いよいよだな~」って思いましたね。

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腎移植手術~移植腎保存期

入院,hospital

腎移植は、

手術が終われば一安心、

というものではありません。

術直後から数カ月、1年、3年、5年~と、

その時々で、身体の状態は変化します。

急性拒絶反応

術後1カ月に起きる拒絶反応。

私も起きました。

今思うと、あの時期の拒絶反応は「痛かった」ですね。

まあ、自分ではどうすることもできないし、

先生方にも最善を尽くして頂いたので、致し方無いのですが。

当時の主治医とは今での付き合いがございます。

(シャントを診てもらってます)

今でもたまに、

「あの時の拒絶反応をもう少しコントロール出来ていればね」

とおっしゃいます。

今は当時より免疫抑制剤も良くなっているようなのでね。

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サイトメガロウイルス感染症

これは厄介でした。

術後1カ月で急性拒絶反応が起こり、

パルス療法等で、拒絶反応は落ち着いたのですが、

その後も熱が完全に下がらない。

そこで調べてみたら

「サイトメガロウイルス感染症」

だったわけです。

サイトメガロウイルス

なにやら強そうな名前です・・・

通常の自己免疫下では感染しない常在菌である「サイトメガロウイルス」

こいつが、

移植手術直後から急性期の、

身体が超低免疫状態にある時に、

ムクムクと出てきて、悪さするわけです。

熱といっても、高熱というわけでなく、

地味に高いという感じの熱が、長~く続く。

抗ウイルス薬を点滴投与し、

全快するまで1カ月近く入院してましたね。

サイトメガロウイルス感染症の前後、

どちらかはっきりとは覚えてませんが、

この時期、「歯」もやられました。

虫歯治療済の歯の根っこが、やられました。

これも、サイトメガロウイルス感染症と理屈は一緒で、

通常の自己免疫下では悪さしない常在菌が、

移植手術直後から急性期の、超低免疫状態にある時に、

歯槽骨を攻撃しまして。

痛かった~~~!

結局、その歯は抜歯しました・・・

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慢性拒絶反応

術後6カ月~数年

徐々にCR(クレアチニン)の値が上昇。

腎生検をし、病理検査に出すことで、分かります。

慢性拒絶反応との診断が下った時、

移植腎の❝命❞が有限なのだと、理解するのです。

悲しい現実です、だって、

悪化の流れはもう止められないわけですから。

❝一日でも長く、この腎臓と一緒に生きたい❞

そんな思いでした。

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好中球減少症

免疫抑制剤の服用期間が長くなってくると、

その副作用(骨髄抑制)で、好中球が下がります。

外来の採血で、あまりに好中球の値が低く、

緊急入院となること、数回ありました。

当然、個室入院です。

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まとめ

thanks

移植腎保存期、

外出する時は、いつもビクビクしてました。

外出時、近くでマスクせず咳する人を見ると、

あからさまに嫌な顔したりしてましたね。

(注:もちろん、本人には気づかれないように・・・)

「皆さん、ちゃんとマスクしましょうよ!」

と言いたいところですが、無理な話です。

当時から思うこと

そもそも、赤の他人に感染予防策を求めるのは❝お門違いだ❞、と。

悲しいかな、これ現実なんですね。

だから、

自分の身は、自分で守る!

これに尽きると、私は思います。

今は免疫抑制剤は飲んでいませんが、

「易感染宿主」であることに、変わりのないのが、今の私の現状。

自分の身体についての正しい知識を持ち、

自分にとっての最善の予防策を講じる。

日々の厳しい自己管理が当たり前となっていれば、

ウイルスの脅威に対し、いたずらに恐怖のみを抱き続けることは、なくなります。

とはいえ、さすがに、

今回の新型コロナウイルスには、ナーバスにはなります・・・

腎移植患者並びに透析患者のみなさん

正しい予防策を講じて、

この危機を、なんとか乗り切って下さい!!

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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