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透析全般

【透析と痛み】肉体的な痛みだけではない、透析患者が抱える❝心の痛み❞

2020年7月9日

sadness,

以前、ネットの掲示板(某知恵袋)に

透析治療って、痛いの?苦しいの?

という、ド直球の質問が挙がってました。

質問者曰く

❝40℃の高熱や骨折でも弱音を吐かなかった自分からしたら

透析をする祖母が痛い・苦しいと言うのが意味不明、何を甘ったれたことを言ってるんだ❞、と。

当然?ベストアンサーでは、こっぴどく諭されてましたが・・・😅

上記例は少し極端としても

世の中の大半の方は、透析治療を正しく理解していないかもしれませんね。

本人にご縁がなければ理解する必要性もないでしょうから

そこについてとやかく言うつもりはありません。

しかし

腎不全が末期に差し掛かり、透析が現実味を帯びてくると、話は違う

不正確な情報が目や耳に入ることで、透析治療がなにやら得体の知れない行為に思えてくる。

そして、思うかもしれません。

透析治療って、痛いの?苦しいの?」と。

❝なにやら太い針を毎回刺すらしい❞ ということ位は、認識しているんでしょうか。

ただ

私自身、人工血液透析を続けていると

透析の痛み・苦しみは

"肉体的"な痛み・苦しみ

だけでなく

"精神的"な(心の)痛み・苦しみ

をも感じるようになる。

透析8年と、まだまだ"ひよっこ"の私ですが

現状で感じる、透析治療に関わる患者の

肉体的/精神的「痛み」「苦しみ」 を、私なりの言葉で伝えてみたいと思います

【透析と痛み】肉体的な痛みだけではない、透析患者が抱える❝心の痛み❞

透析患者の体にどのような変化が起こるのか

全般的な内容は下記書籍を参照しました。

以前の記事でもご紹介したもので

血液透析(=在宅血液透析)導入の際

透析に関する最低限の知識は吸収しておこうと購入したものです。

※ちなみに、私が現在持っているものは古く

最新版は下記の書籍になろうかと思いますので

ご興味のある方は、是非。

透析患者の体のヒミツ(上記書籍より引用)

透析患者の体

  1. 尿が出なくなる
  2. 老廃物が溜まる
  3. 水が溜まる
  4. 食塩の過剰摂取で体重が増加する
  5. ぼーっとする
  6. 眠れなくなる(睡眠障害)
  7. 喉が渇く
  8. 徐脈・心停止をひき起こす
  9. 食事摂取によりカリウムが溜まる
  10. 食事摂取によりリンが溜まる
  11. 低栄養になる
  12. 貧血になる
  13. 骨がもろくなる
  14. 血液が酸性になる
  15. 血圧が上がる
  16. 透析中に血圧が下がる
  17. 体がかゆくなる
  18. 排便コントロールが不良になる
  19. 下肢がつる
  20. 血管が詰まる・細くなる
  21. シャントに異常が起こる
  22. 目の病気になる
  23. アミロイドが沈着する
  24. がんになる
  25. 心臓が弱くなる
  26. 足の病気になる
  27. 感染症を起こす
  28. 頭痛を起こす
  29. 脳梗塞を発症する
  30. 末梢神経障害を発症する

血液透析8年の私が思う

ポイント

  • 現在までに経験し、特に苦労した症状
  • おそらく在宅血液透析のお陰で、今のところ避けられている症状
  • 現段階で症状として表れていないが、常に意識はしている症状

これらが混在した形にはなりますが

私なりに深堀りさせていただきます。

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肉体的痛み/苦しみ

heart-disease,

12.貧血になる

「腎性」の貧血とは

腎臓から、赤血球の産生を促進する造血因子である"エリスロポエチン"の産生が低下し

Hb値(ヘモグロビン値)が基準値をキープできなくなった状態。

公益社団法人 日本人間ドック学会HPによると

男性の基準範囲は13.1-16.3g/dL

これに対し 日本透析医学会の

2015 年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」には

1)成人の血液透析(HD)患者の場合、

維持すべき目標Hb値は週初めの採血で10g/dL以上12g/dL未満とし、

複数回の検査でHb値10g/dL未満となった時点で腎性貧血治療を開始することを推奨する。

とあります。

私の場合、月一回の外来時、造血剤を投与してもらいます。

言い方を変えれば

月一回の外来時、造血剤を投与してもらわないと

上記ガイドラインで推奨されている

「10g/dL以上12g/dL未満」はキープできない、ということ。

また

「10g/dL以上12g/dL未満」をキープ、ということは

公益社団法人 日本人間ドック学会HPによる

男性の基準範囲13.1-16.3g/dL のレベルまで造血剤は投与しない、できない、とも言えます。

どうしたって、健常の方に比べて「疲れやすい」のです。

16.透析中に血圧が下がる

この点については、過去の記事をご参照下さい。

17.体がかゆくなる

透析患者のかゆみの原因は多岐にわたるようですが、よく知られている原因は

  1. 乾燥性皮膚
  2. 尿毒症物質

でしょう。

A.乾燥性皮膚対策としては、お風呂上り

顔から足の先まで、全身に保湿クリームを塗ってます

20代、後天的アトピー性皮膚炎で苦労した経験があり

元々乾燥肌でもあるので、皮膚保湿は念入りに行ってます。

B.尿毒症物質に関しては

HHDで「いっぱい透析」することで

尿毒素が蓄積しないことを祈るだけですね。

19.下肢がつる

透析の後半や、除水過多時に起こりやすいようです。

外来時、施設内の透析患者さんをチラ見するのですが

うめき声をあげながら痛みに耐えている高齢者の方、よく見ます

足がつる=筋収縮が突然起きた時、どう対処したらよいか

特に高齢の方々は、よく分からないんじゃないでしょうか?

また、分かってはいるものの、身体が言うことをきかない。

筋痙攣、筋収縮が起きているのをただ耐える、これはもう拷問です

どこの筋肉が攣っているのか、その筋肉を伸ばすための手技はどのようなものか

知識としてあれば少しは違うと思うのですが、難しいでしょうね。

23.アミロイドが沈着する

β₂ミクログロブリン(β₂-m)

主として軟骨、関節滑膜、靭帯などに沈着して

関節炎、ばね指、手根管症候群などを引きおこす

β₂-m除去率の高いダイアライザーにすれば良い、という話ではなさそうで

ダイアライザーの膜穴が大きいと、その分必要な養分までもが流出してしまう。

β₂-m値は、毎月の採血で個人的には一番気にしている値。

β₂-mのような高分子を効率よく除去するのに

  • 長時間透析が良いのか
  • 頻回透析が良いのか

これ!といった解はまだないようですね。

数少ないHHD患者である私の透析実績が

未来の透析医療のお役にたてれば本望です。

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精神的痛み/苦しみ

Disappointment

06.眠れなくなる

不眠には

主観的不眠と客観的不眠(睡眠障害)がありますが

ここでは客観的不眠のみにフォーカスします。

いわゆる「不安で眠れない」というやつ。

自分が透析患者であることを理解するということは、同時に

「余命が健常者の半分」などといった"客観的"データも認知するということ

付随して

注意ポイント

24.がんになる

25.心臓が弱くなる

27.感染症を起こす(昨今のコロナ禍では、特に)

29.脳梗塞を発症する

といった、多くの疾患が発症するリスクが高い。

生体腎移植手術をし、長きに渡り免疫抑制剤を服用していた私などは

普通の透析患者より、どうしてもがんのリスクは高くなる、と

主治医からは聞かされています。

毎日、大病に怯えていたら、おちおち夜も眠れないですよ😞

参考書籍には

睡眠剤に頼らず不眠を解消するためには、一つには不眠の原因を見つけることが重要です。

などど、至極当たり前のことが書かれておりますが😹

どうしても、睡眠導入剤を処方してもらうこと、今でもあります。

07.喉が渇く、11.低栄養になる

「しっかり食べて、しっかり透析」が在宅血液透析のメリットの一つ

幸い現在の私は、❝好きなものを好きなだけ食べる❞ことが出来ております。

水分摂取は多少意識はしているものの、大半の透析患者さんに比べれば十二分にマシ。

注意ポイント

  • 飲みたいだけ飲めない
  • 食べたいだけ食べれない

週3回4時間の施設血液透析患者さんが抱える

水分制限・食事制限に対する心的ストレスはかなりなもの

と、想像します。

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まとめ

thanks

最近ある方の

(透析って)どういうときに痛いんだろう?

というツイートに対して、勝手ながら下記のようなコメントをしました。

血液透析に関連する"痛み"の感じ方は、

透析という医療行為に対しての、患者の受け止め方でも違う、

と個人的に思います。

HHDの場合、痛いと分かっていて毎日自分で自分の腕に穿刺します。

私は透析を「延命治療」とは思ってません。

"人生を善く生きる"ため毎日折れそうな気持ちを鼓舞してますよ。

と同時に

透析の苦しみは、

患者の年齢はもちろん、どんな基礎疾患を患っているかにもよるでしょう。

実際透析する私にも想像出来ません。

「もう止めたい…」と、ギリギリのところで頑張っている多くの患者さんに対しては、

軽々しい言葉はかけられません

とも。

色々な年齢層にまでSNSが普及したことで

病気に苦しむ患者の方々が、自身の胸の内を

まだ見ぬ"ネット民"に向けて発信することもあろうかと思います。

ただ

SNSに呟ける方々はまだマシで

誰にも思いを伝えられず人知れず苦しんでる患者さんも、多くいるのでは

~共生~

現実を受け入れ、

自分としっかり向き合う。

「善く生きる」ことの意味を

問い続ける旅の途中で、

出会うであろう全ての人が、

善く生き、

悔いのない人生を送るための、

一助となる。

健常の方よりは彼らの立場に近い、私のようなものが

彼等の声なき声「心の痛み」を、推測し言語化する

当ブロブの上記ミッションにも通ずることではないか。

この理念に恥じぬように。

今一度、気が引き締まる思いがいたしました。

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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