私
イチ、在宅血液透析患者、つまり
医に関しては、ただの素人。
在宅血液透析患者及び腎移植に関し、それを経験した患者目線の、LIVE感ある情報を発信する…
プロジェクト『腎生を善く生きる』と銘打って、活動しているわけですが…
そもそも
非医療者の立場で、医療情報を発信することに、問題はないのでしょうか?
(たとえ情報が、患者の「体験談」という(広義の)医療情報であったとしても。)
ある程度許容されるとして、どのような課題があるでしょうか?
一昔前、(医の)素人が専門医療情報を入手するには
患者であれば外来時、主治医から断片的に、医のレクチャーを受けるか
能動的、積極的な方であれば
医学専門書籍を、図書館等で調べるくらいしか、手がなかった。
それが時代と共に、情報発信技術も進化し
手のひらで"ググれ"ば、必要な情報は手に入る。
今や"ググる"といった「能動的検索」すら古く
本人の趣向にあった情報が、勝手にレコメンドされる時代。
「医学」という、人の命に関わる専門医療情報を
世間へアウトプットすることが許されるのは
昔も今も、国家資格を有する「医療者」であるべし、このことは間違いないところでしょう。
しかし
玄人も素人も皆、自由意志で情報発信可能なプラットフォームが構築された現代にあっては
(※勿論、最低限のモラルとルールを順守することは求められるが)
専門家をきどった素人が乱立する状況、"一億総オピニオンリーダー"の様相を
特に、SNS界隈(Twitter、YouTube等)では、如実に呈している。
当事者の1人として…
患者だからこそ発信できる情報は、ある(はず)!
との思いはあり、だからこそ、今当該活動をしているわけ。
随分前になりますが
【医療情報とネット社会】"患者系ブロガー"が医療情報を発信する際、厳守すべき3つのこと
と題して、ブログ記事を残しておりました。そこには
- 内容はあくまで"イチ個人の体験談"であることを、読者視聴者が認識できる構成とする
- 専門文献内容紹介では、表現を平易にしても"本筋"は絶対外さない
- 事象心情の"言語化"は大切だが、当事者ならではの"生っぽさ"を「非言語」で伝えること
上記3点を掲げている。さらに"プラスα"として
- "情報は一方通行であるべし"
とも掲げています。
こう考えるに至ったキッカケがありまして、それは…
とある医療者様が、(おそらくYouTubeで失敗しないための指南として)
こちらが伝えたいものを、そのまま伝えてはいけない。
必ず読者・視聴者のニーズにマッチするものを提供すべし。
とのツイートを見て、違和感を覚えたから。
あくまで、この話は
国からお墨付きを得た"権威性の担保を保持"する医療者に向けた指南であって
「医療のプロでもない、患者だというだけのイチ素人が、読者・視聴者のニーズに応えていいのか?」
「イチ素人が《医療情報》を発信するに際し"読者・視聴者のニーズにマッチするものを提供すべ"きなのか?」
と。
所詮素人の《患者系インフルエンサー》が、同じ素人の患者の"お悩み相談"に応えた結果
エビデンスに基づいた診断を常とする医療専門家からは「非常に危険!」と判断されかねない
"患者自身の経験則のみに基づいた、非常に偏った見解"のキャッチボールが行われる…
このことは、医療の領域では非常に危険。
当該患者の症状・病状は、その患者本人に限られた経験でしかない。
にも関わらず、そのことを忘れ
限られた経験が「全て」であるかの如く、同じ素人患者の"お悩み相談"に応える…
そんな危険なキャッチボールが、SNS界隈では公然と行われているように見受けられる。
以上のように
非医療者の立場で、医療情報を発信することの、問題と課題は明確だと思うのですが
人間、人に頼られると"悦に入って"しまうんですかね
我(医の素人)を忘れて、思わず「借り物の医学的知識」を披露してしまう。
ただ、これって「非医療者」に限ったことなんでしょうかね?
一口に「医療従事者」といっても、専門性で分業されているはず。
医の領域でも"業際問題"は、あるとはおもうのですが…
SNS界隈は、ハッキリ言って"ルール無用の無法地帯"。
「医師」でない「コメディカル」の方々が
医師の如く、素人のお悩み相談に応じているのを、よく目にします。
どうやら、ことはそう簡単な問題ではなさそうです。
- YouTubeのチャンネル登録者欲しさ
- Twitterのフォロワー欲しさ
視聴者のニーズに応えるコンテンツ作りに精を出した方が「実」はとれそうですが
自身の活動目的を見誤らないよう、地道に精進して参ります。
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