前回
海外と日本の
在宅血液透析に関する患者向け情報の違いを
米国透析機器メーカーNxSTAGEのHPを例にして
ご紹介致しました。
折角なので
同社の製品「System One」についてのメディア情報(ウェブサイト、YouTube等)を
日本国内でHHDをする患者の目線で❝サーフィン❞してみました。
その内容が
現役HHD患者としては非常に興味深いものあったので
私の感想を中心に
Table of Contents
【在宅透析の機器】日本の在宅血液透析患者が「NxStage System One」を見た印象
デザイン
透析マシン(NxStage System One)
サイズは
- 高さ約38㎝(15インチ)
- 幅約38㎝(15インチ)
- 奥行約45㎝(18インチ)
サイズ感としては
「ボーリングバック」位か。
私が使っている日機装の「DBB-100NX」は
- 高さ134.5㎝
- 幅30㎝
- 奥行47㎝
高さが圧倒的に違うことから
コンパクト感あり。
重量の記載は見当たらないのですが
旅先に持って行けるというので
モバイル性は比較的高いのでしょう。
(注:後に述べますが、個人旅行は非現実的。
例えばクルーズ船内で使用することが出来る、程度か)
一方の「DBB-100NX」(※我が家での名称は「二郎君」2台目なので)
その重量
標準装備時55㎏、任意付属品装着時95㎏
モバイルするような代物ではありません。
「DBB-100NX」は医療用精密機器らしく
凛とした佇まいで、重厚感・高級感があり
あるだけで、透析部屋と分かる。
一方「System One」は
部屋に置いていても周りに溶け込む感じ。
その反面、少し安っぽく見えるというのが、私の印象。
(実際にコスト面には大きな違いがあると推察されます)
RO装置(PureFlow SL)
PureFlow SL Water and Dialysate Preparation System
RO装置にあたるのが
「PureFlow SL」
というものらしい。
(厳密には、水道水の浄化と
透析液の生成を兼ねていると思われる)
テレビ台のように「PureFlow SL」を台にして
その上に「System One」を乗せております。
土台になるだけあって
「System One」より二回り程大きい。
正面の扉を開ける感じは
よく職場にある大型シュレッターを彷彿とさせる。
仕組み
当たり前ですが
専門的なことは、分かりません!
オープンになっている情報を
患者本人が見聞きした、あくまで印象ですので
その点、ご理解下さい。
今、私が使っているものと
決定的に違うな、と思う点は二つ。
一つは廃液の処理。
私の使う現行のものは
機器設置時、水回りの工事を同時に行い
廃液はそのまま下水道(うちは浄化槽)へ流れ込む仕様。
一方「System One」では
本体から管を伸ばしに伸ばし
キッチンなどの水回りで廃液を排出する。
少々面倒ですね。
もう一つは透析液のところ。これは
「PureFlow SL」を使うか使わないかで
仕組みが大きく変わる。
「PureFlow SL」使用時
この場合
上述に称した"大型シュレッター"の"ごみ箱"の位置に
生成された透析液が溜まっていくイメージ。
透析液はポンプで吸い上げられ
頭上の「System One」に向かいます。
これは
液置換の都度、「A液」「B液」を精製水で希釈して
透析液を生成する
毎日自分がやっている工程と似ているので
イメージはし易い。問題は
「PureFlow SL」を使用しない場合です。
「PureFlow SL」を使用しない場合
既に希釈された透析液がパックされているものを使うタイプ。
その絵ずらに少々インパクトがあります。
なぜなら
一袋5㍑の透析液パックを
点滴棒に複数個ぶら下げるようで。
(上記動画0:00~0:50/03:30~04:55)
透析時間によりその個数は変化するのでしょうが
1.5㍑の生理食塩水しかぶら下げたことのない私としては
その様は違和感しかない。
「System One」本体の上にheaterが設置してあって
その上に5㍑の透析液パックを乗せ、温めて使う。
(heaterに乗せた透析液パックと点滴棒にぶら下がってる透析液パックが繋がっているようなので、heaterに乗せたパック内の透析液が使用されて減った分を、ぶら下がってる透析パックから補充する仕組みと思われる。)
❝モバイル性に優れ、旅行へも持ち運べる❞
ことを謳ってはいますが
「System One」本体と各種備品の他に
一袋5㍑のパックを、仮に5個運ぶとしたら
かなりの重量です。
移動時の荷姿が映像にありますが
その様はさながら、バンドのツアーのようです。
(参照:Traveling with the NxStage systems
サイト下部動画24:48~)
操作性
セットアップ(プライミング)
血液回路とダイアライザーが
既に接続された状態で個装され
回路の一部は「カートリッジ」内に埋め込まれています。
巻き込まれた回路を一部ばらして
「カートリッジ」をそのまま本体にはめ込む。
(上記動画0:55~)
- 一体化
- はめ込み式
言葉だけ聞くと非常に便利に聞こえるが
セットアップ動画を見る限り
私には使い勝手悪く見えました。
(慣れを考慮にしても、です)
一番は
回路の枝線が、日本のそれより多く
よって接続部位も複数あることから
非常に煩雑。
色分けされていて
緑は緑、黄色は黄色といった具合に
接続していくようですが
血液回路とダイアライザーとを接続するだけのものと比べると
大変そう。
本体ディスプレイ
表示は非常にシンプル。ただ
シンプルだからといって
操作性に優れているか否かは、別問題。
(これも、慣れを考慮にしても、です)
素人である患者がHHDをやる場合
医療機器の操作は、より直観的なものの方が
理解はし易いか、と。
その点、「System One」のディスプレイは
シンプル過ぎて、流れが分かりにくい印象です。
その他
「PureFlow SL」を使用する場合
chlorine(塩素?)レベルを
患者自身が試薬で確かめています。
(上記動画04:58~08:26)
透析の都度行うのか、サイクルを決めて計画的に行うのか。
その点不明ではありますが
患者の業務が一つ増えることになります。
まとめ
じんラボのある記事では
NxSTAGEへの期待、として
同社マシンの利点をあげておられますが
患者目線で同マシンを見た後だと
少々ツッコミを入れたくなります。
1.回路の組立がセットになっており、はめるだけです。ダイアライザー・血液透析の組立がいらない
→患者からすれば、はめた「後」の工程が煩雑
2.機械がコンパクト(旅行可能)
→積載量を考えると、個人旅行は現実的ではない
3.自宅の配管工事がいらない(補液バックのみでの透析)、コスト大幅に削減
→工事は不要だが、廃液には毎回手間がかかる
4.基本は週6回2時間 標準化がしやすい
→週6回2時間の標準化は「System One」に限られた話ではないのでは?
合わせて、同記事によると
日本の在宅血液透析で使っている透析装置は
自動車に例えるとレクサスなどの高級車を使っているようなもので、在宅血液透析にはオーバースペック、本当はオートバイクラスで十分
なのだそうですが、患者としては
レクサスに乗れるのなら、乗りたいです!(笑)
その分、安心感がありますからね。
予算は無尽蔵にあるわけではない点
一国民一患者としては、十分承知しております。
その上で、専門家の方々には
その頭脳を駆使して
患者にとって良いものを提供できる
基盤、仕組みを作って頂きたいこと
切に願う次第です。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※資料映像(引用元:Dialysis Pro's)
Nxstage社製血液透析機器のプライミング(※"広義の意味"でのプライミング)映像です。
引用元「Dialysis Pro's」というのは、どうやらNxstageオフィシャルではないようです。
YouTube動画概要欄には下記記述があります
Selection of dialysis training videos for the Nxstage Machine. Disclaimer : these videos are not intended to replace any of nxstage current videos or training content, you should always follow your local hospitals policies and procedures
上記点ご留意下さい。
How to install your pack
Video 2, Nxstage Preparing your SAK
Video 3, Nxstage Preparing your Machine
Video 4, Nxstage Connections & Programing
Video 5,Nxstage Adjusting your flows
Video 6,Nxstage Connection
Video 7,Nxstage End Treatment
Video 8, Alarm 10
Video 9,Alarm 11