2024年9月3日㈫、広島市の透析クリニック内で有毒ガスが発生した、とのニュースがありました。
広島市の透析クリニックで、薬剤の誤混合により塩素ガスが発生し、約30人がせき込むなどの症状を訴えました。
警察はNBCテロ対応部隊を出動させ、消防の調査で塩素が検出されました。
140人が避難し、9人が入院。原因は次亜塩素酸ナトリウムと酢酸の誤混合とされています。
テレ朝news 記事要約
(「薬剤の混合ミスどう防ぐ 透析装置消毒で薬剤混ぜたか…クリニックで“塩素ガス”【報道ステーション】(2024年9月2日)」)※2024年10月現在、同動画非公開
とのこと。
私が一番驚いたのは、このニュースを見た妻が
「透析機器洗浄の薬液に関するニュース」
であるとすぐに認識した事。
現在私はテレビをほぼ見ないので、妻が仕事から帰ってきて
妻の話を聞くまでは、同ニュースのことは知らなかった。
妻の話を聞いてすぐネットを通じて、複数メディアのニュースコンテンツを視聴しましたが
マスメディアが"マス"を対象に制作した、あのような作り込みのニュースを見て、ほとんどの人はおそらく
- 異臭騒ぎ
- クリニックの不祥事
- 有毒ガスを使ったテロ?
との印象を持つでしょう、それは無理もない。
(「薬剤の混合ミスどう防ぐ 透析装置消毒で薬剤混ぜたか…クリニックで“塩素ガス”【報道ステーション】(2024年9月2日)」抜粋画像)※2024年10月現在、同動画非公開
勝手な推測ですが、通院の血液透析患者様方でも
血液透析機器の「洗浄」のことにまで認識したり関心を寄せている方、そう多くはないかと。
そこを
マスメディアが"マス"を対象に制作した、あのような作り込みのニュースを見てすぐ
「透析機器洗浄の薬液に関するニュース」
であるとすぐ認識した妻
さすが、在宅血液透析の介助者歴10年強
頼もしさを感じました。
当然ながら、在宅血液透析では
自分の使用している透析機器(コンソール)の「薬液洗浄」も
患者自身で行います。
コンソールの背面に薬液
「次亜塩素酸ナトリウム」と「酢酸」を入れる容器が設置されており
都度、患者(もしくは介助者)が同薬液の補充作業をします。
コンソールの洗浄そのものは
「次亜塩素酸ナトリウム」洗浄は透析終了毎、私の場合は週6回透析なので週6回
「酢酸」洗浄は週1回、私の場合は㈰透析終了後に、洗浄が行われます。
透析終了→返血→止血→バイタルチェック・体重測定の後
後片付けとして、使用済透析備品(ダイアライザー、血液回路、ヘパリン容器等)をコンソールから取り外した後
「自動洗浄」ボタンを押すと、文字通り自動でコンソール内の洗浄工程が始まります。
㈰のみ「酢酸」洗浄を行うスケジュールは、予めセットされています。
さて、今回のニュースで問題となった、コンソール内の洗浄に使用される
「次亜塩素酸ナトリウム」と「酢酸」の混合ですが
白状しますと
我が家でも、在宅血液透析約10年強の間に
たった1度だけ、やっちまったことがあります。
言い訳にはなりませんが、ほぼ「寸止め」に近いレベルで回避はできましたが…
やっちまったことは、事実。
HHD導入の際渡されるマニュアルには
「次亜塩素酸ナトリウム」「酢酸」を混ぜることが禁忌であることを
"CAUTION!!"と、大きなフォントで注意喚起しています。
当然、私も介助者である妻も認識はしています。
これは、薬液補充に限ったことではないのですが
HHD導入初期は、血液透析に関わる全ての手技、工程を
患者である私一人で行っていました。
それが、少しづつ
「あれ、取ってm(__)m、あれ、やってm(__)m」
私から介助者である妻を頼ることが増えていき
「薬液補充」も、その一つでした。
重ねて申し上げますが、介助者である妻も
「次亜塩素酸ナトリウム」「酢酸」混合の危険性は、十分承知していました。
それでも、おきてしまったわけです。
誤った容器に誤った薬液を(※今となっては、どっちをどっちにかは忘れました)注いだ瞬間
「あ!!!!!」
という妻の声。
幸い、事態はすぐ把握できましたので
とにもかくにも、換気のため窓を全開に開け
それから、誤って薬液が混入されてしまった容器を水で洗い流しました。
トラブル対応としては、間違ってはいなかったと思います。
今思うと
両薬液の混入は"寸止め"レベルの少量であったにも関わらず
ツンとする異臭は発生していたと思います。
当時のことを考えると
今回のニュース映像で見たような、透析クリニック内に設置された
あれほどの容量の容器に、あれほどの量の薬液を
(「薬剤の混合ミスどう防ぐ 透析装置消毒で薬剤混ぜたか…クリニックで“塩素ガス”【報道ステーション】(2024年9月2日)」抜粋画像)※2024年10月現在、同動画非公開
誤って注入してしまったら、大変なことだったろうと
全く透析に無関係の方々よりは、ある程度想像はできます。
ちなみに、我が家では"ヒヤリハット"以降
介助者である妻が薬液補充をする際は
必ず私が立ち会い、2人で薬液の"指さし確認"/容器の"指さし確認"するようになりました。
不謹慎な言い回しかもしれませんが、今回のニュースは
全国の在宅血液透析患者様方に、今一層の注意喚起を促す結果となったかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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