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腎臓移植

【腎移植のリアル】手術終わって万々歳!!とはならない。"美談"の陰に隠れた生体腎移植「暗」の部分

2022年7月17日

operation

自著

📚『在宅血液透析患者のリアルー導入から8年、透析回数2000回までの軌跡ー』

タイトルにある"在宅血液透析"の語に引っ張られ

「在宅血液透析導入検討者向けの本?」

との印象を与えるかもしれませんが

そうではありません!!

私の考える、自身のオリジナリティは…

先行的生体腎移植(※透析未経験)➡

移植腎廃絶➡

在宅血液透析導入(※透析未経験)、現在に至る…

これら一つのパッケージだと、思っており

同著はその"パッケージ"を盛り込んだ読み物となっております。

具体的には

第二章 在宅血液透析導入までの軌跡

この章では

"自家腎"機能が、どのような経緯で低下したか
"移植腎"機能が、どのような経緯で低下したか

この両面の軌跡が描かれております。

今回はこのうちの

生体腎移植の「暗」の部分、つまり

"移植腎"機能が、どのような経緯で低下したか

にフォーカスしてお話を進めていこうと思います。

細部にはあまりこだわらず

流れがわかるように、論を進めて参ります。

既に、音声メディア"stand.fm"やVTube動画で

「腎移植」とくに「生体腎移植」がとかく"美談"に昇華する今の世相

生体腎移植の「明」と「暗」、情報のアンバランスへ警鐘を鳴らす意味も込めて

移植腎廃絶イチ患者の立場として思うことを述べさせていただいております。

生体腎移植の「明」の部分が世に多く流布されている現状において

イチ患者が自身が経験した生体腎移植の「暗」の部分をご紹介することに

どれほどの意味があるのか

焼け石に水であることは承知の上で

「腎移植は素晴らしい、でも大変な面もありますよ!」

と、老婆心ながらお伝えできれば、と思っております。


手術終わって万々歳!!とはならない。"美談"の陰に隠れた生体腎移植「暗」の部分

アップロード済のVTube "TALKS"

障害年金受給、私には無理ゲー(「本編)では話足りず、延長戦!!)

こちらでお話しましたように

障害年金申請時、社会保険事務所から

「もっと、病歴を細かく書け!」※実際、こんな表現ではもちろんないですが💦

とのご指示を受け

腎移植オペ及びその後の体調経過を診て下さっていた大学附属病院へ出向き

そこの「トータルサポートセンター」にてソーシャルワーカーから、通院中(入院中)

どのような症状が出たか

どのような薬を投与したか

等、自身記憶が曖昧だった情報を

細かい年数と共に、ヒアリングすることができました。

全体の流れが掴めるよう、年数と共に時系列で

病状の概要をご紹介させていただきます。

この中から一部を取り出して

少し詳しいご説明を申し上げたいと思います。

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入院記録を簡単に振り返る

約10年の間に、腎生検を都合4回施行(※10年のうちの"前期"に3回施行)

基本的には、クレアチニン上昇が断続的に見られた段階での施行だったかと。

好中球減少症も目立ちます、特に"後期"。

免疫抑制剤の副作用である「骨髄抑制」によるものであろう「好中球減少」

それに加え、ヘモグロビン減少も。

外来時の採血で発覚、即入院もしばし。

好中球減少には、セルセプト減量とノイトロジンの皮下注射

ヘモグロビン減少には輸血の処置がとられていました。

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急性拒絶反応(上記2003年1月~2月/2003年5月~10月)

一般に、拒絶反応の症状としては

参考

  • 尿量の減少
  • 移植腎の痛み
  • 発熱

が挙げられます。

私の場合、痛みをともなう症状はなし。

尿量が極端に減ったという記憶も、ない。

2002年12月4日に手術、同月27日に退院。

しかし、年明け2003年最初の外来診療の結果、即入院。

2003年1月14日~2月27日の入院中に腎生検を行ったか

今となっては記憶が定かではない(ヒアリングでは聞き取れず)。

※退院の約1カ月後に生検を行っているようだが、素人にはなんとも言いようがない…

術後、一旦は退院したものの、時はいわゆる「急性期」

術後からまだ約1カ月しか経過していない状況で

微妙な熱が続き、採血でCr値は上昇傾向。

カルテに"急性拒絶反応"とあるので、そう医師の判断があったのは確かでしょう。

治療はいわゆる「パルス療法」、投与した薬剤は忘れました。

幸い、気分不快のような副作用はありませんでした。

2003年5月8日に腎生検、その結果をうけ

同年同月21日~25日入院

期間中、「スパニジン」を投与しております。

2003年10月2日~同月8日

"通院"にて「スパニジン」投与

土日も例外なく

休診日は、救急外来のベッドで点滴し、帰宅してました。

「この時期の(急性期の)拒絶反応による移植腎へのダメージが最後まで尾を引いた」

と、今でのお付き合いのある、当時の腎移植主治医からは

よく話を聞かされました。

とはいえ、急性期の拒絶反応

患者としては、どうすることもできませんよ…

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サイトメガロウイルス感染症(上記2003年01月14日~2003年02月27日)

急性拒絶反応が治まったと思ったら

その流れで「サイトメガロウイルス感染症」を発症。

拒絶反応同様、こちらも微妙な熱が続き

血液検査の結果「陽性」と判明。

抗ウイルス薬を数日間投与。

完全なる「陰性」になるまでは、結構時間を費やしました。

「急性拒絶反応」と「サイトメガロウイルス感染症」の連続発症。

上記にあるように、合わせて約1カ月半の入院を要しました。

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慢性拒絶反応

慢性拒絶反応と認められると、その腎機能の低下は止められません(との私の認識)。

上記入院記録を見返しても、具体的に、どのタイミングで

「慢性拒絶反応です」

と主治医から伝えられたか、今となっては記憶がかなり曖昧。

治療の一つとして施行されたのが「血漿交換」

"抗体除去"が目的と聞いた記憶が…

上記一覧にないが(聞き逃した?)恐らく、2008年から2010年の間かと…

血漿交換は…(素人の理解ですが)

血液透析と同様に脱血した血液を「血球」と「血漿」を分離し「血漿」は全廃し

「血球」と、全廃した「血漿」の代わりに"血液製剤"(新鮮凍結血漿)を戻す。

当然、血液透析と同様、大量の脱血を必要としますが

腎保存期(=透析未経験)で腎移植した当時の私はVA(バスキュラーアクセス)が無いので

頸部からカテーテルを挿入し、そこから脱血・返血をすることに。

局部麻酔しているとはいえ、頸部からのカテーテル挿入は非常にしんどい。

挿入完了までの時間がとても長く感じられ、終始"油汗"がでる状況。

「血漿交換」は3日程やりましたでしょうか。

(繰り返しになりますが)

脱血され血球と分けられた自身の血漿部分は全廃され、その代わりに血液製剤が注入される。

自分自身の"血液"ではないので、アレルギー反応が顕著に出ます。

血液浄化室から病室に戻った途端、真っ赤な発疹が全身にバーッと出るので

すぐさま抗アレルギー薬を投与し、都度対処してもらいました。

「慢性拒絶反応です」

結果を聞いたときは少なからずショックではありましたが

嘆き悲しんでいても、仕方がない

専門的でメディカルな部分は、主治医はじめ

腎移植チームの方々を信じるしかない。

これまでも、そしてこれからも

レシピエントとして、やるべきことは変わらない。

当時の自分は、前を向くしかなかったと。

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移植腎廃絶の決定打となった「急性心膜炎」

2013年2月に、突如襲った激しい胸痛

診断の結果「急性心膜炎」

ここで、当時の様子を詳細に申し伝えると長くなるので💦

詳細は下記ブログご参照くださいm(__)m

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(番外編)透析導入後

移植腎がほとんど機能しなくなり

※移植腎機能不全=透析導入、の意味ではないとは思いますが…

残念ながら血液透析導入となった後も

まだ若干尿は出ていました。しかし

在宅血液透析導入から約1年過ぎた辺りで、右腹部(移植腎の場所)に軽い違和感を感じ

突然血尿が出ました。

そして、厄介だったのが

透析後、必ず毎回39℃近い高熱が出ること。(※もちろん在宅血液透析です)

夜中うなされるのですが

しかし、朝にはその高熱は下がるのです。

この状態が、約1週間は続いたでしょうかね。

こう高熱が続くと、身体ははかなり消耗しました。

結局、抗生剤を服用することで血尿も高熱も治まりましたが

それ以降、尿は全く出なくなりました。

主治医の見立てでは

移植腎が拒絶反応を起こし炎症、その状態で透析したことで高熱が出たのでは

と、言う事でした。

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まとめ

thanks,

移植医療を取り上げたニュースやドラマを見ると

移植経験者としては、いつも違和感を感じます。それは

「移植手術が終わって万々歳」

といった取り上げ方をする点。

あくまで「手術」が終わっただけであって

大変なのはこれからなのに…と。

加えて昨今、特に気になるのは

私がSNSを利用するようになって目にするようになった

腎移植、特に生体腎移植に関する"美談"

マスメディアのものはもちろん

患者様自身で発するものについても

そのストーリーの"着地点"は

「愛」だの「絆」だのといった

"キラキラ"したものばかり。

この辺りは下記VTube及びstand.fm参照

透析医療がどんなに進歩しても

「人工腎臓」では「腎臓」そのものと同じ機能は果たせない、と聞きます。

つまり、透析にはどうしても限界がある、と。

その点からして、腎移植医療が素晴らしいことは承知してはいるのですが

一度それを経験し、残念ながら移植腎廃絶したイチ患者の立場としては

腎移植の良さ=「明」だけでなく

難しさ、大変さ、悲しい結末=「暗」

にも意識が向かう。

移植した腎臓が生着し続けるか否かは、そう単純な話ではない。

上記イラストレベルの情報を見てもわかる。

資料

MediPress腎移植

『移植した腎臓の機能が長続きしないのはなぜ?:長期生着のために知っておくべきこと Q&Aシリーズ④』

腎移植期当時、私は

レシピエントとして、当たり前のこと当たり前に

いや、むしろそれよりも、自分を厳しく律し

徹底した自己管理に努めてきた、と

今での自負している。

それでも

私の移植腎は、約10年で廃絶した。

つまり、声を大にして言いたいのは…

急性拒絶反応についても

慢性拒絶反応についても

私(患者/レシピエント)としては、どうすることもできなかった

ということ。(ついでに、急性心膜炎についても)

注意!!

ここからの内容は

一部の腎移植患者様の気分を害する可能性がございます。

予め、ご了承下さいませ。

そんな私の立場としては、巷でよく目にする

「移植した腎臓"長持ち"させる習慣」

とやらを見聞きすると、心穏やかでなくなる。

理由としては…まず、そもそも

移植腎を"長持ちする/長持ちしない"という表現が、気に入らないということ。

「広く多くの方々が理解しやすいように」

とのご配慮からなのかもしれませんが…

"長持ちする"の対角として、移植腎が"駄目になる"と表する方も多くおられますが

これも、私は好きではない。

「言い方なんで、どーでもよくね?」

と言われそうですが

移植腎廃絶した立場としては「どーでもよくない」のですよ…

私自身は、移植腎の機能が不全に陥ったことは「廃絶」と表します。

また

移植腎が10数年、20年以上生着し続けている患者様が

徹底した食事管理で移植腎を"長持ち"させている

ような印象を抱かせるコンテンツ等を見聞きすると

これまた「移植した腎臓"長持ち"させる習慣」同様

やはり心穏やかでなくなる。

私、聖人君子ではないのでね。

ちなみに「移植した腎臓"長持ち"させる習慣」とやらは…

  • 薬(免疫抑制剤)を一定の期間で忘れずに服用する
  • 水分摂取

だそうな。"一般論"としては、そうかもしれないですがね。

「徹底した食事管理で移植腎を"長持ち"」にしても

ご本人の努力、厳しく自己管理する姿勢には一定の敬意は表します。

しかし、繰り返しになりますが

腎移植期当時

レシピエントとして、当たり前のこと当たり前に

いや、むしろそれよりも、自分を厳しく律し

徹底した自己管理に努めてきたにも関わらず

私(患者/レシピエント)としては、どうすることもできなかった

急性拒絶反応

慢性拒絶反応

(ついでに、急性心膜炎)

により、移植腎が約10年で廃絶してしまった立場としては

薬(免疫抑制剤)を一定の期間で忘れずに服用する

水分摂取

徹底した食事管理

などを挙げて、それが

移植腎が長持ちさせる習慣

などと言われても

「そんなこと、当然にやってきたわ!!」

と、私が"心穏やかでなくなる"わけです。

補足

薬(免疫抑制剤)を一定の期間で忘れずに服用する

水分摂取

徹底した食事管理

このこと自体は、間違ってはいない。しかし

表現方法として、適切ですか?と申し上げたい。

これらを"啓蒙"するのであれば

「厳守事項」として「禁忌事項」として、つまり

厳守!!

  • 必ず、薬(免疫抑制剤)を一定の期間で忘れずに服用すること
  • 必ず、(脱水を起こさぬよう)十分な水分は接種すること

禁忌!!

  • 薬(免疫抑制剤)の飲み忘れは、絶対ダメ!
  • 脱水状態は、絶対ダメ!

と表現すべきではなかったか(個人的見解)

腎移植当事者では"ない"、例えばマスメディア等が

「移植した腎臓"長持ち"させる習慣」

などと標榜するのは、ある意味納得できる。

しかし、腎移植当事者が自ら

「移植した腎臓"長持ち"させる習慣」

などと公然と標榜するのは、いささかナイーブすぎやしないか。

なぜなら

上記イラストでご紹介したように

移植腎が生着し続けるか否かは

そう単純な話ではない、ということは

腎移植当事者なら、ご存知なはずだから。

「発信する情報のターゲットが違うから」

確かに、仰る通り。であるならば、少なくとも

先述の「補足」で申し上げたように

「表現の仕方に改善の余地はありませんか?」

と、あえて問いたくなる。

「視聴者を"釣り"にいったのでは?」と…

ただ、そうは申し上げましたが、無理もないかな、と。

発信する当事者は"そのフェーズ"つまり

移植腎が廃絶するフェーズを経験していないのだから。

だから、致し方ないのです。

巷に流布する

「生体腎移植」関連情報の「明」「暗」の圧倒的なアンバランス

は、そう簡単に解消される話ではないのです。

患者本人には"どうすることもできない"理由で

結果として移植腎が廃絶してしまった私ですが

母をドナーとした生体腎移植手術は

やって良かった!

このことは間違いない、心の底からそう思います

つまり、現在

移植腎が生着し、状態安定している患者様方が

生体腎移植の「明」の部分を外へ表現する気持ちは

十分すぎるほど理解できる。

"「明」「暗」の圧倒的なアンバランス"

といったところで

移植腎が生着し、状態安定している患者様方が

「腎死」をイメージし言語化するのは難しいかと

自分がそうだったから。

それでも

どうしても

移植腎廃絶患者の立場としては

"「明」「暗」の圧倒的なアンバランス"

は、気になるのです。ごめんなさい。

VTube TALKSでもお話したように

医の素人、イチ患者が

この圧倒的不利な状況で

生体腎移植の「暗」の部分を発信することは

焼け石に水。

もともと、私の活動上の発信は「一方通行」

ナニかを動かそう、なんて

大それたことは、考えておりません。

正直、自分の穏やかならぬ心を

自分で癒すことが目的かもしれません。

結果として

私と同じように、残念ながら移植腎が廃絶し

現在、次の腎代替療法のフェーズへ移り(殆どが通院血液透析?)

辛く苦しい生活を強いられながら

現在の、生体腎移植「明」圧倒的有利な世相下で

少なからず心穏やかでない患者様方がいらっしゃったら

その方々の溜飲が少しでも下がる

そんな副次的な効果も期待しつつ

今後も、「腎生を善く生きる」のタスクの一つとして

生体腎移植について、それも「暗」の部分を

発信していければと。

この記事は、その"第一弾"として…

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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