まずは、この映像&音声をご覧(お聴き)下さい。
ビックリしましたよ。
今まで聞いたことない異常音でしたから。
私の"命を繋ぐモノ"と言っても過言ではない、血液透析機器&RO装置
そのRO装置からの異常音。
問い合わせした際、HHD管理医療施設の担当技師さんの
「夜中でもいつでも連絡下さい。一緒に解決しましょう」
との言葉が、有難かったですね。
今回は
「ある日、我が家の透析用水作製装置(RO装置)が"唸り"をあげた!!」と題しまして
同装置から、どのような経緯で異常音が発生したのか
その後の病院側の対応、メーカー側の対応等
一連の状況をご紹介しようと思います。
トラブルは無いに越したことはないのですが
Table of Contents
【在宅透析の機器】ある日、我が家の透析用水作製装置(RO装置)が"唸り"をあげた!!
透析用水作製装置(RO装置)とは
逆浸透法精製水製造装置は、一般的にRO(Reverse Osmosis)装置と呼ばれ、水道水に含まれる不純物を逆浸透法で除去することにより、純度・清浄度の高い水(RO水)を精製する装置です。
透析医療では本装置にて精製されたRO水を透析液原液の希釈などの透析用水として使用します。
また、RO装置では逆浸透の原理のほか、RO膜の負荷軽減を目的としてイオン交換法、吸着法などを用いて様々な不純物の除去を行っています。
(引用元:東レ・メディカル株式会社)
我が家で使用しているのは、日本ウォーターシステム株式会社の「個人用MHシリーズ」
構造としては…
汲み上げた原水(水道水)はまず「5μフィルタ」を通ります。
「5μフィルタ」では
原水中の5μ以上の微粒子やごみ等を取り除き、逆浸透モジュール(※後に説明)の懸濁物質による閉塞を防止します。
(引用元:日本ウォーターシステム株式会社「逆浸透水処理装置取扱説明書」)
次に通過するのは「カーボンフィルタ」、ここでは
原水中の残留塩素、有機物等を吸着除去します。
(引用元:日本ウォーターシステム株式会社「逆浸透水処理装置取扱説明書」)
「5μフィルタ」「カーボンフィルタ」で前処理された原水は、いよいよ
RO装置の"中枢"ともいえる「逆浸透モジュール」(ROモジュール)へ流入します。
前処理した原水は、ROポンプにより所定の圧力に加圧され、逆浸透モジュールにて水中に含まれるイオン類を90%~96%、バクテリア、パイロジェン等の有機物質をほぼ完全に除去します。
(引用元:日本ウォーターシステム株式会社「逆浸透水処理装置取扱説明書」)
逆浸透って、なんだ??
溶質はほとんど透過させず溶媒のみを透過させる膜(半透膜あるいは逆浸透膜)を介して、溶解性物質を含む溶液側と溶媒側に分けておくと、溶媒が半透膜を通して溶液側に入る。これを浸透といい、平衡状態になった時の水位差を浸透圧という。この時溶液側に圧力を加えると溶液側の溶媒が膜を透過し、溶媒側の方に移行し、溶液側の濃度が上昇する。これを逆浸透という。
(引用元:一般財団法人環境イノベーション情報機構)
正直、よく分かりません…。
我が家のRO装置が"唸った"時
ある日の夜、いつものように血液透析施行。
予定透析時間が終了し返血、針抜、止血。
血液回路内排液の"下準備"は
私が自分の腕を止血している間、妻はやってくれます。
"下準備"が済めば、あとは「運転」ボタンを押せば回路排液が始まります。
少し説明が前後しますが…
透析中(血液浄化&除水)RO装置は当然、常時動いております。
透析が終わり「血液回収」のフェーズに移ると、RO装置は一旦動作が止まります。
この、動作が止まる直前、一瞬でしたが、今まで聞いたことのない
「グォッ!」という音が聞こえました。
不気味な気はしましたが、その時は
「透析液が送液するホースが、どこかに擦れた音かな?」と
あまり気に留めることはありませんでした。
さて、回路排液も終わり
医療廃棄物となったダイアライザーや血液回路等を透析機器から外し
透析機器の消毒を行います。
といっても、透析機器ディスプレイ上の当該ボタンを押せば、自動洗浄が開始します。
透析機器の消毒では、当然RO装置は稼働します。
自動洗浄開始から間もなくして
「ドゥルン・ドゥッ・ドゥッ・ドゥッ!」
という、ドラムを高速で叩くような音が、数秒感覚で聞こえる。
発生元は、間違いなくRO装置内から。
RO装置の「流量調整バルブ扉」を開けると、異常音の発生元がRO装置内であることを
確証させるに十分な音量の"唸り声"が聞こえてきました。
数秒サイクルで繰り返される"唸り声"。
今にも、装置内部の"何か"が外れてしまうのではないか、そんな気さえしました。
先述通り、透析装置の自動洗浄は、その名の通り「自動」で行ってくれるので
透析終了の私は
透析機器洗浄工程など特に気に留めることなく、心身ともリラックスした時間を過ごすのですが
この日ばかりは、そうはいきません。
異常音が続くなか、自動洗浄そのものは止まることなく継続。
異常音発生から約30分ほど経過したでしょうか、"唸り声"は鳴りを潜めました。
とは言え、今夜は洗浄終了まで起きて、様子を見ることにしました。
さらに30分経過、都合1時間経過すると再びの"唸り声"。しかし、これは数回で落ち着き
以後、洗浄終了まで、異常音が発生することはありませんでした。
患者としては、当然心配ですよね。
明日以降、もし透析中にこのような異常音が発生し、透析そのものに不都合があっては困ります。
深夜はとうに過ぎていましたが、異常音発生の様子を撮った動画ファイルを
簡単な状況説明文を添えて、HHD管理医療施設へメールしました。
病院側の対応は、非常に迅速でした。
午前中のうちに技師さんから連絡を頂き
翌々日にRO機器メーカーがメンテナンスに来られる旨、お話がありました。
その間の"急場しのぎ"として
「流量調整バルブ」を微調整するように指示を受けました。
その日の透析。
透析開始前のプライミング時(液置換時)、2回ほど
「ドゥルン・ドゥッ・ドゥッ・ドゥッ!」
と音しましたが、その後はなんとかかんとか、無事透析そのものは出来ました。
メーカー訪問によるメンテナンス
日本ウォーターシステム㈱、メンテナンス担当者来訪。
原因は「逆浸透モジュール」内が詰まってしまっていることで
「逆浸透モジュール」へ適切な流量を送る必要のある「ROポンプ」が
必要以上の出力で"頑張ってしまっていた"、結果発生した異常音であることが判明しました。
対処方法としては、「逆浸透モジュール」の交換。
RO装置の"中枢"ともいえる同部品、その重さは想像以上でしたね。
交換作業そのものは、約1時間程度で終了。
時間差で、HHD管理医療施設の担当者も来訪。
両者で情報のすり合わせを行いながら、実際に透析機器とRO装置を1時間ほど動かし
問題無きことを確認、メンテナンス作業は終了しました。
その日の透析。
ビックリするくらいの「消音」。つまり
「ドゥルン・ドゥッ・ドゥッ・ドゥッ!」と異常音がする前
当時は"正常運転"していると思っていたRO装置でしたが
時間の経過とともに「逆浸透モジュール」内部は少しずつ詰まりを生じていて
基準を超える音は発生していたんだ、と気づかされました。
まとめ(ギャラリー)
機器のトラブル、できれば起きて欲しくはありませんが
こういう機会だからこそ!
透析機器の内部は、過去のメンテナンス時に見たことあるのですが
RO装置は、これまでその中身を拝見したことがありませんでした。
実に新鮮でしたね。
メーカー担当者の方、作業中にも関わらず
物珍しさから、装置内部や部品を、スマホでパシャパシャ。
"RO装置ギャラリー"、お楽しみ下さいませ。
- 5μフィルタ(左) & カーボンフィルタ(右)
- 逆浸透モジュール
- RO装置内部
- RO装置 & 透析機器内部
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。