前記事で👇
透析患者が「易感染宿主」であることは、重々わかりました。
このままでは、現在猛威を振るうコロナウイルスはもちろん
流行する各種ウイルスにも、ただただおびえるだけ。
何か気持ちの拠り所がないだろうか?
そこで、今回は、
専門資料に記されている臨床検査値の評価から、在宅血液透析が
施設血液透析に比べて「有意差」がある点を確認し
少しでも気持ちを前向きにしたい!
という、甚だ自分本位の内容となります。
【在宅透析のメリット】施設透析に比べたHHDの「有意差」を、臨床検査値の評価から確認
慢性透析患者が、感染症のリスクが高い理由(復習)
下記記事の復習となります。
[su_box title="参考文献" style="soft" box_color="#196fff"]
一般社団法人 日本内科学会 日本内科学会雑誌89巻11号
[/su_box]
[su_note note_color="#fec7ed"]
- 生理学的因子の障害
- 食細胞機能の低下
- 各リンパ球の異常
[/su_note]
これら免疫不全の要因は多々ありますが
ここでは、腎機能低下による因子である
- 尿毒症性物質の蓄積
腎不全により促進された因子である
- 低栄養状態
にのみ、焦点をあてます。
臨床検査値の評価から見る、在宅血液透析の有意差
尿毒症性物質の蓄積
HHDなどで長時間頻回透析を行うと、CHDに比べ
血液中の尿毒症物質を低下させるだけでなく、
炎症を抑え、
脂質代謝、リン代謝を改善させる。
(引用元:『XI.慢性腎不全・透析患者の感染症』)
※HHD(home hemodialysis) 在宅血液透析
※CHD(center hemodialysis) 施設血液透析
血液中の尿毒症物質を低下させる
同資料によると
クレアチニン(Cr)、尿素窒素(UN)、尿酸(UA)が
通常透析に比べ在宅血液透析(ここでは長時間透析)で有意に低値を示した、という。
炎症を抑える
同資料によると
β2ミクログロブリン(β2MG)、インターロイキン-6(IL-6)等が
在宅血液透析(長時間透析)で有意に低値を示した、という。
脂質代謝の改善
同資料によると
動脈硬化などのリスクの指標といわれている、LDLコレステロール/HDLコレステロール比が、
在宅血液透析(長時間透析)で有意に低値を示した、という。
ちなみに、栄養関係で
アルブミン値には差がなく
脂質も、値そのものには差はほとんどなかった、という。
リン代謝の改善
同資料によると
骨・ミネラル代謝関連では
リン(P)が、在宅血液透析(長時間透析)で有意に低値を示した。
低栄養状態
栄養素等摂取量では、
HHD群で、標準体重あたりのたんぱく質1.2±0.3g、リン1042±238 mgの摂取に対し、
CHD群では、それぞれ1.0±0.2g、901±155mgであり
HHD群で有意に多く摂取していた。
(引用元:『XI.慢性腎不全・透析患者の感染症』)
同資料では、考察として
在宅血液透析患者は、食事からのリン摂取量が多いにもかかわらず
血漿リン値は有意に低値であった、と。これは
在宅血液透析では、頻回透析や長時間透析が可能なことで
尿素窒素やリンの除去が十分に行われているため、としてます。
まとめ
透析患者の免疫不全要因は、さまざま。
それらの要因が同時に複数で認めれられるケースが多いため
今回注目した免疫不全要因
[su_note note_color="#fef8aa"]
- 尿毒症性物質の蓄積
- 低栄養状態
[/su_note]
だけ解消されたところで
依然として「易感染」状態であることには変わりません。
2018年末の透析患者数は、339,841人
このうち、在宅血液透析患者は、
たったの、720人、割合にして約0.2%。
(参考文献:わが国の慢性透析療法の現況 (2018年12月31日現在))
私の希望的観測ではありますが…
今後、少しずつHHD患者数が増えていけば
より多くの臨床検査値が吸い上げられ
在宅血液透析の有意差を示す結果が、もっと表出してくるのではないでしょうか。
その中には
自己免疫に関するものも、含まれるかもしれません。
そのことを信じ、今日も頑張って透析しますか!
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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