在宅透析、施設透析問わず
透析中の過ごし方は人それぞれ。
その中で
本は、メジャーアイテムの一つではないでしょうか。
今回は
電子書籍は透析中の必須アイテム?透析患者へ「自炊」のすすめ!
と題して
在宅血液透析を行う私が、「自炊」を知った経緯から
どのようにして、読書ライフが変わっていったか
Table of Contents
【透析中の過ごし方】透析患者へ「自炊」のすすめ!
そもそも「自炊」とは何か??
「自炊」とは
紙の書籍を電子書籍化する作業のことです。
なぜ、そんな面倒な作業を行うのか?
一つには
書籍のモバイル性を高める
狙いがあるかと思います。
数十冊の紙の書籍を持ち歩くことは、ほぼ不可能。
それが、電子書籍であれば、数十冊の「書籍」を
スマホやタブレット端末内に「所蔵」することが可能。
いつでも、どこでも、好きな「本」が読めるわけです。
読書離れが叫ばれる昨今にあって
電子書籍の市場規模は上昇傾向にあるようです。
※参考:公益社団法人 全国出版協会
また「自炊」は
既存の電子書籍を購入するのではなく
自分が持っている紙の本を電子データ化をする。このことによって
いつでも、どこでも、好きな「本」が読めるだけでなく、
自宅の本棚のスリム化を図れる
というメリットもあるのです。
私が「自炊」するようになったキッカケ
透析中、シャント肢は
穿刺針を介して血液回路とつながっているため、少々不自由な状態。
(透析中の運動療法を行う施設もあるようですが・・・)
透析中、シャント肢を動かすと、静脈圧が変動します。
施設透析では、静脈圧上下限アラートが鳴ったら
当然、スタッフが止め、アラート解除を行いますが
在宅透析では
患者自ら起き上がって、機械の操作を行わなければなりません。
正直、面倒です。
この静脈圧の変動を考えると
私としては、あまりシャント肢は動かしたくない。
両手を使って紙の本を読む読書には、少し不便さを感じていました。
まず目を付けたのはオーディオブック。しかし・・・
以前、勝間和代氏のYouTube動画
「勝間和代の、本を早くたくさん読むための3つのアドバイス」
を見聞きして、なるほど、と。
彼女曰く、本を早くたくさん読むためには、
その1 本の全部の章を読もうとしない
その2 ななめ読み上等。そっちが正しいです
その3 読むのではなく、どんどんオーディオブックにして聞きましょう
なのだそうです。
私自身、もともと読書の習慣がなく
文字を読むことがちょっと億劫だったりするので
❝読まずに聞く❞
というのは、私の性分にあっているか、と。
しかし、
オーディオブックは値段がやや高め。
オーディオブック化されている書籍も、まだまだ数が少ないのが現状。
そして、そもそも論として、
「読んだ感」「理解した感」
が全くなくて、なにかスッキリしませんでした。
❝音声を3倍速・4倍速で聞き流しても、全体の数%は、人間の脳には刷り込まれている❞
❝この作業を繰り返し繰り返し行うことで、知識の定着が図れる❞
らしいのですが、少しは手ごたえを感じたい。
そうなると、
音声❝のみ❞というのは、私には合わないか、と。
音声を聞きながら、同時に文字情報も目で追いたい・・・そこで、
電子書籍を読み上げてもらおう!
電子書籍であれば、「本」を持ち歩く必要がなくなる。
モバイル端末で何十冊の本を持ち運べ、透析中も片手で本が読める。
しかも、モバイル端末の音声読み上げ機能を使えば
「読むだけ」「聞くだけ」では不十分な理解度が、少しは高まる、かも。
最近では、電子書籍化された本が増えてきて
値段も電子書籍の方が、紙の書籍より若干安かったりする。
話題のビジネス書の類は、ほとんど電子書籍化されているでしょう。
ただ
私、一応肩書は「行政書士」。
どうせ読むなら法律関係の書籍を読んで知の蓄えをしよう
などと、かなり背伸びしたりして。
ただ、出版社の意向なのか
当時は、法律関係の基本書、専門書は、あまり電子書籍化されていなくて。
そこで、色々ググっていたら
「自炊」
なる言葉を目にし、実際に試してみたというわけです。
「自炊」の方法
「自炊」の方法については
詳細に作業状況を説明したサイトや動画が多数アップされています。
ご興味のあるかたは、ググってみて下さい、すぐ見つかります。
ここでは、私の「自炊工程」をご紹介します。
まず
1.古本屋で、掘り出し物を探し、購入
2.購入した本をバラす
ページをバラバラにするために、糊付け部分を裁断したいのですが
本の厚みで一度での裁断は無理。そこで
20ページ単位でカッターで分解してから、それぞれを専用カッターで裁断。
私が使っている裁断機は、こちら↓
3.裁断しバラバラになったものを、スキャナーで読み取る
私が使っているスキャナーは、こちら↓
これで、一応の電子化は完了。
4.文字のOCR化
出来上がった電子データを端末に読み上げてもらうには
文字がOCR化されていることが必要。
今のスキャナーは
設定で、読み取りと同時に文字のOCR化は可能なのですが
その性能には特化していないからか、文字認識の精度がイマイチ。
そこでOCR化専用ソフト「読取革命」を購入。
これにより、随分文字認識の精度は上がりました。
ただ、認識しずらい文字というものがあるらしく。
一度は、その不十分な「作品」を聞いてはみますが
あまりに聞き苦しい場合は、超面倒くさいですが
出来上がった電子書籍を端末で見聞きしながら
パソコンで文字データの修正を行います。
5.音声読み上げアプリのダウンロード
最後に
実際出来上がった電子データを
スマホ上で読み上げてくれるソフト(アプリ)が必要となります。
私が使っている音声読み上げアプリは、こちら↓
自炊した電子データのファイル形式はPDF。
スマホ純正の音声読み上げ機能(androidの場合TalkBack)でも読み上げ可能ですが
「Moon+ Reader Pro」を使った方が
ページ間の移動が非常にスムーズかと、個人的には思います。
「自炊」して良かった点
❝積読❞してあった書籍を「読む」ことができた
先ほど
「法律関係の基本書、専門書」
などど、調子のいいことを言っておりましたが
その名の通り、調子に乗って
身の丈に合っていない専門書を購入しては、積読していました。
民法改正(民法の一部を改正する法律)が成立した時は
関連書籍が多数出版され、推奨書籍を購入したのですが
なかなか読み進めることが出来ず、積読。
更に、弁護士気取りで
「判例百選」
を買ったものの、当然、積読。
しかし
これらの書籍を「自炊」したことで、まず
「手に取る」ことが出来るようになりした。そして、
透析中にも関わらず、専門書を
斜め読み、聞き流しすることが可能となりました。
もちろん、理解は出来ていません(自信もって言うもんじゃないですね、はい・・・)
ただ、これまで一切目にも触れていなかったものが
「自炊」したことで、一応見聞きするようになった
「0」が「1」になったわけですね。
今まで読む機会のなかった分野の本が「読み」やすくなった
先ほど、「自炊」の方法で
古本屋で掘り出し物を購入、と書きましたが、
法律関係の基本書・専門書に関して言えば
古本屋に並んでいるものに、あまり価値はないんですね。
法改正等で内容が更新されますが
実務に携わる人間は、最新の内容を理解する必要があるので
本を購入するとしたら、より出版日の早い書籍を選ぶ必要があります。
よって、法律関係の基本書・専門書を
古本屋で購入し、「自炊」することは、ありません。
ただ
「自炊」のための古本屋巡りをするなかで
新たな発見がありました。
今までで興味があっても
定価で買うとなると尻込みしてしまうようなジャンルの本が
古本屋では、時に激安で売っていたりする。
そんな中、最近ハマったのがジャンルが、「哲学」。
いきなり
岩波文庫の「形而上学(アリストテレス)」なんては手が出ませんが・・・
入門書や解説書の良書が、文庫で安く手に入ります。
これは初学者の私でも、読みやすかった↓
これまで全く未知の分野が、自分の中で
「0」から「1」にすることが出来る。
これは、「自炊」がもたらした効用だと、思っております。
読書ライフが変わった
前述しましたが、
私は元々、読書の習慣がなく
文字を読むことがむしろ億劫でした。
そんな私が、「自炊」することで
「読書」が習慣化しました。
透析は毎日やりますので
毎日必ず、少なくとも1時間は「読書」しています。
注:映画やYouTubeにハマると「読書」はお休み
読書の概念が、変わったのかもしれませんね。
本は読むものではなく、聞くものだ、と。
私としては、「読む」「聞く」のハイブリッド型ではありますが・・・
ちなみに
通常の電子書籍も
値段とニーズに合致したものは、もちろん購入します。
音声読み上げ対応のkindle fireを激安で購入し
使っていたこともあるのですが
上記ご登場した勝間和代氏のYouTube動画を見て
kindle本の音声読み上げは「TalkBack」を利用してます。
同氏ご指摘のように
最近のGoogle読み上げ機能は、非常にクオリティが高い。
声に機械臭さは、ほとんど感じられません。
その音声は3倍速・4倍速で聞くことも可能。
そんな速聴で内容をキャッチ出来ているか、と言われると
正直手ごたえはありません。
が、その点は、人間の脳のポテンシャルに期待しているところです。
精読したとて
一度の理解度としては、あまり大差はないでしょうから。
むしろ、速聴効果で、脳の活性化が図られている、かも・・・
まとめ
「自炊」に関する議論で、必ず言われるのが、
費用対効果が悪い
ということ。
その理由は、とどのつまりは、
買ったがマシ
ということ。
ただ、
個人的に、この「自炊」作業、嫌いじゃないんですね。
また、
素材を安く仕入れて、自分好みの❝作品❞に仕上げる達成感
みたいなものもあります。
それを、人は、費用対効果が悪いというのでしょうが・・・
まあ、たしかに
世のサラリーマン、忙しい方々にとっては、無駄でしかないでしょうね。
ただ、
私の読書ライフは変わりました。
そのきっかけは、
透析中、いかに過ごすか
に端に発したもの。
透析という、一見ネガティブな行為が、
自身のライフスタイルに、新たな息吹を与えてくれた。
皮肉なものだな~と思いながらも、これも
腎生を善く生きる
ために、ポジティブな変化の一つなのではないでしょうか。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。