
年に一回の「献腎再診外来」へ行ってきました。
年に一度の献腎再診外来とは?
献腎移植を希望する者は、公益社団法人日本臓器移植ネットワーク(JOT)に登録していますが
年一回、移植手術を希望する医療施設で登録更新のための受診が必要とされています。
2013年に臓器移植ネットワークに登録以来、これまで「受診し忘れないように、"誕生日月"に受診」ということで
私の誕生日月は「1月」に移植医による診察をうけています。
献腎再診外来を受けるにあたって、昨年度中に「胃内視鏡」「心臓エコー」「腹部エコー」「心電図」各種検査は済ませてある。
それらの検査結果と直近の(?)血液検査結果並びに在宅血液透析経過表等が同封された「医療情報提供書」を携えての献腎再診外来です。
移植コーディネーターとの面談
最初に、移植コーディネーターさんとの面談。
来るべき移植手術に向けて移植医のみならず、移植コーディネーターさんと
患者として「良好な関係性を築く」ことは非常に重要だと、経験上(※2002年12月、母をドナーとした生体腎移植経験済)思っています。
臓器提供を待つ身の不安や心配事を吐露し、コーディネーターさんがそれに耳を傾け応えてくれる、というのが基本スタイル。
これまでの外来時同様「(待機年数)10年超えて来れば、いつ(移植の機会が)来てもおかしくない」とのお話はありました。
「平均待機年数、約15年」
2013年に移植腎廃絶、透析(在宅血液透析)導入、臓器移植ネットワークへの献腎移植登録してからは「15年」という、途方もない待機年数の前に
正直、移植への実感を感じることは、ほぼありませんでしたが
「(待機年数)10年超えて来れば、いつ(移植の機会が)来てもおかしくない」と言われると
「もうすぐかも」と、期待せずにはいられないのが、人間の性か。
やはり「1日でも早く、透析から離脱したい!」ですから。
とはいえ現実は厳しい、つまり「もうすぐ腎移植を受けられるかも」などという希望的観測は虚しいものだということを
コーディネーターさんの次に行われた腎移植医による診察により実感させられた。
私が献腎移植手術を希望する某大学附属病院の現在の腎移植チームのリーダーは、前回の腎移植期にも診てもらっていたので全く知らない間柄ではない。
診察室ではざっくばらんに質問をぶつけられる。
まず最初に、献腎移植手術をする医療施設の「第二候補」を決めてくれ、と言われました。
稀に一度に二つの臓器提供があった場合を想定してのことらしい。
私の主治医はこのケースを何度か経験したそうだが
主治医自ら臓器の"取り出し"を行い、その後立て続けに提供された二つの臓器の移植手術を行う(※同時ではない)
曰く、24時間立ちっぱなし手術しっぱなし
これでは正直「クオリティが下がる」と。非常に過酷な仕事です…
総合的な判断として上記のような稀なケースで移植手術を受けることになった場合に
「第二希望」の医療施設で受けるケースを想定しての、「第二希望」の指定なのだそうだ。
「第一希望」の医療施設以外は特に個人的な思い入れはないので、自宅から地理的に比較的近いところに指定しておきました。
腎移植医からの現実的な話
さて、
>「もうすぐ腎移植を受けられるかも」などという希望的観測は虚しいものだということを、コーディネーターさんの次に行われた腎移植医による診察により実感させられた。
という件。
ここで聞かされたのは、献腎移植におけるレシピエント選択基準が、素人の私がこれまで思っていた以上に複雑で緻密である、ということ。
なまじっか素人がネットから論文を漁って読んだところで、概略ですらここで素人が説明することはばかられるほど、デリケートな内容だ。
ここで言えることとしたら「待機年数が長けりゃいい、という単純な話ではない」ということか。
長期待機者ほど"待機日数ポイント"が高得点となりることは間違いところだが「レシピエント選択基準」はそれ"だけ"ではない。
加えて私の場合、1度移植腎が廃絶している、いわば"前科"がある。
移植腎機能廃絶時にはドナーHLA に対する抗体が産生されていることが多く、二次移植の場合にはドナーが限定されることになり、移植後の拒絶反応のリスクも高い。
(引用元:日本腎臓学会誌『腎移植におけるHLA抗体の検出』)
"ドナーHLA に対する抗体"というのは「ドナー特異的抗体(DSA: Donor Specific Antibody)」のことか。
「DAISUKEさんの中に、お母さんに対する抗体が現状どの程度か、調べておこう」
ということで診察後、採血をした。
診療明細書によると「抗HLA抗体(スクリーニング検査)」との記載があったが、おそらくこのこと。
以前は保険適応外の検査だったらしい。
ここで素人の考えだと…
「私の中にある抗体はあくまで私の母に対する抗体であって、提供されるであろう腎臓とは関係ないのでは?」
つまり私の認識では抗原抗体反応は"1対1"の関係性のものであると思っていたが、どうやらそうではないらしい。
私もそして私の母の臓器にも「タイプ」があって、つまり母と同じ「タイプ」の人間は当然他に多くいるわけ。
したがって此度の「抗HLA抗体(スクリーニング検査)」は「レシピエント選択基準」には非常に重要で
移植腎機能廃絶時にはドナーHLA に対する抗体が産生されていることが多く、二次移植の場合にはドナーが限定されることになり、移植後の拒絶反応のリスクも高い。
(引用元:日本腎臓学会誌『腎移植におけるHLA抗体の検出』)
ということにも繋がってくる(と私は理解した)。
待機する日々と在宅血液透析生活
「(順番)もうすぐかも」と欲張っても、こればっかりは自分ではどうすることもできません。
透析=在宅血液透析11年目の私がやるべきことは
毎日毎日、粛々と
安全に正確に確実に
「在宅」で「血液透析」を施行し続けること。
大変ですが、生きるため
待っているであろう、より良い未来のために。
とはいえ、透析はつらいよ…💧
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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