施設血液透析と比較した在宅血液透析のメリットそして
"融通性"
が挙げられます。
以前、Home Dialyzors Unitedが下記のようなツイートをされました。
Skipping dialysis treatments and shortening dialysis time carry risks and complications. This is where at home dialyzors can be extremely beneficial ensuring treatments are never missed or cut short. #dialysislife #dialysis pic.twitter.com/SEOCiOxrvN
— Home Dialyzors News (@hdunews) August 20, 2020
内容を要約すると…
透析の回数を減らす、透析時間を短くすることは
透析患者にとって大きなリスクを伴う、その点
HHDはその点の心配がなく患者には有益だ
といったところ。
これに対し、私は下記のようなコメント付きリツイートをしました。
"施設標準血液透析"(週3回/4h)患者が #透析 を"skipping""shortening"することは大変なリスクをもたらしますが、頻回透析するHHD患者にとっては透析を、時として"skipping"できる"shortening"できるということが、頻回透析生活続ける上で気持ちに余裕をくれる。いつでもやれるという心的担保があるから https://t.co/P93tjNGWps
— 腎生を善く生きる@在宅血液透析(HHD)8年目突入‼️ (@7hYpoVO5tzfBVtn) August 20, 2020
頻回透析するHHD患者にとっては透析を、
時として"skipping"できる"shortening"できるということが、
頻回透析生活続ける上で気持ちに余裕をくれる。
いつでもやれるという心的担保があるから
上記の"心的担保"とは、精神的な余裕のこと。
腎移植廃絶後、いわゆる通院透析を経ず在宅血液透析(HHD)を導入
今年の8月でHHD生活8年目に突入する私。
血液透析という枠では、"20年戦士"、"30年戦士"がいる世界にあって
私などまだまだ"ヒヨッコ"ですが
こと在宅血液透析(HHD)については丸7年継続しておりますので
実体験から感じるメリット・デメリットは語れるかな、と。
そのメリットの一つが"融通性"。
この"融通性"について
- 透析時間の融通性
- 透析回数の融通性
とに分け
Table of Contents
【在宅透析のメリット】HHDのメリットの一つ、時間&回数の"融通性"についてお話します
透析時間の融通性
透析時間の融通性を、別の言い方すれば
透析時間を患者自身で自由に設定、変更できる
ということ。
もちろん
1回の透析時間、最低これだけは行わなければいけない
といったルールはあります。
この辺りは
日本透析医学会雑誌掲載「頻回・長時間透析の現状と展望」についてまとめた
下記投稿記事に詳しくご紹介させて頂いております。
透析時間を考える時のポイント
ポイント
- 溶質の除去効率は、透析前半が高い
- 短時間透析での溶質除去は小分子物質が中心
- 小分子物質でもリンについては、十分な除去量を達成するためには1回3時間の透析は必要
- 中分子物質などは透析を長時間行うことによって溶質の総除去量が多くなる
溶質の除去効率は、透析前半が高いため
尿素のような小分子物質であれば短時間透析で除去が可能。しかし
同じ小分子物質でもリンについては
- 体内における分布スペースが大きく、また
- 隔壁間の移動が複数あると想定されるため
十分な除去量を達成するためには
1回3時間の透析は必要。
β₂ミクログロブリン(β₂M)のような「隔壁間移動抵抗」のある中分子物質は
透析を長時間行うことによって
深部区画からの除去が増え
溶質の総除去量が多くなる。
私の考える融通性の許容範囲
現在の私の透析スケジュールは
週6回(日・月・火・水・木・金)3時間
(非透析日㈯翌日の日曜日のみ4時間透析)
透析スケジュールに注目した適正透析の指標である
HDP(Hemodialysis product)「1回透析時間」×「回数²」を算出すると
108プラスα(=6²×3)
私の現在の「108」という値が具体的にどれほどの意味があるかわ不明ではありますが
通院での標準血液透析(週3回、4時間透析)に比べれば
多少なり優位性があることは
血液透析開始後丸7年経過した現状の血液検査数値が証明してくれていると思っております。
(ここでの詳細な検査結果の公表は差し控えさせて下さい)
その上で
私が日々の透析生活で行っている時間の融通ですが…
前日透析を行っていることを条件に
(例1)
当日気分不快がある場合は
透析予定時間3時間を1時間短縮すること、あります。
とりわけ気分不快が酷い場合
その日の透析を中止すること、あります。
(例2)
逆、つまり透析時間を延ばすことも、あります。例えば…
非透析日翌日の透析予定時間は4時間、しかし気分が優れない。
そこでその日の透析時間は3時間で終了、その代わり
体調が戻った翌日の透析時間を、3時間プラスα行うこと、あります。
(例3)
先に挙げた、当日気分不快による透析時間の短縮。
除水設定2時間で透析開始、予定の2時間を終わった時点で
気分が思いのほか問題なければ
除水完了後も、そのまま透析継続すること、あります。
例外中の例外
2019年1月中旬、体調を崩しまして
いつも通う近くのクリニックがたまたま休みのため
やむなく"お初"のクリニックへ。
そこでインフルエンザとの診断、ゾフルーザを処方される。
実はインフルエンザ簡易検査では陰性、ただ
そこの医師は"症状から"インフルエンザ"だろう"と診断。
しかも処方した薬はタミフルではなく
「新しい薬がある」との理由でゾフルーザ。
翌時になっても熱は下がらず
下がらないどころか、(おそらく)ゾフルーザの薬疹が出る始末。
いつものクリニックで抗生剤と解熱剤を処方してもらい状態は落ち着いたのですが
ゾフルーザを早く排泄しようと
長時間透析(6h)透析を1回行いました。
後にゾフルーザについて色々気になる情報を目にすることとなりました。
参考までご紹介しておきます。
一般社団法人 日本感染症学会 日本感染症学会提言「~抗インフルエンザ薬の使用について~」
(1) 12-19歳および成人:臨床データが乏しい中で、現時点では、推奨/非推奨は決められない。
(2) 12歳未満の小児:低感受性株の出現頻度が高いことを考慮し、慎重に投与を検討する。
(3) 免疫不全患者や重症患者では、単独での積極的な投与は推奨しない。
透析回数の融通性
透析回数を考える時のポイント
ポイント
- 原則、中二日の非透析日を作らない
- 透析1回の除水量
施設血液透析での透析日は
「月・水・金」 or 「火・木・土」
いずれにしても、土・日もしくは日・月と
連続2日間の非透析日が生じます。
連日透析に比べると
必然的に除水量及び除水速度は速くなり
身体への負担は大きくなります。
体重増加を抑えることが出来れば良いのでしょうが
そのための水分制限は過酷を極め、私には到底想像をもできません。
先述したように、私の現在の透析スケジュールは
週6回(日・月・火・水・木・金)3時間
(非透析日㈯翌日の日曜日のみ4時間透析)
ここに至るまで、少しずつ透析回数を増やしてまいりました。
HHD導入当初は"隔日透析"つまり
1日透析1日休み、の連続。これですと単純計算では…
2週間で7回→1週間で3.5回の透析。
そこから
週4回(日・火・木・金)
週5回(日・月・火・木・金)そして現在の
週6回(日・月・火・水・木・金)
となりました。
透析回数を増やすことで
透析1回の除水量が少なくなります。
より正確に申し上げれば
透析回数が少なくても(週3回でも)
厳しい水分制限を達成することができれば
透析1回の除水量が少なくなるでしょうが
それには相当の苦しさが伴います。
"連日透析"を行うことの私の考えるメリットは
透析1回の除水量が少なくなる、というより
水分制限がなくなり、好きなだけ水分摂取できる
という点にあると思います。
透析患者でありながら、水分制限をほぼする必要がなくなるのです。
この点は、かなり精神面でのアドバンテージになりますね。
週6回の透析を行う現在から更に透析回数を増やす、ということは
つまり「365日毎日透析」
ということになりますが…
現実的には無理ですかね、気持ちがもちません…
前記事でもご紹介しましたが
頻回・長時間透析に関してはまだまだエビデンスレベルが低い。
"週6回"と"週7回"(毎日透析)との比較で
生命予後に関して大きな成果の差があるということが分かれば考えるでしょうが
現状では、ベストに近いベターなスケジュールではないかと
素人ながら自負しております。
まとめ
以前の記事で
2006年サッカーWCドイツ大会へのぞむジーコジャパン
当時チームの中心的存在であった中田英寿の言葉をご紹介しました。
「自由ということはその分選手一人一人が担う責任が大きくなる」
在宅血液透析も同じ。
自由に決めていいですよ、と言われたと同時に
決めたルールや仕様に対し、患者自身で責任を負う必要はあります。
その責任とリスクを負った上で初めて
施設血液透析にはない
在宅血液透析のメリットを享受できるのです。
今回ご紹介したように
患者自身で透析の回数&時間に"融通性"を持たせられるためには
管理医療施設側からのルールを厳守した上で
患者自らが能動的に病気や医療行為について勉強し
責任とリスクを負えるだけの「力」を備える必要はあると思います。
在宅血液透析は、たしかに優れた医療行為ではありますが
簡単にできるものではないな、と
日々感じます。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。