新型コロナウイルス関連の英文記事を使って、「透析患者」「感染予防」に関する英語表現を学ぶ
に引き続き、今回も、
新型コロナウイルス関連の英文記事を教材に、
英語学習をしていきたいと思います。
初めに、記事全体を要約し、
それから、「透析患者」「移植患者」「感染予防」に関する英語表現をピックアップして、
私なりの解説を行ってまいります。
今回参照する記事は、
American Society of Nephrology, American Society of Transplantation release guidance on coronavirus
新型コロナ関連の英文記事から「透析・腎移植」「感染予防」に関する英語表現を学ぶ
要旨
内容としては、
1.新型コロナウイルスの感染疑いがある患者が透析を行う場合の注意
- 通常の外来施設での透析は行うべきでない
- 在宅血液透析が出来ない患者は、専用施設で行う
2.ウイルスに対する移植患者の易感染について
3.献腎・生体腎問わずドナーの病歴及び渡航歴のチェックの必要性について
といったところが書かれております。
解説
※英英辞典は
を参照
第一パラグラフ
Dialysis should not occur in an outpatient facility for a person under investigation for the novel coronavirus, also known as COVID-19, unless an airborne isolation room is available,
outpatient facility
airborne isolation room
❝空中隔離室(airborne isolation room)が利用可能でない場合、
新型コロナウイルス罹患の可能性がある患者に対し、
外来施設(outpatient facility)での透析は行うべきではない❞
と言ってます。
やむを得ないとはいえ、厳しい現実です・・・
if unable to perform home dialysis, these individuals will need to undergo dialysis in an acute care hospital in an AIIR.
言いたいことは上記内容と同じ。
❝在宅透析が出来なければ、隔離可能な急性期治療病院で透析を受ける必要がある❞
と言ってます。
ところで、
在宅血液透析(HHD)を行う私が、もし新型コロナウイルスの罹患が疑われたら、
専門の医療施設に収容されるも、透析のために一旦帰宅するのでしょうか??
それはそれで問題ありそうですね。
第二パラグラフ
The incubation is 2 [to] 14 days in the general population; however, the inoculum size required to infect a transplant patient may be lower.
incubation/ˌɪŋ.kjəˈbeɪ.ʃən/
inoculum/ih-nok-yuh-luh m/
❝健常者の潜伏期間は2日~14日だが、
移植患者はより少ない接種量で感染する❞
と言ってます。
incubationは、
the process or period of time in which harmful bacteria or viruses increase in size or number in a person's or animal's body but do not yet produce the effects of disease
要するに、潜伏期間のことですかね。
inoculumはちょっと理解しずらい。
動詞形のinoculateは、
to give a weak form of a disease to a person or animal, usually by injection, as a protection against that disease
とあるので、予防接種をイメージしてしまいますが、
ここでは「予防」は無視して「接種」だけで意味をとらえると、
なんとかイメージできるか。
前記事
腎臓移植患者がウイルス感染すると、なぜ重篤な状態につながる可能性が高いのか?腎移植患者自身が知らなければいけないこと
を合わせて読んでいただければ、と。
Based on data from influenza and SARS, if infection occurs, progression to pneumonia will likely be more common in the immunocompromised population, including transplant recipients.
pneumonia/nuːˈmoʊ.njə/
immunocompromised/ im-yuh-noh-kom-pruh-mahyzd/
❝インフルエンザやSARSのデータを基にすると、
もし、レシピエントを含めた免疫不全患者が感染したら、
ほとんどの場合、肺炎(pneumonia)が進行する❞
とあります。
レシピエントは免疫抑制剤を服用してますからね。
immunocompromisedは
immun+compromisedとわけて考える。
immunは免疫
compromisedは形容詞で、
unable to function optimally, especially with regard to immune response, owing to underlying disease, harmful environmental exposure, or the side effects of a course of treatment
これを見ると、compromisedだけで免疫不全を表してそうなので、
免疫+免疫不全
と、重複してそうですが、くどくど考えず、要するに
免疫不全
という意味でしょう。
第三パラグラフ
A travel history for the deceased donor is essential and should consider travel to China, Iran, Italy, South Korea, or anywhere local transmission is occurring.
deceased donor
直訳すると❝故人のドナー❞となりますが、
献腎移植の際の臓器提供者
としたほうが、イメージしやすいかと。
transmission/trænsˈmɪʃ.ən/
transmissionは、
the process of passing something from one person or place to another
とありますので、内容としては、
❝ドナーの渡航歴の確認は必須で、
中国、イラン、イタリア、韓国他、
地方での感染が確認されている場所への渡航を考慮すべき❞
と言ってます。
A deceased donor with known or highly suspected COVID-19 infection should be deferred for all organs to avoid transmission to recipient as well as to the health care team.
defer/dɪˈfɝː/
❝新型コロナウイルスに感染が疑われるドナーの場合は、
全ての臓器(の移植手術)の延期し(defer)、
レシピエントや医療スタッフへの感染を避けるべき❞
と言ってます。
Each case should consider the urgency of transplant and the potential risk to the recipients, as well as consider isolation interventions if organs are used.”
Each caseというのは、この前の文脈で、
- 潜伏期間を含めた感染疑いのある故人ドナー
- 現在症状は無いが以前感染していたドナー
についての記述がありまして、
それを受けています。
❝上記二つのケースでは、
移植の緊急性やレシピエントへのリスクを考慮するだけでなく、
もし臓器を使うのであれば、
隔離することも考慮にいれるべき❞
と言ってます。
第四パラグラフ以降
Living donors who traveled to a high-risk area within the last 2 weeks prior to donation should be deferred until 14 days from travel.
living donors
前述のdeseased donorsに対する表現。
❝二週間以内に危険地域へ渡航したドナーの場合は、
旅行から14日は間をあける(遅らせる)べき❞
と言ってます。
まとめ
献腎移植のドナーが新型コロナウイルスに感染していたら・・・
今回の記事を読むまで、
恥ずかしながらノーマークでした。
当たり前っちゃ当たり前なんですが。
献腎移植はスピード勝負の側面もあるじゃないですか?
今後はレシピエントの選定と同時に、
ドナーのウイルス感染の有無のみならず、
その渡航歴までスクリーニングしないといけないのでしょうか。
こりゃ医療関係者は大変です・・・
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。