東京都及び周辺の自治体で、
週末の不要不急の外出自粛要請がアナウンスされた、まさにその日、
月に一度の在宅血液透析管理施設の医師との問診の日でした。
管理医療施設は東京都内にあるので、
越県する形です。
たかだか一度の外来ですが、
道中、公共交通機関を利用するわけで、
その点非常にストレスを感じました。
一方で、
外来先で目にした施設血液透析(CHD)患者さんの様子を目にし、
改めて、
在宅血液透析(HHD)を享受している自分は恵まれているな
と思いました。
そこで、今回は、
パンデミック状況下で、改めて感じる在宅血液透析のメリット
【在宅透析のメリット】パンデミック状況下で、改めて感じる在宅血液透析の利点
施設への移動がない
施設血液透析患者(CHD)の
自宅から施設までの移動手段は様々。
公共交通機関での移動、自家用車での移動、送迎バスでの移動
不特定多数の人との接触が感染リスクを高くすると仮定した場合、
感染リスクの高い順に並べると、
- 公共交通機関での移動
- 送迎バスでの移動
- 自家用車での移動
となりますか。
施設血液透析を選択する場合、基本的に、
自宅から移動距離が比較的近い施設を選択すると思いますが、
自宅の隣に施設があるわけではないですから、
当然、自宅-施設間の移動には、
なんらかの移動手段を利用します。
これは必然的に、
- 同じ移動手段を
- 同時刻に利用する
不特定多数の人と接触することを意味します。
公共交通機関での移動
透析患者の中でも比較的年齢の若い方は、
現役の方が多く、そのため、
会社帰りに透析施設へ立ち寄るとなると、
公共交通機関を利用する方が多くなることが推察されます。
送迎バスでの移動
送迎バスを利用する患者さんの場合は、
大体一台に4~5人は同乗するんでしょうか?
ドライバー・スタッフを含めると、狭い空間の中に6~7人。
皆さん十二分のケアを施しての乗車であると思いますが、
神経は使いそうです。
自家用車での移動
ご高齢且つ足腰の弱い方で、
ご家族の送迎が可能な方は、
不特定多数の人との接触は比較的少ないか。
不特定多数の患者との接触がない
在宅血液透析(HHD)を行う私の場合、
透析中周囲にいるのは、妻だけ。
これに対し、施設血液透析(CHD)の患者さんの場合、
極力人との接触を避けて施設へ到着しても、
透析を行う場所は、
不特定多数の患者、病院スタッフが同居する一つの空間です。
(厳密には、毎曜日決められたシフトで来院するため、
結果❝顔なじみ❞が多く❝不特定❞ではないと思われますが)
仮に、その同一空間の人間全員が、
自家用車での通院であれば、
多少リスクは軽減するかと思いますが、
現実、そうとはなりません。
各施設、
スタッフ患者を含めた施設へ入退出に関して、
万全の対策を講じていることでしょう。
事実、今のところ
透析施設での院内感染のニュースを目にすることはありません。
これは医療スタッフのご尽力の賜物であると思いますが、
なかなかリスクゼロとすることは、難しいでしょう。
透析中の余計な精神的ストレスがない
透析施設内には、
さまざまな移動手段で施設までこられた患者、スタッフがいらっしゃいます。
自分は不特定多数の接触のない自家用車で来ていても、
そうでない人、つまり、
不特定多数の人との接触が想定される、
公共交通機関及び送迎バスを利用した他の患者さんが、
隣のベッドにいるわけです。
"social distancing"がさけばれてはおりますが、
限られたスペースに多くのベッドをレイアウトする透析施設では、
ベッド間の距離を十二分に確保することは、
現実問題として難しいでしょう。
そのような状況下は、
患者さんによっては、
余計な精神的負担がのしかかるのではないでしょうか。
心配性の私がもし施設透析だったら、
終始ビクビクしてたでしょう。
マスクが減りにくい
在宅血液透析では、
透析中、マスクを着用することはありません。
当然、施設への移動もないので、
その分、手持ちのマスクは減りにくい。
施設血液透析患者の場合、
- 自宅から施設までの移動時間
- 施設へ入室し透析が終わるまでの時間
- 施設から自宅までの移動時間
自身への感染予防及び他者への感染拡大防止のため、
マスクはほぼ義務として着用されていることでしょう。
平時なら問題のないマスク着用の習慣も、
昨今のマスク不足により、手持ちのマスクを計算しなければならない。
免疫力低下が著しい透析患者にとって、
マスク不足は死活問題です。
新型コロナウイルスに対するマスク着用の有用性について、
万全とは言えない点、多くの方が認識しているかと思います。
ウイルスそのものは、マスクの網を通過してしまう、と。
しかし、
ウイルス保有者が使用しウイルスが付着した手すりやドアノブを触った手を、
無意識の内に鼻や口にもっていくことでウイルス感染する、
その点について言えば、
マスク着用は有用と言われています。
透析施設スタッフの方々は、
患者の入れ替え毎に、
ベッドの手すりや周辺備品の消毒は徹底して下さっていると思います。
彼らのご尽力のお陰で、
感染リスクを抑えていることは事実ですが、
患者自身で行えるリスク管理も必要。
その点、マスク着用は、
患者自身が簡単に行えるリスク管理の一つでしょう。
とは言え、
現在のようなマスク不足の状況下では、
この簡単なマスク着用もままなりません。
まとめ
在宅血液透析(HHD)と施設血液透析(CHD)
それぞれのメリット・デメリットはございますが、
現在のようなパンデミックの状況下では、
- 施設への移動がない
- 不特定多数の患者との接触がない
上記2つの側面において特に、
在宅血液透析の優位性を改めて実感しています。
前述に述べたように、
現在までに、
透析施設におけるクラスター発生の事例は耳にしません。
もし透析施設の院内感染の事例が多発したら・・・
想像もしたくないですね。
透析患者一人一人が、
医療従事者の方々に「守られる」だけでなく、
主体的に公衆衛生リテラシーを高め、
最低限の自己防衛策を講じることが、
強く求められていると思います。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。