巷に流布する「腎移植」特に「生体腎移植」に関する情報は、とかく美談が多い。
現在、移植腎が生着し"キラキラ"したフェーズを謳歌している患者からは
当事者(ドナー・レシピエント)の"愛"だの"絆"だのといった話ばかり…
しかし
生体腎移植後、約10年で、移植した腎臓が廃絶してしまった私としては
腎移植の「暗」の部分も知っているし経験しているので
"あの手の"美談には、いい加減辟易している。
とはいえ、現在は在宅血液透析患者であると同時に
「献腎移植待機者」でもある。
現在の献腎移植"平均待機期間"は、5,382.0日(約14年9ヶ月)
(参照:公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク)
在宅血液透析導入とほぼ同時期に、日本臓器移植ネットワークに登録。
2022年9月現在で、丸9年が経過。
上記"平均待機期間"によれば(約15年とすると)
あと約6年は待機する計算になる。
上記待機期間(約15年)は、あくまで"平均"なので
いわずもがな、それより長くもなれば短くもなる。
繰り返しになるが、腎移植は"キラキラ"したことばかりじゃない。
「手術が終われば、万々歳」でないことは、勿論
"自己免疫抑制"と"感染症予防"との両輪を上手く回すことの難しさを、肌身で知っている。
レシピエントとして当たり前のこと、それ以上の自己管理を徹底しても
本人では如何ともし難い理由で、移植腎が廃絶することもある。
それでも、日本臓器移植ネットワークに登録し「献腎移植」を待つ理由、それは
「透析から解放される」
これに尽きる。
「一日でも早く、献腎移植したい!」
本来は、そう言い切りたいところだが、今はちょっと事情が事情でして…
2002年の生体腎移植時のドナーであり、私の母は、現在がん闘病中。
長い長い闘病生活
多臓器へも複数がん転移
現在は、"万策尽き"、がんに対する積極的な治療は行っていない。
「終末期」
時に対処療法を施しながら、一日一日を大切に過ごしている。
そんな今の母にとって、私の存在が唯一の"救い"。
「がん」「腎不全」領域は違えど、"病人同士"
※透析患者も「透析しなきゃ、死ぬ」と考えれば、なかなかなもんでしょ?
当事者以外にとってはタブーとなりがちな「死」についても
母と私、"ざっくばらん"に話している。
そんな時間が、母にとっては(私にとっても)愛おしいのだ。
そんな母が、この前
「今、DAISUKEが移植、ってなったら、困る!!」
と、冗談半分、本気半分で言った。いや、100%本気かな?
移植手術となれば、当然「母のもとを離れる」。約1カ月は必要か。
私の妻は当然、術後は私に付きっきりになるだろう。
私には姉がいるので(別世帯)、私の入院の間だけ、母と生活することも可能だろう。
それでも
「今、DAISUKEが移植、ってなったら、困る!!」そうだ💦
現在の生活環境(私と母との"二人三脚")を考えると、母の気持ちには大いに納得。
だから…
「一日でも早く、献腎移植したい!」
だけど
「正直、今は困る…」
まあ、現実問題として
献腎移植待機期間が、5年6年短くなることはないだろうな…(根拠はないけど)。
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