2013年8月に在宅血液透析を導入して8年弱が経過。
その間、2度
透析中に気を失ったことがあります。
当時の状況は、今でも鮮明。
あのような怖い経験は御免、と以後
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- 慎重な在宅血液透析
- 無理をしない在宅血液透析
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を肝に銘じております。
とはいえ
透析中の身体の変調、気分不快は
時として起こります。
昨晩
久しぶりの「血圧低下」「不整脈(頻脈)」に襲われ
今にも意識が飛びそうな"違和感"を感じました。
そこで、今一度
透析中の「血圧低下」「不整脈(頻脈)」がなぜ起こるのか、を復習したうえで
【在宅透析でのトラブル】"専門スタッフ不在" 在宅血液透析の難しさと怖さを再認識
透析中の「血圧低下」の要因
透析中の血圧低下の要因について、ここは
専門医療機関の文献を参照しましょう。
ご紹介するのは
日本透析医会雑誌Vol.31 No.1内に記載
「透析患者の血圧管理」
透析低血圧は透析による除水で細胞外液量が低下した時に、
細胞内液から外液への体液移動(血漿再充填:plasma refilling)がスムーズに行われず、
かつ血管コンプライアンスが低下していると血圧が急激に下がる現象である。
(引用元:日本透析医会雑誌Vol.31 No.1「透析患者の血圧管理」)
また
透析低血圧の原因として除水量過多は最も頻度が高い。
その他にも plasma refilling に影響を与える因子として、
除水速度、血管透過性、血清アルブミン濃度、血清Na濃度などがある。
K/DOQI ガイドラインでは、透析低血圧を予防するために除水速度を
15mL/kg/時以下にとどめるよう推奨している。
(引用元:日本透析医会雑誌Vol.31 No.1「透析患者の血圧管理」)
透析中の「不整脈(頻脈)」の要因
透析中の不整脈(頻脈)の要因については
不整脈ドットコムHP内にある
"心房細動と透析"を参照させて頂います。
※心房細動とは…
心房内に流れる電気信号の乱れによって起きる「不整脈」の一種で、
心房が痙攣したように細かく震え、血液をうまく全身に送り出せなくなる病気です。
(引用元:心房細動.com)
透析中になぜ心房細動が起こりやすいか?
透析によって体内の水分が除水され、水分量や電解質の量が変化することにより、
交感神経が活性化され、不整脈が起こりやすくなります。
(引用元:不整脈ドットコム)
図で非常に分かりやすくご説明してくれているので
そちらもご参照下さい。
実際に私の身に起きた症状と、その対応
透析開始時
昨晩は、透析開始時間が遅くなってしまい
透析予定時間3時間をフルで行うのは難しい、と判断。
「3時間やれればいいが、3時間やれなくても除水だけは」
ということで
目標除水量から透析予定時間3時間で割り出した除水速度「0.57L/h」を
開始後1時間だけ「0.77L/h」に上げた。
これに関しては以前、看護師さんに
「血圧の余裕がある透析前半に、除水速度を上げる時もある」
との話を聞いていたので、ままあること。
それに、除水速度「0.77L/h」は
とりわけ"早い"速度では、ない。
HHD管理病院から指示されているのは
"除水速度「0.8L/h」は超えないように"なので。
また、先にご紹介した日本透析医会雑誌の記述にも
透析低血圧を予防するために除水速度を
15mL/kg/時以下にとどめるよう推奨している。
とある。
私の体重に換算してみると…
15ml×60㎏=900mL、つまり除水速度「0.9L/h」
「0.77L/h」は私の除水速度として"早すぎる"ものでは、ないと思われる。
しかも、透析開始1時間限定ですし…。
一つ懸念材料があったとすれば
透析開始時の収縮期血圧が、これまでよりやや低めだった、ということ。
今から約3週間前の外来で、医師に
透析開始時の血圧が"高い"ことを伝え(透析経過表から見ても明らか)
DW(ドライウエイト)を僅かではあるが、減らした(0.5㎏減)。
外来から約1週間はあまり効果がみられず、比較的高めの血圧ではあったものの
直近の1週間は、血圧150台だったものが「130台」にまで改善。
そして、この日の透析開始時の収縮期血圧は「122」。
透析開始約2時間後
予定通り、透析開始から1時間で
除水速度を「0.77L/h」から「0.57L/h」へ戻す。
この日の透析中は、いつも通り
YouTube動画を見たり、Podcastを聞いたり。
透析開始から2時間が経過した辺りから
YouTube動画を見たり、Podcastを聞いたりする"余裕"が、なくなってきた。
これまで経験で、身体に"余裕"が無くなる傾向、順序として
書籍などの活字を追うことが、出来なくなる
YouTubeや映画、ドラマなどの動画を漫然と見る余裕も、なくなる
そして、今回は
Podcastという音声のみを聞くことの余裕も、なくなってきた。
身体に"余裕"が無くなる症状として、私の場合は
頭が「スーッ」とするというか
今にも意識が「フッ」と飛んでしまいそうな
そんな違和感に襲われます。
時間は、透析開始から2時間20分が経過。
バイタルをチェックしてみると
"血圧109/84、脈拍112"
「血圧低下に先んじて、頻脈傾向となる」
との自分自身の経験則がある。
「気分不快」と「不整脈(頻脈)」とを総合評価した結果
透析"強制"終了することにしました。
急いで返血作業。
通常であれば、この返血の工程
自身の血液が体内に戻ってくる途中で
少しずつ身体の余裕が生まれてくるのですが
この日は、なかなかそうとはならない。
返血終了時点でのバイタルは
"血圧110/81、脈拍100"
数値上、若干の回復は見られるも、「気分不快」は相変わらず。
針を抜き、止血するのも
通常の姿勢は「座位」であるが、この日は
リクライニングチェアをフルフラットにした状態で、止血。
10分間の止血の後、穿刺部位からの出血なきことを確認し、インジェクションパットを貼る。
リクライニングチェアを起こし「座位」の状態で、バイタルチェック
"血圧93/76、脈拍112"
透析後は体重測定をするのですが
リクライニングチェアをゆっくり離床し、敷いてある布団で横になり
足を挙上させ、状態が落ち着くのを待ちました。
補足
透析の"強制"終了直後の血液回路を見ると
気のせいか、回路内の血液が"暗褐色"に。
過去に同じ光景を見たことが、それは
シャントが狭窄し、その状態で在宅で無理やり透析を試みた時
脱血される血液が"暗褐色"だった。これは、説明がつく。
素人の私が知りうる知識では…
- 酸素を豊富に含んだ動脈血は"鮮紅色"
- 二酸化炭素を多く含む静脈血は"暗褐色"
また
- 脱血側穿刺部位と返血側穿刺部位との距離が近すぎると「再循環」が起こる
ということ。
昨日の穿刺部位間の距離は、15㎝はあったと思う。
もちろん
透析中、そして透析後のシャントの状態も
スリルはちゃんとあるし、聴診器で各シャント部位を確認しても
ハッキリと音は確認取れた。
あの"暗褐色"は、なんだったんだろうか…
まとめ
今回、今一度、在宅血液透析の
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- 難しさ
- 怖さ
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を体感した。
透析を"強制"終了するという判断が、少しでも遅れていたら…
前記事
あのような「事故」は、私自身起こしたくない気持ちがあるのは当然
支えてくれる家族に、あの時のような心配をかけることは、避けたい。
今回襲った透析中の異変の、真の原因は何だったんだろうか?
血圧変動の要因にせよ、不整脈の要因にせよ
素人の私が理解できるような、単純な機序ではなく
複雑な要因が絡むのでしょう。
となると
在宅血液透析を続ける私が、肝に銘じておかなければならないのは
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- 自身から発せられるSOSを見逃さない
- 絶対無理をしない、そして
- 早め早めの措置を心掛けること
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専門スタッフが不在という状況下で医療行為をするという
リスクを負ってでもなお、余りある恩恵が
在宅血液透析にはある、と思っておりますので
この恵まれが医療環境を保持するため
今一度、気を引き締めて参ります。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。