2021年の7月頃だったでしょうか
ある著明なお医者様による「障害年金」についてのツイートがございました。
障害年金、申請しないともらえません。知らないと損するってことは、医療においてかなりたくさんあります。実は日本の社会保障制度って世界一っていうくらいに良い制度と思います。これをうまく利用しないともったいないです。
— 勝俣範之 (@Katsumata_Nori) July 10, 2021
そのお医者様の影響力、情報の拡散力も手伝って多くの「賛否」が見られました。
私の立場は、このツイートに対して「否」というわけではありませんが
"経験談"として、少々ボヤきたくなりまして…
☑️どんなに主治医が「診断書」を丁寧に書いてくださっても☑️どんなに「病歴・就労状況等申立書」を細かく書き記しても☑️どんなに「受診状況等証明書が添付できない申立書」を書いて提出しても
❝初診日が不明なため❞
のたった一行で不許可処分…私には障害年金は"無理ゲー"😭https://t.co/1osrpbDRyK https://t.co/LEhzIqcBdU pic.twitter.com/5YDuNAWTsZ— 腎生を善く生きる@在宅血液透析(HHD)9⃣年目突入‼️ (@Live_KidneyLife) July 10, 2021
上記のような引用ツイートをしました。
"経験談"と申し上げましたが…
今から約6年前、障害年金の受給申請を、自分で行いました。結果は、
不許可…
行政手続法や行政不服審査法を勉強した今なら、
向学のために、処分に対する不服申し立てをしたかもしれません。
が、いずれにせよ、処分は覆らないでしょう。
なぜなら、私にとって、
障害年金の受給申請は無理ゲー
だと判断する(判断した)からです。
日頃、私のツイートは、超ブルーオーシャンの「在宅血液透析」に関するもの
結果として、そのインプレッション乏しく、エンゲージメントほぼ無いに等しいところ
先にご紹介した私の"ぼやきツイート"には
(私にしては)多くのインプレッション/エンゲージメントがありました。
超ブルーオーシャンの「在宅血液透析」から
ストライクゾーンを広げた話題ゆえの理由かもしれませんが
「障害年金」そのものに、多くの方々の関心が向いている、とも考えられます。
そこで、今回は
私が障害年金を受給することが"無理ゲー"とした、その根拠を
申請時提出した内容を引用しながら、その申請プロセスをご紹介することで
示して参りたいと思います。
あくまで「私」にとっては、経験則として無理ゲーだ、ということであって
同じ慢性腎不全経由の透析患者でも、許可処分を勝ち取る可能性はあると思いますので
誤解のないように。
これからお話する申請プロセス並びに申請内容を
"見る人が見れば"、例えば社会保険労務士の先生方が見た場合
穴だらけで「これじゃ、通らないよ…」
と仰るかもしれません。
日本年金機構が記した文章の解釈も
「そういうことじゃないんだよ…」
と仰るかもしれません。
ただ、これからお話するように
私は私なりの、やれる限りの準備を、時間と労力をかけ
加えて、主治医の全面的な協力も頂き、提出した申請の結果が
「不許可処分」
だった、ということ。
その点、ご理解願います。
Table of Contents
慢性腎不全経由の透析患者にとって、障害年金の受給申請は「無理ゲー」
申請内容のレビュー
障害年金の受給要件や、請求手続きについては、日本年金機構のHPに記載があります。
内容を一見して、多くの方は
面倒くさい!
と思うでしょ。
そういった方は、お金を出して、社労士に依頼するわけですね。
患者自身で申請するとなった場合、記入するメイン書類は
「病歴・就労状況等申立書」
となります。
当時提出した原本をPDF化したものがあったのですが、
不許可処分を受け、データを削除してしまいました。
ただ、下書きが残っていましたので、
下記に引用します。
1.不詳~昭和6〇年(19〇〇年)頃
医師の診断書にあるように、腎炎の原因及び正確な発病時期は不詳。腎障害を指摘された初診は、昭和〇〇年(〇〇〇〇)高校3年時の健康診断。尿たんぱく陽性反応。自覚症状はなし。(※「提出済「受診状況等証明書が添付できない申立書」に記載した通り、在学した当該機関に当時の診断記録等関連資料の提出を求めるも、5年の保存期間後破棄するため証明書発行不可の回答」2.平成〇年(19〇〇年)~平成〇年(19〇〇年)
大学入学時の健康診断にて腎障害の指摘(尿たんぱく陽性反応)。自覚症状なし。大学4年時実施の健康診断でも腎障害の指摘(尿たんぱく陽性反応)。自覚症状なし。(※「提出済「受診状況等証明書が添付できない申立書」に記載した通り、在学した当該機関に当時の診断記録等関連資料の提出を求めるも、5年の保存期間後破棄するため証明書発行不可の回答。当時の健康診断実施時期は入学後毎年ではなく、入学時と4年時の2回だったと記憶する」3.平成〇年(19〇〇年)~平成1〇年(20〇〇年)
家族の薦めで〇〇総合病院(現住所:東京都〇〇区〇〇)に受診。約3ヶ月に1回の頻度での受診だったと記憶する。尿検査及び血液検査で、尿たんぱく量及びクレアチニン値等の経過観察。この時期、浮腫みや身体のダルさ等の自覚症状はなし。腎生検は実施せず。4.平成1〇年(20〇〇年)6月~平成1〇年(20〇〇年)10月
家族の薦めで〇〇大学医学部付属病院(現住所:東京都〇〇区〇〇)に転院。゛家族の薦め“とあるが、私の母方の祖母が当時人工透析治療を行っており、それ実情を肌で知る母の判断として、当時の私の状態(尿たんぱく量及びクレアチニン値)を危惧し、本格的な保存療法の必要ありとの思いからの転院となる。
尿検査及び血液検査での尿たんぱく量及びクレアチニン値等の経過観察、降圧剤各種服用によるたんぱく尿のコントロールを実施。管理栄養士指導による食事療法(低たんぱく食)も実施。
上記治療を施すもクレアチニン値は徐々に上昇。と同時にこれまでなかった自覚症状が平成1〇年頃から出始める。浮腫みと身体のダルさ。身体のダルさの症状ありのため、造血剤(エリスロポイエチン)を通院毎に皮下注射。5.平成1〇年(20〇〇年)10月~現在
クレアチニン値の上昇、身体的苦痛から腎臓移植を決意し、〇〇大学病院(現住所:〇〇県〇〇市〇〇)に転院。
20〇〇年12月〇〇日に母をドナーとする生体腎移植を施行。その後急性拒絶反応、サイトメガロウイルス感染、慢性拒絶反応のため、移植腎機能が低下。途中、急性心膜炎を発症したことを期に腎機能を維持することが完全に不可能となり、20〇〇年5月より、血液透析に導入。現在は在宅血液透析を実施。週4回4時間程度。
移植腎の機能としては廃絶しているが、まだ移植腎に血流があることから拒絶反応あり。拒絶反応による移植腎の炎症時血液透析を行うと高熱を発症することがあり、状態としては不安定。現在就労は困難な状況。
障害年金の受給申請が「無理ゲー」と思う、最大の理由
ずばり、
「初診日」が証明できない
こと。これが全て。
どんなに、主治医が「診断書」を丁寧に書いてくださっても、
どんなに、「病歴・就労状況等申立書」を、細かく書き記しても、
「初診日」が証明できなければ、
❝初診日が不明なため❞
不許可処分の理由は、たったこの一行。
どんなに、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を書いて提出しても、
❝初診日が不明なため❞
不許可処分の理由は、たったこの一行でした。
初診日の証明という、不可能なミッション
提出書類の中に、「受診状況等証明書」というものがあります。
これは、医療機関に記入してもらう書類で、
障害年金等の請求を行うとき、その障害の原因又は誘因となった傷病で初めて受診した医療機関の初診日を明らかにすることが必要です。そのために使用する証明書
なのだそうだ。
さて、私の場合・・・
人工血液透析に至る原因、その❝源流❞(=初診日)を、診断医療機関に証明してもらえ、ということになるわけです。
逆算していくと、
慢性腎不全→慢性腎炎→慢性糸球体腎炎
となります。つまり、
慢性糸球体腎炎と診断した医療機関から「受診状況等証明書」を手に入れる必要があります。
Challenge.1 医療機関から受診状況等証明書を入手せよ
大学4年次の健康診断で尿たんぱく陽性反応が出たのを受け、受診した○○総合病院に、
受診状況等証明書の記入並びに提出をお願いするため、問い合わせをしたところ、
診療記録が消去され存在しないことが判明。
そこで、次に転院した〇〇大学医学部付属病院へ、同様の問い合わせ。
診療記録が残っていることに、ホッとしたのもつかの間、
記入いただいた内容に、(正確には覚えていませんが)
他からの転院(※もしくは、紹介状により来院?)
との文言が入っていた。たしかに事実ではありますが、これでは、
当該〇〇大学医学部付属病院が「初診」ではないと言っているようなもの。つまり、
さらに遡らなければなりません。
大学4年次の健康診断直後は、大学指定の医療機関を一度受診しました。
ただ、そこでは簡単な問診をしただけで、すぐに同じ域内の総合病院を紹介された。
結局、当該総合病院へは行かず、母の薦めで、東京の○○総合病院へ受診した、というのが正確な流れ。
大学指定の❝町医者❞の名前など覚えていないし、覚えていたとて、受診記録が残っている可能性など皆無。
この段階で、
医療機関から「受診状況等証明書」を入手することは
事実上不可能と判断しました。
Challenge.2 在籍していた企業から健康診断書記録を入手せよ
そこで、今度は、
健康診断書が初診日の証明になる
とのことなので、
大学卒業後、在籍した企業へ、
当時の健康診断書記録が残っているか、電話にて問い合わせを行う。しかし、企業側からは、
「診断結果及び関係資料(健康診断実施医療機関名等)は、古いものから破棄してしまう」
との回答。
Challenge.3 大学学生課から健康診断書記録を入手せよ
次に、
大学学生課に問い合わせ、当時の健康診断書記録が残っているかを、電話で確認した。
予想通り、大学側からは、
「記録は、だいたい5年で破棄するため、残っていない」
との回答。そりゃ、そうだ。
Challenge.4 高校から健康診断書記録を入手せよ
大学の健康診断書記録が残っていないのに、
さらに遡った高校在籍時の健康診断書記録など、残っているはずもない。
ただ、もうこの頃には、
受診状況等証明書を入手することはおろか、
健康診断書記録を入手することも現実的に不可能と判断。
受診状況等証明書が提出できない場合に
「受診状況等証明書が添付できない申立書」
という書類を添付することが、一応許されています。
高校への問い合わせ行為は、その書類に、
❝これだけ頑張りましたが、ダメでした❞
と記述するための材料を集め、でしかありませんでした。
問い合わせの結果、けんもほろろ、
記録はありません、との一発回答で、The End
結局・・・
「受診状況等証明書」は提出できず、その代わりの添付書類である
「受診状況等証明書が添付できない申立書」に
"当該機関に当時の診断記録等関連資料の提出を求めるも、5年の保存期間後破棄するため証明書発行不可の回答"
と記載し、それを4通(在籍企業2社、大学、高校)作成し提出しました。
まとめ
一体、どれほどの人が、
20年30年前の、自身の健康診断書を、未だに保存しているというのでしょうか???
慢性の腎不全は、
長い年月を経て、腎臓機能が徐々に徐々に悪化していく病気です。
保存期の患者は、
一日でも長く腎機能を維持し、
来るべき透析日を一日でも先延ばしにするため、
厳しい食事療法や運動制限を甘受するわけです。
現状の障害年金制度は、
透析までの経過年数が長くなれば長くなるほど、受給を受ける可能性は低くなるという、
なんとも不可解かつ奇妙なカラクリとなっている、というのが、
実際に自分で申請手続きを行った私の、率直な見解です。
同VTube内【まとめ】で"怒りに震えながら"(笑)ご紹介した
不摂生武勇伝を語る、とある透析患者様。
激務を理由に病状放置
暴飲暴食(ストレスのためと言ってるが…)
食事療法拒否、透析導入拒否
Cr20で"嫌々"透析導入
この方、ちゃっかり障害年金、貰ってるようです…なんなんでしょうね?
この際、他の人の話は、もういいですよ!
あの
「受診状況等証明書が添付できない申立書」
が存在する意味が分かりません!
受診状況等証明書が添付できない理由を、
書かせるだけ書かせ、期待を持たせるだけ持たせ、
結局、不許可処分の理由が、
❝初診日が不明なため❞
って・・・何のために添付させるの?
お役所的には、
❝これは、あくまで「申し立て」ですので・・・❞
とお応えになるんでしょうけどね。
私の申請時以降には
「初診日に関する第三者からの申立書」
なるものが提出可能となったそうな。
2015年に
"障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて"
と題した通知が出されたそうで。
NPO法人 障害年金支援ネットワークHPの言葉をお借りすれば
どうしても初診日の証明が取れない場合もあり、そのような人たちを救済する目的
(引用元:NPO法人 障害年金支援ネットワーク)
なんだとか。
第三者証明に記入する内容は、請求者や請求者の家族などから最近得た情報は記入せず、申立者が見たり聞いたりした当時に知った内容のみ記入してください。
(引用元:初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)を記入される方へ)
(2)第三者証明の留意点について
① 第三者証明を行う者について
「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて(厚生年金保険法)」(平成23年3月23日付け年発0323第1号)の別表1で定
める第三者証明の第三者の範囲を踏まえ、請求者の民法上の三親等以内の親族による第三者証明は、認めないこととする。(引用元:障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて )
あのさ~
どうやって、30年も前のことを"他人さん"に証明してもらえっつーーの!!
(すみません、少々取り乱しました💦)
年金事務所の窓口も、親切なんだか不親切なんだか。
親身になって相談に乗っていると思いきや、肝心なところは、
「本部が、どう判断するかですね~」って、他人事か!
そりゃ、最前線の受付担当者のご苦労も、お察し致しますけど・・・
同じような慢性腎不全経由の透析患者で、
障害年金を受給されている方は、多くいらっしゃるでしょう。
患者個人で申請することが難しい場合のために、社労士がいるわけです。
社労士先生のHPで、その実績を拝見すると、
その成功例がいくつもあります。
私同様、初診日が30年も前のケースで受給を勝ち取ってらっしゃるようですよ。
素人には無い、プロの"秘策"があるんでしょうね。
それらを参考に、これら専門家に頼むかどうかは、患者の判断です。
私は…もういいかな…再チャレンジする気力はありません。
受給保証のない(私は無いと思っている)案件を
いくらかかるかわからないプロに依頼できるほど
今の私に、その経済的余裕はないですしね。
それより、前向きましょう!!
私が今思うこと。
もし、障害年金受給申請の許可処分を受けていたら、
はたして、
資格を取得しよう、
行政書士として開業しよう
などど考えたか、ということ。
食うに困らない、手持ちの現金が手に入るような状況は、
私にとっては、ただただ慢心を招くだけだったのではないか。
そんな強く厳しい人間じゃないですよ、私は・・・
と、偉そうなこと言っても、内心
「惜しいことしたな」
と思うこともありますよ、そりゃね。
でも、現行制度の仕組みを嘆いてもしょうがない。
頭のいい役人や議員先生方がお作りになった法律ですから。
声を上げるだけ無駄。
それより
障害年金受給申請「不許可処分」という、過去の結果を嘆くより
「不許可処分」というネガティブな結果から、自ら見出した道
プロジェクト『腎生を善く生きる』
在宅血液透析並びに腎移植に関し、それを経験した患者目線のLIVE感ある情報を発信する
活動に、より一層注力していく所存であります、はい。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。