在宅血液透析の最大のメリットにして
(HHD非導入)患者にとって、一番実感しにくい
「十分な透析を行いやすい(緩徐+しっかり+こまめ)」
この"3要素"(緩徐+しっかり+こまめ)のうち
「"こまめ"に透析」
のメリット、正確には私が日々感じるポジティブな側面を、前回言語化してみました。
>メリット、正確には私が日々感じるポジティブな側面を
と但し書きはしたものの、動画内での表現
「飲水量を気にする必要がない」
が「"こまめ"に透析」の"メリット"そのものである、と
どうしても早合点されるのではないか。
「じゃあ、在宅血液透析やれば、飲み放題なんだ!!」と。
- 「本質は"そこ"じゃねーんだよ!」
- 「だから、素人が医療情報、語んなっつーの!」
と、お医者様方からのお声が聞こえてきそうなので…
お医者様方が提示している「"こまめ"に透析」のメリットの本質を
正しくご紹介しておこうと思います。
ご紹介する文献は前回同様
日本透析医学会雑誌
「頻回・長時間透析の現状と展望」
前回ご紹介した同様の内容
『各論1』『1.透析量、水分管理』『Ⅳ.適正除水と体液量管理』の"ポイント"を提示↓
メリットの"本質"と思われる箇所をマーキングします。
(a) 週あたりの総透析時間を増やす頻回・短時間透析や長時間透析は除水速度を軽減できるため、水分管理を容易にする。ドライウエイト達成、透析低血圧予防、高血圧対策などに有用である。
(引用元:日本透析医学会雑誌2019年9号(52-9)「頻回・長時間透析の現状と展望」)
(b) 除水速度が 15 mL/kg/hr(4 時間透析で体重の 6%に該当)を超えるときは、透析低血圧を避けるため頻回または長時間透析を検討する。
上記"ポイント"の■解説■部分も、合わせてご紹介します。
水分・Na(細胞外液)の貯留は尿毒症の成立に必須のものではないが、高血圧、浮腫、左室肥大、うっ血性心不全、などの原因となる。単回の除水量(UF[mL])を標準化した除水速度(UFR[mL/kg/hr])は、透析間体重増加量、体重、透析時間、透析回数に支配される。水分もまた溶質同様、血管外からの移動(plasma refilling)を要し、UFR が大きくなるとplasma refilling が追随できず、透析低血圧や臓器虚血を発症し悪化させる。また、透析ごとに細胞外液量が大きく変動することは、循環系にとっては溶質濃度の変動以上に「非生理的」であり、心血管系合併症の最大要因と考えられる。
(引用元:日本透析医学会雑誌2019年9号(52-9)「頻回・長時間透析の現状と展望」)
「"こまめ"に透析」もとより、「頻回・長時間透析」の"本質的"メリットには、なにがあるか?
と問われた場合の答えは、(おそらく)上記"ポイント"に述べられている
除水速度を軽減できるため、水分管理を容易にする
とうことになるでしょうし
除水速度を軽減できるため、水分管理を容易にする
ということは
ドライウエイト達成、透析低血圧予防、高血圧対策などに有用である
ということのようです。
じゃあ、何で
除水速度を軽減することで、透析低血圧予防や高血圧対策がはかれるのか?
そこに対する"生理学的"な説明が、上記■解説■部分。
この解説部を理解できるか否かは(個人的には)
"plasma refilling"の概念を理解できているか否か、にかかっているかと。
医学専門的概念を、イチ患者で医の素人がのたまうのは大変危険💦
参考資料をご紹介いたしますので
お手数ですが、興味のある方は、各自目を通して下さい。
参考資料
MediPress 透析
(画像転用元:MediPress 透析)上記画像クリックすると"plasma refilling"解説ページへとびます。
「"こまめ"に透析」のメリットは?との問いに
今回ご紹介したような"医学専門的"知見を、イチ患者で医の素人がのたまうのは危険。
かといって
「"こまめ"に透析」のメリットは?との問いに
"現役"在宅血液透析患者の1人として、答えられることが、ないわけではないだろう、と。
在宅血液透析を施行する中で、日々感じるポジティブな側面はあって
それを言語化して表現することこそ
医療専門機関が提供する「在宅血液透析関連情報」との違いを見せられる部分かな、と。
たとえ、医の"本質"ではなくても…
今後も
医療者様方からすれば「それは本質ではない!」と怒られそうな案件も
必要に応じて(※医の素人方々に誤解を与えぬよう)、医学専門的資料を提示しつつ
患者の言葉で語れることは語っていこうかと。
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