World Kidney DayのTwitterに、
新型コロナウイルス感染下の中国国内における、
血液透析患者の保護についての英文記事がございました。
今回は、同英文記事を教材に、
英語学習をしていきたいと思います。
初めに、記事全体を要約し、
それから、「透析患者」や「感染予防」に関する英語表現をピックアップして、
私なりの解説を行ってまいります。
(参照記事:Protect Hemodialysis Patients from Novel Coronavirus Infection)
注)
2020年5月4日時点において
上記参照記事Protect Hemodialysis Patients from Novel Coronavirus Infectionが
リンク切れであることが判明致しました。
ただ、ブログ記事そのものは
参照記事がなくてもお分かり頂ける内容と思っております。
引き続きご愛読頂ければ幸いです。
要旨
中国本土における新型コロナウイルス感染拡大にあって、
血液透析患者は非常に感染のリスクが高い。
その理由として、患者が公共交通機関を利用せざるを得ない点があげられる。
さらに、免疫機能が低く、基礎疾患をもつ透析患者を保護するためには、
一層の予防と管理を強化が必要である。
その予防戦略として、
- 透析施設の消毒と医療スタッフの保護を強化する
- 透析患者とその家族の保護を強化する
ことを掲げる。
解説
第1パラグラフより
During the epidemic of novel coronavirus pneumonia, patients on HD are at high risk of infection.
at high risk of infection
感染のリスクが高い
この後の文脈では、
施設血液透析(CHD)患者は感染リスクが高いと言われる、
その根拠についての記述が続きます。
These patients have to go to the facilities for treatments 2 to 3 times a week with each treatment period 4 to 5 hours.
treatments 2 to 3 times a week with each treatment period 4 to 5 hours
施設血液透析の一般的な、
❝週3日の4時間❞
が、このように英訳されてます。
Most patients need to take public transportation, which makes them a special “mobile population” in the city.
mobile population
「透析患者」「感染予防」には直接関係ありませんが、
興味深い表現だな、と思い挙げさせてもらいました。
公共交通機関(public transportation)を
mobile population
という表現と関連づけています。
直訳すると❝移動人口❞となりますが、これだとしっくりこない。
この後の文脈が、
血液透析患者の脆弱性を述べているので、
個人的には、
❝感染しやすい不特定多数の人間が密閉された空間❞
というニュアンスも含まれているのではないか、と推察され、
上手い表現だな、と。
More importantly, these patients are a vulnerable population with low immune function, diabetes, hypertension or other complications.
vulnerable
able to be easily physically, emotionally, or mentally hurt, influenced, or attacked
とあります。
透析患者の脆弱性を端的に表す英単語の一つでしょうか。
low immune function
diabetes
hypertension
透析患者がvulnerableである根拠として、
免疫機構が低く(low immune function)、
糖尿病(diabetes)や高血圧(hypertension)、
その他合併症があること、としています。
第二パラグラフより
Perform environmental disinfection after each shift of dialysis, including window ventilation for 30 minutes; air disinfection with hydrogen peroxide spraying; wiping the floor and surface of dialysis machine with 1000-2000 mg/L chlorinated disinfectant; and replacing bedding.
environmental disinfection
window ventilation
air disinfection
施設における透析患者の入れ替えの毎に、
- 30分間窓を開けて換気したり(window ventilation)
- 薬液スプレーで空気を消毒したり(air disinfection)
- 塩素で床や透析機器を拭いたり
- ベッドの交換する
といった、施設内の環境消毒(environmental disinfection)を実行する、
としています。
第三パラグラフより
Provide preventive education for patients on HD. Let patients understand the importance of prevention and isolation, and know the correct protective strategies.
preventive education
直訳すると❝予防教育❞となりますが、
これは、現在、盛んに叫ばれている
感染症リテラシーや公衆衛生リテラシーを高めることを表すと思われます。
ここでは、血液透析患者の感染症・公衆衛生リテラシーを高めるため、
患者一人一人に、
- 予防と隔離の重要性を理解させ
- 正しい保護戦略を知ってもらう
としています。
(※正しい保護戦略(protective strategies)という言葉は、耳慣れないので、
ここでは深入りしません)
まとめ
同記事は、最後に、こう締めくくられています。
We are confident that, through the joint effort of medical staff and patients, we will win the fight against the novel coronavirus!
我々は、
スタッフと患者とが共に尽力することで、
この新型コロナウイルスとの戦いに勝つことを確信しております!
中国国内における在宅血液透析(HHD)の普及率は、どれぐらいなんでしょうね?
参照した資料には、中国に関する記述がなかったので、詳細は分かりません。
(参考資料:日本腎臓学会誌2013年55巻4号)
ただ、
前記事
施設透析に比べた在宅透析の「有意差」を、臨床検査値の評価から確認する
でご紹介させて頂いたように、
中国に限らず、
日本においても、在宅血液透析の普及率は、非常に低い。
そのため、
パンデミックが起こった場合、
血液透析患者を保護するには、
施設内の消毒や、患者・医療スタッフ含めた、施設を出入りする人の管理を徹底するしかないようです。
現在は在宅血液透析(HHD)を行っている私ではありますが、
今後も同じ状況が続くとは限りませんから
(事故があれば突然国からNOと言われる可能性だって十分にありえる)
施設血液透析(CHD)患者の方々の置かれている現状は、
決して他人事ではありません。
一日も早く❝終結宣言❞が出ることを願います。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。