在宅血液透析では
患者好みの"オリジナル透析ルーム"が作れます。
これだけ聞くと"良いこと尽くめ"ですが
自由ということはその分選手一人一人が担う責任が大きくなる
(2006年サッカーWCドイツ大会へのぞむジーコジャパン当時チームの中心的存在であった中田英寿の言葉)
以前の記事でもお話しましたが
自由に決めていいですよ、と言われたと同時に
決めたルールや仕様に対し、患者自身で責任を負う必要はあります。
その責任とリスクを負った上で初めて
施設血液透析にはない
在宅血液透析のメリットを享受できるのです。
とはいえ、病院側が求める条件を満たした上で
自分好みの"オリジナル透析ルーム"が作れることは、事実。
考え方次第では、HHD導入に要する準備も楽しいもんです。
今回、ご紹介するのは、あくまで
「私の」オリジナル透析室のレイアウト。
100人HHD患者がいれば100種類の"透析モデルルーム"があると思うのです。
したがって、私が紹介するものは、あくまでOne of them。
これからHHD導入される方、導入検討されている方が
ご満足できる"あなた色"の透析ルームを作る、手助けになればと思います。
Table of Contents
【在宅透析の部屋】在宅血液透析患者の"建もの探訪" オリジナル透析室のレイアウト公開!!
透析部屋の選定
家の中の「どこで」血液透析を行うかは
患者各々のライフスタイルによると思います。
我が家は、持ち家二階建て。
一階は両親、二階は我々夫婦、と区分けはシンプル。
必然的に血液透析を行うのは「二階」ということになりました。
HHD管理医療施設のスタッフが一度"内覧"に来られます。
患者側の「大体この辺り」と申し出した場所が
血液透析を行うに適しているかの、チェックです。
二階で血液透析を行う場合は、一階から水を汲み上げる必要があるのですが
別途、"減圧弁"を設置する必要がある旨を確認(※素人には意味分かりませんが…)。
患者側の「大体この辺り」と申し出た場所を
病院サイドが「NG」を出すケースはどのようなものか、興味がありますが…
HHD導入前の住居リフォーム
"HHD導入前の住居リフォーム"は、私がそうだった、ということであって
HHD導入時に必ず住居のリフォームが必要、ということではありません。
HHD導入前は、実家とは別の賃貸住宅で生活をしていた我々夫婦。
しかし、透析導入が決まり、HHD導入を検討する段階で
持ち家である実家に戻ることに。
先述した「一階は両親、二階は我々夫婦」は既定路線として
二階を夫婦で生活するために空間にするには、若干のリフォームが必要と判断。
リフォームしたのは
洋間と和室を区切っていた壁をぶち抜いてワンフロアに、そして
二階専用のキッチンを設置しました。
HHD導入前に購入するモノ
在宅血液透析を行う上で患者が用意する「最低限」必要なものは
- 透析中、自身が身をゆだねる場所(モノ)
- 血液透析に必要な手技、特に自己穿刺を行う場所(モノ)
HHD導入前のトレーニングは、医療機関で行います。
そこには当然ながら
血液透析に必要な、それにあった仕様のモノが揃っており
それらに囲まれてトレーニングを行います。
トレーニングをした医療機関と同様のレベルのものを
自宅でどこまで再現するか…
Bed or chair??
とにもかくにも、最初は
「どんなベッド or ソファー(チェア)を購入するか」
で、悩まれるでしょう。
まず、自分が透析中横になる場所を
「ベッド」にするか「ソファー(チェア)」にするか。
医療機関では、ベッドとリクライニングチェアが併設されていると思いますが
殆どがベッド、しかも足元枕元がボタン操作で上下できる医療用ベッドで
患者さんは血液透析を行っている間は、そこで横になっていると思います。
施設血液透析生活が長く
血液透析中、ベッドで横になっていることに慣れてしまっている方は
ベッド"以外"の場所で血液透析を行うことに、抵抗感があるかもしれませんね。
私の場合は、再三再四このブログでお話しておりますが
施設血液透析生活を経験することなく、いきなりのHHD導入、つまり
血液透析=在宅血液透析
なので、ベッドと"それ以外"は横一線なわけです。
さて
医療機関で設置されている医療用ベッドは、見るからに高価格なモノ。
私にはとても手がでる代物ではありません。
そもそも、ベッドだと場所とります。
色々検討した結果
足元、背もたれの角度をボタン操作で行える、リクライニングチェアを購入しました。
透析の数時間、自分の身体を安静にする大事な場所となりますので
(数年前お家騒動のあった某家具店の)ショールームに出向き、みっちり吟味して決めました。
似た商品を敢えてご紹介すると、こちら↓
おそらく上記の商品より値段良かったと思いますが
約8年弱使用して、これといった故障はありません。
実際に、在宅で血液透析を行ってみると
「リクライニングチェアで良かったな」と。
在宅血液透析では、全てを患者自身が行います。
透析機器が警報アラートを発した場合でも
患者自ら起き上がって、透析機器ディスプレイの操作を行わなければなりません。
その観点からして、つまり都度都度「起き上がる」という点からして
ベッドよりも「椅子」の方が、利便性は高い。
透析中の身体への負担は、当然(おそらく)ベッドで横になっている方が良いでしょう。
そのあたりの兼ね合いをどうするか、患者さん次第ということになりますね。
Which type of Desk??
透析に必要な医療用備品を置いたり
自己穿刺を始めとした医療行為を行う場所(モノ)も必需品。
「Bed or chair??」にように
何かと何か、どちらを選択するということはなく
おそらく、ほぼほぼの患者さんは「テーブル」を用意し
そこで、血液透析に必要なあらゆる手技を行うでしょう。
問題は
「どんなテーブルを購入するか」
医療機関で使用されているテーブルは、"コ"の字のような形状
ベッドの上を"天板"が横断でき
レバーで高さを自由に調節できる代物。
当然ながら、そこそこの値段はします。
かといって
「テーブル」であればなんでもいい、ということにはならないでしょう
その上で医療行為をするわけですから。
私は、費用面はやむなし
安心安全、医療機関仕様のテーブルを購入しました。
自己穿刺や、透析中の不測の事態に対する処置をするには
やはり
その目的に合った仕様のものが良い
というのが、約8年弱HHDを行ってきた私の感想です。
少し大げさに言えば、命懸かってますから。
血液透析機器/RO装置の設置
血液透析機器/RO装置の設置当日までに
"水回り"の工事は終えている必要はあります。
HHD導入患者の方の中には
この"水回り"の工事費用を非常に気にされているケースが、Webで良くお見受けします。
日頃から、昔から付き合いのある、信頼のおける工事業者がいるとベターかな、と。
私の場合
"お家のトラブル"があった時にいつもお願いしている地元の建設会社があって
そこが直接工事しなくても、その建設会社を介しての業者が行うので、安心安全。
父がこの地にこの家を建てたのが約30年前、その当時からの付き合い。
こんなところにも、私は人との出会いに恵まれたな、と思いますね。
血液透析機器もRO装置も、相当の重量物です。
両装置による、設置するフロアへの圧力を分散させるため、病院側から
「"一枚板"のようなものを置いてくれ」と言われていたのですが
そんなことも私が考える必要もなく、上記の建設会社の方が手配してくれました。
設置当日、時に8月、暑さ厳しい季節。
透析機器/RO装置両機器のメーカー担当者が複数人
汗だくで二階まで運び、設置してくれました。
以前「透析備品配送担当者」をフィーチャーして記事でもご紹介しましたが
我が家は、道路から一旦階段を下りた土地に建っているので
あの重量の精密機器を
一回降りて、また二階まで上がる
というのは、相当タフな作業だったと思います。ありがたや
まとめ
最後に、恥ずかしながら
私の透析ルームの大まかなレイアウトをご紹介します。
センターラインがありますが、先述したように
仕切り壁をリフォームでぶち抜いているので、ワンフロアです。
透析中、私はリクライニングチェアに、妻はキッチンのある洋間にいます。
「備品庫A」は元は押入、そこに
透析液や生理食塩水、ダイアライザー、血液回路を収納。
「備品庫B」"備品庫"と表現しておりますが
元々妻が使用していたブラスチック製の洋服タンス、そこに
穿刺針、ヘパリン、ヘキシジン、FlexPack(ガーゼ等)等を収納。
透析ルームの"デザイン"を考える上で
透析用備品をどこに、どのように収納するか
こちらも重要ですね。私の場合は苦労しませんでしたが。
いずれにせよ、最初が肝心だと思います。
細々としたものは、透析導入後でも動かしたり増やしたり減らしたりできますが
透析機器/RO装置及びリクライニングチェア(or ベッド)は、そうはいきません。
家族と同じ空間で血液透析を行うことをお考えの方は
ご自身のみの判断ではなく、ご家族の方ともよくよくご相談の上
「オリジナル透析ルーム」をお作りなさるほうがよろしいかと。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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