2002年
母をドナーとした生体腎移植手術を受けた私。
術後
急性拒絶反応、サイトメガロウイルス感染症等で入退院を繰り返しましたが
体調がすこぶる好調の時期は、もちろんありました。
術前のQOLの程度は患者それぞれ
結果
"移植後に感じる幸福感"も、様々でしょう。
そんな中
腎移植後の生活における私の"ハイライト"、それは
ポイント
2007年イギリス・ロンドン短期留学
でしょう。
現在、血液透析患者でも海外旅行は(旅行代理店を通じて)可能なようですが
私自身は正直、今はそこに幸福をあまり感じないんですね。
2007年のイギリス・ロンドン短期留学は
透析という❝十字架❞を背負うことなく
文字通り「自由」を満喫することができたわけです。
残念ながら移植腎は廃絶、在宅血液透析に身を置く今だからこそ
尚更、そこに幸福を感じるのです。
今回ご紹介する私の「ロンドン旅行記」を
腎移植を待ってらっしゃる患者様が読んで頂き
少しでも気持ちがポジティブになれば幸いです。
特にサッカー好きの腎移植待機患者さんには、たまんないと思いますよ😁。
【腎移植後の生活】移植後のハイライトは、イギリスへの1カ月短期留学
腎移植手術をした当時、籍を置いていた会社には非常によくしていただき
「体調の回復最優先」
ということで、長期の傷病休暇を頂いておりました。
職場への復帰も
「時間・日数を徐々に増やしていく形でよい」
と言って下さり、お言葉に甘える形で
少しずつ社会復帰を果たしました。
しかし、そこで思ったのは
「身体が元気なうちに、やりたいことをやろう!」
ということ。その一つが
"海外一人旅"
でした。
しかも、最低1カ月は行きたい。
これ以上のご迷惑を会社へお掛けするわけにもいきません。
当時の上司は私の思いを汲んで頂き、円満退社(だと私は勝手に思ってますが…)。
留学準備に入ることとなります。
エピソードゼロ
行先はロンドン、その理由は…
行先は❝イギリス❞と決めていました。理由は
「サッカープレミアリーグがあるから」
更に❝ロンドン❞である理由は
「ロンドンを拠点とするクラブが多いから」
フットボールという点では
- セリエAのイタリア
- リーガエスパニョーラのスペイン
も考えられるところですが
英語は何とかなる一方、イタリア語・スペイン語は全く理解できませんからね。
映画
「ノッティングヒルの恋人」
「ラブ・アクチュアリー」
を見て、ロンドンに少し"かぶれた"、というのもあります😅。
本番前の❝肩慣らし❞(3泊5日ロンドン小旅行)
根が"ビビり症"な私。お金はかかりますが
❝留学前の肩慣らし❞
ということで、3泊5日のロンドン小旅行をしました。
旅行代理店のツアーなので、到着時と帰国時に日本人コーディネーターがつくものの
海外へ行くのは、大学時代陸上部仲間3人と行った卒業旅行(5泊7日、アメリカ)だけ。
3泊5日ですが、たった一人ということで最初はビクビクしてました💦。
内容は…
1日は旅行行程に含まれた、ロンドンの名所ツアーに参加
残り2日のフリータイムでは、ロンドンを拠点とするビッククラブ
メモ
- チェルシーのホームスタジアム「スタンフォードブリッジ」
- アーセナルのホームスタジアム「エミレーツスタジアム」
両スタジアムの❝スタジアムツアー❞に参加しました。
実は、私の幼馴染がイギリス人男性と結婚、ロンドン東部に住んいたので
出発前、エミレーツのスタジアムツアーチケットは用意してもらっていたのですが
スタンフォードブリッジは、自分で現地調達。
スタジアム敷地内のオフィシャルメガショップのレジで
拙い英語ながら、なんとかチケットをゲット。
Emirates Stadium
Stamford Bridge
両スタジアム、それぞれの魅力を堪能しまいた。それと同時に思いました。
「もう一度来て、今度はここで試合を見る❗❗」
と。
イギリス・ロンドン短期❝語学❞留学
準備
滞在期間が短くても「旅行」ではなく、あくまで
「留学」という形態は取りたかった。
ただ
"腎移植後"という自身の身体を考えると、期間は
MAX1カ月
と判断。
1カ月とはいえ、たった一人で外国で生活する。
海外生活に慣れた方であれば
移植患者だろうがなんだろうが問題なく
半年だろうが1年だろうが行けちゃうかもしれませんが
私の場合、たった3泊5日の小旅行で疲弊して帰国しましたから💦。
それが1カ月となると、どうなるのか
非常に不安な気持ちであったこと、覚えてます。
今思うと、"ビビり症"の私にしては
「結構思い切ったことしたな」
と今でも関心します。
一応、語学留学という形になるので、留学エージェントを利用しました。
複数のエージェント会社が集まる合同説明会にも行きましたが
結局、「WISH(ウィッシュインターナショナル)」を使いました。
出発準備の中で一番気をつかったこと、それは
注意ポイント
薬の準備
1カ月+α分をパッキング
不測の事態に備えて、複数の場所に分けて収納しました。
この時期まだまだ免疫抑制剤はそれなりの量を飲んでいましたから
結構かさばりましたね。
現地で、服用する薬の説明に困らないように
効能が英文で説明されている海外サイトを見つけ
内容をプリントアウトし、それを複数枚用意もしました。
生活拠点
3泊5日の小旅行では到着時、同じツアーの日本人が
ヒースロー空港内の一か所に集められてホテルへ移動、という形態をとりましたが
留学の時は違って
WISHの日本人担当者が出迎えては来てくれたものの
「ステイ先へはこちらの車で行ってください」
と、いきなり現地の運転手と二人きりにさせられまして。
外国慣れしていない私には、展開が急で…
生活拠点はロンドン西部、最寄り駅は「Ealing Broadway」。
ホストマザーは、おばあちゃんひとり。
家は大きく部屋数も多い。
同時期に私の他に5人くらい"同居人"はいたでしょうか。
でも、皆「語学留学」なんてやわな理由ではなく
現地の大学で勉強している学生や、現地の企業で働いている若い社会人。
当然、英語はペラペラ。
皆で一緒に取る夕食の場は、正直❝地獄❞でした😥。
結果、次第に外食する回数が増えました。
語学学校
最寄り駅は「South Kensington」駅。
初日にクラス分けの個人面接があり、翌日から授業。
が、白状しますと
授業に行ったのは最初の1週間だけ。
理由は単純、周りに馴染めなかった、ということ。
クラスの全員日本人、20代前半の学生風の男女。
30オーバーのおじさん一人はキツイっす。加えて
ロンドンに来てきてまで日本人とツルむ気はない!
と思っていたので、溶け込もうという気もありませんでしたが…
語学学校には早々に見切りをつけ、そこで割り切りました。
「とことん本場のFootballを楽しもう!」
と。
Football三昧
試合生観戦
残り3週間。
出発前に1試合分のチケットは用意していましたが
「観戦出来る試合は全て観戦する!」
との意気込みで
直接スタジアムのチケットボックスへ足を運び、チケットを買いまくりました。
もうお金のことは忘れてます。
ロンドンの人気クラブ
アーセナル・チェルシー両チームのプレミアリーグのホームゲームは
さすがに既に売り切れ。
確かに惜しいが、ロンドンには当時他に
スパーズ、フラム、ウエストハム、レディング(ロンドンから約60㎞)と
プレミアリーグに所属するクラブがあったので
それらのスタジアムで行われるプレミアの試合は全て取りました。
(※スパーズは試合が無かったので、現地White Hart Laneの外観だけ拝んでおきました)
プレミアリーグ ウエストハムvs???戦(Upton Park)
プレミアリーグ レディングvsニューカッスル戦(Madejski Stadium)
プレミアリーグ フラムvs???戦(Craven Cottage)
プレミアリーグ レディングvsアーセナル戦(Madejski Stadium)
さらに、リーグカップ(当時はカーリングカップ)もミッドウィークにあったので、それもゲット。
カーリングカップ チェルシーvsレスター戦(Stamford Bridge)
更に、なんと幸運なことに
チャンピオンズリーググループステージ
チェルシーvsシャルケのチケットをゲット❗❗。
アンセムを聞いた時は、痺れました😂。
チャンピオンズリーグ・グループステージ チェルシーvsシャルケ戦(Stamford Bridge)
スタジアムツアー
留学生活残り1週間。
観戦可能な試合が、もうない。
でも、まだまだ本場のFootballを感じたい。
そうだ❗❗
「オールドトラッフォード」と「アンフィールド」に行こう❗❗
急遽、マンチェスター・リバプール2泊3日の小旅行を計画。
先に登場した幼馴染の自宅へお邪魔し、パソコンで旅先の宿を予約。
イギリス人の旦那さんがリバプールファンということもあり
「アンフィールド」のスタジアムツアーチケットは、彼が事前に取ってくれました。
ロンドンから電車で約2時間半
「Manchester Piccadilly」駅に到着。
到着した足で「オールドトラッフォード」へ向かい、翌日のスタジアムツアーのチケットを入手。
スタジアム敷地内のオフィシャルメガストアで、レプリカ商品を物色。
その日はホテルで休息、翌日に待つ❝夢の劇場❞への思いをはせる。
Old Trafford
オールドトラッフォードでは、少し"活きな"演出があります。
試合前両チームの選手がピッチへ入る直前に待機している場所
よくテレビで見るかと思いますが、そこで
ツアー客を"2チーム"に分けて並び
スピーカーから流れる大歓声をバックにピッチに入場するのです🤗。
ピッチ脇から感じる、スタジアムの❝抱擁感❞は、現地で見た中では一番。
"The Theatre of Dreams"と呼ばれる所以が、ほんの少しわかったような気がします。
スタジアムツアー終了後、その足で今度は一路リバプールへ。
マンチェスターーリバプール間は、電車で1時間位だったでしょうか。
「Liverpool Lime Street」駅に到着。
駅のバスターミナルで
「イズ ディスバス フォア アンフィールドステイディアム?💦」
と聞きながら、なんとかアンフィールドへ。
Anfield
ちょうど芝生の育成中で、ピッチ上に機械が何台も置かれていいたのは少し残念でしたが
しっかり「THIS IS ANFIELD」も触ってきました。
まとめ
20代半ばから腎機能が悪化、身体を動かすこともままならない状況に
肉体的・精神的に疲弊していた私は
自信というものを全く失っておりました。
そんな私でしたが
たった一人で1カ月の外国生活を経験できたことで
自分に対する少しばかりの自信を取り戻すことができました。
帰国後すぐに就職活動を開始。
以前なら最初から諦めてしまうような、いわゆる"一流企業"と呼ばれるような会社にも履歴書を送り
結果、障害者枠ではあるものの
「超」がつくような大手企業(自分で言うのも変ですが…)に再就職することができました。
腎臓移植は、❝手術が終わればそれで万々歳❞、という類のものではありません。
急性拒絶反応や感染症に見舞われた時の患者の負担は、非常に大きい。
私自身も術後、入退院を繰り返し、大変な思いもしました。
それでも
❝腎移植手術はやって良かった❞
と、今でも心の底から思います。
今はもうその移植腎は完全に廃絶してしまいましたが
腎移植がもたらしてくれた、何事にも代えがたい貴重な体験は
現在の自己を形成する礎の一部となっていること、間違いない。
ポイント
- 保存期での腎移植
- 在宅血液透析
この両方経験しているという
おそらく全国的に見ても"稀有"な存在であることを十分自覚した上で
- 「腎移植手術」を待っている患者さん
- 「在宅血液透析」導入を検討されている患者さん
皆様へ向け、自分の経験を❝正しい形❞で
これからもお伝えしていければ、と思っております。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。