今月に入り、Twitter上で
「Outset Medical社の在宅血液透析用機器Tabloが
FDA(Food and Drug Administration:アメリカ食品医薬品局)の認可を取得した」
というニュースをよく目にしました。
透析機器にしてはスタイリッシュな外観。
ちょうど前回
(日本のHHD患者が、海外在宅血液透析用マシンについての印象を語ります)
同じアメリカNxSTAGE社の透析機器を勉強しましたばかり。
そこで今回は
自分が現在使っている日機装の透析機器も含め
違いを意識しながら
"Tablo"について
【在宅透析の機器】現役HHD患者が、今話題の"Tablo"を語る
はじめに
Legacy Medsearch内の記事
Tablo Hemodialysis System Receives FDA Clearance for Home Dialysis
この中で
The emergence of COVID-19 further heightens the urgency for giving current in-center dialysis patients the option to treat at home.
❝COVID-19の出現により、現在施設血液透析を行う患者に対し
自宅で透析する選択肢を与える緊急性が更に高まっている❞
と述べられています。
そんな折
在宅血液透析用機器としてFDAの認可を得たのが
"Tablo"なのです。
"System One"より馴染みやすいか
透析液について
前回ご紹介致しましたNxSTAGE社の"System One"は
- 既に生成された透析液パックを利用する場合
- 透析液を生成する場合
があり、2の場合その生成工程が独特。
これに対し
私が現在使っている機器と"Tablo"は
透析液の生成工程が似ている、つまり
透析液の元となるA液・B液を設置し、それを
浄化された精製水で希釈する、というもの。
違いとしては
私が使っているものは、透析機器本体とRO装置が別
これに対し、"Tablo"は
透析機器本体とRO装置が一体化している
ということでしょうか。
[su_box title="注意!" style="soft" box_color="#fecac7"]
※正確には、素人の私が既存メディアの映像を見る限りにおいて
"RO装置が見当たらない"ということで
「透析機器本体とRO装置が一体化している」と仮の結論としました…
[/su_box]
"Tablo"の特徴~Outset Medical社HPより
All-in-one system
多くの透析クリニックでは、施設内に
透析に使用する「水」を
生成、管理するためのインフラが整えられているかと思います。
それがTabloの場合
a fully integrated water purification system(統合浄化システム?)
が備わっている、と言います。
これによりコスト削減も図れる、と。
しかし、私個人は
施設血液透析生活を送っておらず
最初から在宅血液透析、つまり
透析機器とRO装置が併設され
都度、透析液を生成した上で透析を行っている身なので
これといった新鮮味はない。ただ
透析機器本体とRO装置が一体化している点は
スペース面で大きなメリットかと思います。
[su_box title="注意!" style="soft" box_color="#fecac7"]
※正確には、素人の私が既存メディアの映像を見る限りにおいて
"RO装置が見当たらない"ということで
「透析機器本体とRO装置が一体化している」と仮の結論としました…
[/su_box]
Easy to learn, easy to use
ディスプレイ
前記事
日本のHHD患者が、海外在宅血液透析用マシンについての印象を語ります
素人である患者がHHDをやる場合
❝医療機器の操作は、より直観的なものの方がよい
その点「System One」のディスプレイは
シンプル過ぎて、流れが分かりにくい印象❞
と、述べさせて頂きました。
これに対しTabloでは
アニメーションや動画を使った
直観的な操作がしやすいディスプレイとなっております。
プライミング
患者は
ディスプレイに表示されるガイドを頼りに
プライミングが出来ます。
Tablo’s cartridge clicks into place with one push with color-coded, easy to follow connections.
Tablo automatically removes air from the tubing lines to save set up time.
ダイアライザー、血液回路の設置も平易。
カートリッジはワンプッシュでカチッと治まります。
(現行、カートリッジに相当する備品がないので
正直ピンと来ませんが・・・)
いつも鉗子でカンカン叩いて行う、回路内のエア除去も
なんと自動でやってくれるようです。
結果
新規患者のトレーニング期間を
大幅に短縮できる、としています。
Connected and intelligent
患者の透析データは全て
"Tablo Cloud"に保存される、という。
これにより
双方向のデータのやり取りも可能となり
患者のケアもよりきめ細やかなものとなりそうです。
現在、透析の都度
紙の透析経過表にバイタルや除水量等を記入して
月一度の外来時に持参しておりますが
Tabloのシステムであれば
これは必要なくなりますね。
※2021年3月12日追記
下記ブログにて述べましたが
《透析通信システム整備》《全自動化》が必ずしも
HHD患者にとって有益なこととなるかは未知数である、ということ。
装置の《全自動化》によって
患者が透析中の自身の体調を診なくなる、というのはHHDの特性上よろしくない。
現在のようにバイタルチェックして、それを紙に手記入する"手間"をかけることで
患者は自身の体調を確認することができる。
それが全て《全自動化》となると、患者は"怠惰になる"可能性も。
専門の医療従事者の監視下から離れた場所で、血液透析という高度な医療行為をする上で
患者を診るのは、患者自身(もちろん介助者もいるが)。
当該医療行為の成否は、患者の「自己管理」にかかっていると言ってよい在宅血液透析において
患者が"怠惰になる"ような技術進歩は、再考する余地はありそうです。
まとめ
With just tap water and a power outlet, Tablo is ready to go.
Spend time on value-added care, not on training, troubleshooting, or reporting.
❝水道水とコンセントだけで、Tabloはすぐに使用できます。❞
❝トレーニングやトラブルシューティング、レポートに時間を費やすのではなく
付加価値の高いケアに時間を費やしてください。❞
とあるように
徹底して利用者の操作性向上に特化した
スマートな仕様となっているようです。
現在使用している「DBB-100NX」は
医療用精密機器らしく
凛とした佇まいで、重厚感・高級感があり
それはそれで私は好きですが
Tabloは
フォルムはシンプル
外装のカラーリングやロゴはスタイリッシュで
部屋に置いていても❝映え❞そう。
価格面について
同国のNxSTAGE社とどのような違いあるのかは
一患者の私には不明。
(専門家界隈では既に出揃っているでしょうが)
今後の❝勢力争い❞に注目です。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。