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五十肩と在宅血液透析 – 痛みに耐えながらの過酷な日々

五十肩と在宅血液透析 – 激痛との戦い

在宅血液透析を実施する私が、ある日突然「五十肩」に見舞われました。

五十肩の"あの"痛みは経験した者でなければ想像しがたい。

特に急性期の痛みは、何もしなくても(寝てても)襲ってくることがあり、腕を少し動かそうとするだけで激痛が走る。

可動域は極端に制限され、腕を思うように上げたり後ろに回したりすることなど当然できなくなる。

二つ上の姉の話では、痛すぎで外出先で泣いたそうな。

ブロック注射も甲斐なく、痛みが治まるまで年単位の時間がかかったとのこと。

五十肩は中高年に多い疾患であり、血液透析患者の中にも同じ悩みを抱える人は少なくないでしょう。

通院で血液透析を受けている患者でも、透析時の体勢が辛くなることは想像にかたくない。

しかし、在宅血液透析ではそれ以上に厳しい現実がある、なぜなら、血液透析に必要なすべての手技・工程を

患者本人が激痛に耐えながら自分一人でこなさなければならないからだ(もちろん、介助者のフォローは多少あるが)。

「上腕二頭筋長頭腱炎」(※あくまで素人判断)

「五十肩」といっても患者それぞれ

痛みの程度も違えば、原因箇所も違うし、原因箇所のダメージの程度も異なるでしょう。

今回私の場合(※あくまで素人判断)激痛の箇所や症状から具体的には

「上腕二頭筋長頭腱炎」に該当すると考えられる。

(※あくまで素人判断だが、自分の身体を自分で触診して、そこがどこの筋肉かはおおよそ見当は付けられるタイプです)。

上腕二頭筋長頭腱炎とは、上腕二頭筋の長頭腱(肩の前面を走る腱)が炎症を起こし、痛みや可動域の制限を引き起こす疾患のようで

特に腕を上げる動作や回旋させる動作で痛みが強くなり、日常生活に大きな支障をきたす。

肩関節、特に利き腕である右肩関節の可動域制限は、ここ1.2年感じていた。

ただ、まめにストレッチを、無理せずゆっくりじっくり、長い時間をかけて行うことで

可動域が少しでも広がっている実感はあったので

「こんな感じで五十肩は終息するかも」と高を括っていたが、現実はそう甘くはなかったということか。

在宅血液透析患者にとっての五十肩 – 想像を絶する苦痛

この五十肩の症状(激痛)に見舞われながらも、在宅血液透析患者である私は、日々在宅で血液透析を行わなければならない。

在宅血液透析は当然ながらすべての手技を患者自身で行う必要がある。

すなわち自己穿刺はもちろん、穿刺部位と血液回路との接続、透析後の抜針と圧迫止血など、一連の操作を一人でこなさなければならない。

今回の五十肩は私の利き腕である右肩に発症した。

シャントがある左腕への自己穿刺や抜針の際には、どうしても右肩関節の微妙な動きが必要となる。

(ピッチング動作を見てわかるように屈曲(肩を曲げる)/伸展(肩を伸ばす)/外転(肩を外に開く)/内転(肩を内側に閉じる)/外旋(肩を外に回す)/内旋(肩を内側に回す)など、本来肩関節は関節の中でも非常に可動域の広い関節である)

しかし、五十肩による可動域の制限と激痛により、当然これらの動作は非常に困難になる。

肩の回旋動作と五十肩の痛み

血液透析に必要な手技動作の多くを患者自ら行う場合、腕や肩の可動域がある程度確保されていることを前提としていると思う。

したがって、五十肩の激痛によってスムーズに体位変換ができない状況は、在宅血液透析患者にとって深刻な問題であり苦痛だ。

しかし自己穿刺や抜針、止血といった工程を患者自らでこなすためには、痛みに耐えながらも必要な動作を何とか遂行しなければならない。

私のシャント肢は左腕。五十肩を発症したのは右腕(右肩)。

自己穿刺時のみならず、自己抜針時も自己止血時も、必然的に激痛の走る右腕(右肩)をシャント肢である左腕に向かってアプローチすることを余儀なくされる。

右腕は本来なら痛みが強過ぎて自力で動かすことはできない程。

透析以外で右腕を動かしたい時は左手で右腕(の袖)を持ってあげてリードするような状況。

にもかかわらず、自己穿刺をするにしても自己抜針するにしても抜針後の圧迫止血するにしても

脳天を突き刺すような激痛に耐えながら自力で右肩を動かし、必要な手技を行う。

もう地獄だ…。

在宅血液透析では医療スタッフがすぐ近くにいるわけではない。

そのため、痛みがあっても自分でなんとかするしかない。もう泣きたくなる。

ただ幸い、激痛が発症したタイミングと透析スケジュールに、透析中の最強最悪の痛みを避ける間隙があり、つまり

激痛が発症した翌日が非透析日であったという、タイミングの良さはあった。

とはいえ、五十肩の激痛がたった1日で和らぐわけはない。

たった1日非透析日があけたとて、多少の程度の差があるだけで翌日以降透析時激痛が走るのは変わらない。

能動的に自らの意思で自身の関節と筋肉を動かすことが、こんなにも痛く辛いもだったとは…

まとめ

痛みが発症してから、約2週間が経過した。

激痛が続く「急性期」は幸い2~3日ですんだ。

肩の状態を確認しながら、軽負荷のリハビリから根気強く地道に行い

現状、平常時の痛みはほぼ感じないレベルにまで回復。

ただ、発症前の可動域レベルまで戻るには、まだまだ時間がかかりそうだ。

冒頭にご紹介した私の姉の話を聞く限り

私は幸いにも"大事に至らなかった"のだと、ホッとしてます。

とはいえ、五十肩の激痛と向き合いながら「在宅血液透析」を行うという所業は、まさに地獄のような経験でした。

「もし在宅血液透析を行っている患者様の中で、同じように五十肩に悩んでいる人がいるならば…」

と声高に叫んだとて、あまりにもレアケースで自分でもわらけてくる。

「無理をせず、可能な限り負担を減らしながら透析を続けることが重要」

「痛みがひどい時期は決して無理をせず、必要であれば家族や介助者の手を借りることも考えたほうがよい」

五十肩の激痛Max状態で在宅血液透析するなんてのは、こんなキレイごとなど軽くすっ飛ぶほどの"荒行"でした。

それでも最後なので、あえてキレイごとをのたまわせていただくと…

「この体験が、同じような悩みを抱える在宅血液透析患者の参考になれば幸いです」

までお読みいただき、ありがとうございました。



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