現在透析患者で
在宅血液透析(HHD)導入を検討されている方々
現在通院の透析施設スタッフはもちろん
ウェブサイト、SNS等を通じ
HHDに関する大まかな情報はキャッチ出来ていると思います。
しかし、私自身もそうでしたが
実際にやってみて気づくこと
結構あるものです。
その一つが「騒音」。
持ち家の方、賃貸の方
戸建ての方、マンションの方
施設で見るあの透析機器一式が自宅に設置され動作する
なかなかイメージしにくいものです。
特に「音」は
周辺環境によって変わりますから。
我が家の❝透析室❞は
どれほどの「音」を放出しているのか?
簡易のスマホアプリではありますが
在宅透析の各フェーズ毎に「音」を計測してみました。
是非ご参考頂ければと思います。
なお
在宅血液透析の流れを概観されたい方
よろしければ下記
【在宅透析と設備】在宅血液透析(HHD)で気になる「騒音」_我が家で検証してみた
はじめに(測定環境)
自宅周辺の環境
首都圏内ではありますが
海と山に囲まれた閑静な街。
メインストリートから外れ
山道を少し上った場所に住居を構えているので
夜、特に夜中は静まり返っております。
測定時間帯
18時頃~夜中2時頃
測定機器
- スマートフォン:Galaxy S9
- androidアプリ:騒音測定器Sound Meter
測定条件(測定機器の設置位置)
透析前・後
- 高さ:約55㎝
- 透析機器及びRO装置からの距離:約20㎝
透析中
- 高さ:約70㎝
- 透析機器及びRO装置からの距離:約50㎝
比較値(騒音測定器Sound Meterより)
- 180㏈:スペースシャトルの打ち上げ
- 130㏈:飛行機のエンジン音
- 120㏈:苦痛を伴う音の強さ
- 110㏈:車のクラクション、工事現場
- 100㏈:列車の通過時の周囲の雑音
- 90㏈:騒々しい工場の中、掘削機
- 80㏈:地下鉄の騒音、掃除機
- 70㏈:騒々しいオフィス、電話着信音
- 60㏈:話の音、デパート店内の騒音
- 50㏈:静かなオフィス、換気扇(1m)
- 40㏈:静かな住宅街、図書館
- 30㏈:ささやく音、深夜の郊外
- 20㏈:木の葉の擦れる音、ささやき
注意点
今回の測定結果は、あくまで
スマホ無料アプリで計測した参考値
であること、くれぐれもご承知おき下さいm(__)m
もしこの記事をお読み頂いて
「うちの住環境は、どれ位なんだろう??」
と思い測定される場合は
上記ご紹介致しました同様のアプリケーションで
お試しすること、お薦め致します。
実は
他の無料アプリでも同様の条件で測定したのですが
数値そのものが若干異なります。
使い勝手の面も加味し、今回のアプリを採用したわけです。
液置換時・・・約60dB(+5~15)
- 60㏈:話の音、デパート店内の騒音
「液置換」を正確に説明するのは難しい。
正直、覚える気もありません( ̄▽ ̄;))
上述でご紹介した前記事でも分かるように
透析A液と透析B液を、RO装置経由で流れる清潔な水で希釈させ、
各々の患者に合わせた濃度の透析液を生成し、
透析機器本体の配管内を循環させる・・・
私の理解はこの程度です。
「液置換」の間には、透析液の生成の他に
機械がシステム系統を自己診断しているようで
それも含めて「液置換」と呼ぶんでしょうが。
それはともかく
騒音に関してのポイントは
透析機器本体とRO装置が
ともに作動している
という点でしょうか。
この場合の「透析機器本体が作動してる」とは
血液回路を装着し
血液ポンプにより回路内に生理食塩水を巡らす
いわゆる「プライミング」
も含みます。
透析中排出される音、といえばこの
透析機器本体とRO装置がともに作動している音
とも言えるでしょう。
❝+5~15❞としたのは(大した問題ではないのですが)
瞬間的にこの数値に跳ね上がる、という意味。
液置換と同時進行でプライミングをするわけですが
血液回路やダイアライザーを透析機器に装着する際
音量が若干プラスされる、ただそれだけのこと。
ちなみに❝+15❞となるのは
個装された血液回路の外袋を開封した瞬間の
「ベリ!・ベリ!・ベリ!」
という音が発せられた瞬間です。細かい話でした。
液置換終了時・・・約56㏈
- 60㏈:話の音、デパート店内の騒音
- 50㏈:静かなオフィス、換気扇(1m)
ポイントは
RO装置は止まっており
透析機器本体の待機音のみ
という点。
後述しますが
透析関連機器全ての電源がOFFの状態と比較すると
透析機器本体の待機音があることの煩わしさ
はあるかもしれませんが
機械の性能も日進月歩で進化しているようで
HHD導入当初、2013年に使用していた
我が家にとっての初号機に比べれば
現在の弐号機の出す、その待機音は
随分減音されているという、実感があります。
プライミング途中の場合は
RO装置が止まっていても
透析機器本体の血液ポンプは作動してはいますが
音はほとんど発していない
というのが、私の印象です。
鉗子で静脈側エアトラップチャンバーを叩く音・・・約72㏈
- 80㏈:地下鉄の騒音、掃除機
- 70㏈:騒々しいオフィス、電話着信音
これは番外編。
プライミングには
血液回路内を生理食塩水で❝洗浄❞すると同時に
血液回路内のエアを取り除く効果も含みます。
(※あくまで素人の認識ですので悪しからず)
回路内にエアが残る箇所を
指ではじいて飛ばすのですが
エアトラップチャンバーに貯留するエアを上方に逃がすには
鉗子で当該部位を「カン!カン!」叩きます。
その「カン!」という瞬間音が、約72㏈。
継続的な音ではないですが
全行程の中では一番
瞬発力のある音、と言えます。
ガスパージ時・・・約60㏈
- 60㏈:話の音、デパート店内の騒音
「液置換」とほぼ同じ。
生成された透析液が
ダイアライザー内を循環している点が違いですが
ほぼ同じ、ということは
透析液がダイアライザー内を循環している
そこのみにフォーカスした時の音は
ほぼ無い、と考えてよろしいのではないでしょうか。
ボタン音・・・約67㏈
- 70㏈:騒々しいオフィス、電話着信音
- 60㏈:話の音、デパート店内の騒音
これも番外編。
透析機器本体ディスプレイの各種ボタンを押すと
「ピッ!(ブッ!)」という音がします。
その瞬間音が、約67㏈。
上述の「鉗子で静脈側エアトラップチャンバーを叩く音」
と同様、継続的な音ではないですが
非常に通る音である、との印象です。
透析中・・・約56㏈~約70㏈
- 60㏈:話の音、デパート店内の騒音
- 50㏈:静かなオフィス、換気扇(1m)
透析機器本体とRO装置がともに作動している
という点「液置換」「ガスパージ」と同様ですが
この差は単に
測定位置が若干離れた、というだけ。
透析用チェアの背もたれを倒した状態の
自身の耳元で、測定しております。
RO装置のバルブ扉が開いている状態・・・約59㏈
- 60㏈:話の音、デパート店内の騒音
RO装置正面に小窓状の扉があって
そこを開けると、流量を調節するバルブが見えます。
つまり外カバーの内部と通じるわけです。
扉が閉まっていることで
RO装置の内部音が遮音されている。当然
無意味に開けたら音が漏れるわけです。
誰も好き好んで、透析中にその扉は開けませんので
参考記録、とうことで。
警報音・・・約70㏈
- 70㏈:騒々しいオフィス、電話着信音
透析中、様々な警報音が鳴ります。
- 静脈圧警報
- 気泡警報
- 透析液圧警報
- 最低血圧警報
「警報」というぐらいですから
❝ささやき声❞では困るわけです。
音色としては、上述の「ボタン音」と一緒ですが
「ボタン音」は瞬間音であるのに対して
「警報音」は継続音、よって
放置していると、かなり耳障りです。
ただ、これは
機器内の設定で住環境にあったレベルに調整できます。
(スタッフが調整してくれます)
ただ、危険を知らせてくれるわけですから
それなりの音量は必要かと。
透析(除水)終了時・・・約70㏈
- 70㏈:騒々しいオフィス、電話着信音
透析終了(除水終了)を知らせる音。
上記「警報音」は「ブーーーーー!」
終了音は「ブー!ブー!ブー!」
音色は一緒
耳障りの悪さも一緒。
この「ブー!ブー!ブー!」が嫌な人は
施設透析のようにメロディーに変えられます。
私の場合、メロディーにすると
「クリニックにいるみたい」
で嫌だったので( ̄▽ ̄;)
無機質なブザー音にしております。
メロディーにすると幾らか減音するんでしょうか?
透析機器洗浄中・・・約36㏈~約63㏈
透析が終わり
使用済みのダイアライザーや血液回路を取り外した後
透析機器の自動洗浄の工程に入ります。
透析用チェア付近・・・約63㏈
- 70㏈:騒々しいオフィス、電話着信音
- 60㏈:話の音、デパート店内の騒音
透析機器本体とRO装置がともに作動している
という点「液置換」「ガスパージ」と同様ですが
気持ちプラスαの音色が混じっている気がします。
発生元はなんなのか、専門的なことは分かりません。
その分がプラスされての63dB、ということか。
リビング・・・約54㏈
- 60㏈:話の音、デパート店内の騒音
- 50㏈:静かなオフィス、換気扇(1m)
洗浄が始まってしまえば、透析機器に寄り添っている必要はなく
リビングでくつろぎます。
恥ずかしながら、我が家のレイアウトをご説明すると・・・
2Fに洋室、和室そして寝室がありましたが
在宅血液透析を導入するにあたり
洋室と和室とを区切っていた壁をぶち抜き
ワンフロア化しております。
透析機器一式は、旧和室の端にあり
そのちょうど対角線上の位置
距離にして約4m離れた場所で
基本、くつろいでおります。
約54㏈と
透析機器至近距離よりは音量レベルは若干落ちますが
それでも
- 60㏈:話の音、デパート店内の騒音
- 50㏈:静かなオフィス、換気扇(1m)
ではあるので
❝静かな真夜中のひと時❞
というわけには、いきません。
リビングの外・・・約42㏈
- 50㏈:静かなオフィス、換気扇(1m)
- 40㏈:静かな住宅街、図書館
リビングのくつろぎ場から
一枚ドアを隔てた場所で計測してみました。
よ~く耳を澄ませば
洗浄中の音は認識できますが
もし、そんな事情を知らない人がその場に立ったら
音そのものに気が付かないのではないか
その程度の音量レベル。
寝室内・・・約36㏈
- 40㏈:静かな住宅街、図書館
- 30㏈:ささやく音、深夜の郊外
透析機器一式からは
距離もあり、間にはドア二つ。
初号機の頃は
寝室のドアを開けっぱなしにしていると
洗浄音が非常に気になりましたし
寝室のドアを閉めても
洗浄音が聞こえるといえば聞こえました。
しかし、現在の弐号機は優秀で
寝室では全くといっていいほど、洗浄音は感じません。
透析機器洗浄終了後・・・約36㏈
リビング・・・約36㏈
- 40㏈:静かな住宅街、図書館
- 30㏈:ささやく音、深夜の郊外
洗浄が終了すれば
RO装置の停止はもちろんのこと
透析機器の電源も落ちます。
我が家の一日の中で
人工音がほぼ無くなる時間に入ります。
寝室内・・・約36㏈
- 40㏈:静かな住宅街、図書館
- 30㏈:ささやく音、深夜の郊外
当然の、ほぼ無音状態。
今回計測して以外だったのは
寝室においては
洗浄中も洗浄終了後も
ほぼ無音だった、という事実。
ホント、弐号機優秀です。
まとめ
戸建て、マンション問わず
階上に透析機器設置を考えている方は
階下の住人に与える影響も気になるところ。
我が家の場合ですが
一階にいる家族から話を聞くと
感じる音で
「透析が始まった」
と分かるそうです。
機械音もさることながら
一階から水を汲み上げ一階に排出する、という
水の流れる音も、認識ポイントだという。
透析機器一式の下には一枚板を敷いているのですが
それはあくまで床にかかる圧力を分散させるためで
防音効果はあまりない様子。
ただ、何度も述べさせて頂いておりますが
透析機器の高い性能のお陰で
「騒音問題」は
考えている程、ネックにはならないのでは?
というのが、個人的な感想。
特に、RO装置の発生音について、壱号機と弐号機との差は歴然で
これは偏に、企業努力の賜物だと思います。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。