皆さん、こんにちは!DAISUKE(※当日は実名)と申します。
では、表題の件、進めてまいります。
私は、2013年に在宅血液透析を導入し、今年で10年目。
透析初手からHHDですので、「透析10年目」でもあります。
「在宅血液透析の広報」という点では、2020年からプロジェクト『腎生を善く生きる』と銘打って、「在宅血液透析及び腎移植に関し、それを経験した患者目線のLIVE感ある情報を発信する」という広報活動を、勝手にやらせていただいております。
発信する情報も、医療機関HPと、ある程度違いを見せるため、患者直発信の利点「(患者生活の)リアリティ」と「(その情報の)鮮度」は意識してます。
ただ、そもそも…「素人による医療情報発信の是非」はあるかと思います。当事者の一人としては「問題”ある”ケースは、ある!」と。特にSNS界隈で見られる「素人ー素人」の、謂わば”借り物の医学的知識”のやりとりは、同じ素人の私が見ていても「危険だな」と。
一方で「患者だからこそ発信できる情報もあるのでは?」との思いはありますので、プライベートルールを作り順守しながら、現在、”私的”広報活動を行っております。
活動内容は、いわゆるICT技術を使った情報発信です。YouTubeでは素顔を晒す勇気がないので、アバターでのコンテンツ、VTubeです。(チャンネル登録、よろしくお願いします。配信は㈬㈰21時、最近は㈯深夜にLIVE配信もはじめました)
そして、昨年の7月、AmazonストアよりKindle本を出版しました。タイトルは『在宅血液透析患者のリアル-導入から8年、透析回数2000回までの軌跡』患者の備忘録の域を出ない拙著ではありますが…加えて、同著の英語翻訳本、タイトル『Reality of HomeHemodialysis』も今年の8月に出版しております。にぎやかしに、是非覗いてみて下さい。
コンテンツは、私の「体験談」それ以上でもそれ以下でもありません。在宅血液透析が患者の"実生活に落とし込まれた時"、当事者として「まあ、こんな感じ」といったレベルの内容です。“生活臭”のするコンテンツを提供させて頂いております。
さて、今日の本題「広報活動の成果(実態)と課題」ですが…正直、苦戦しております。
在宅血液透析という“超ブルーオーシャン”領域ながら、「よくやってるな」と思う一方で、隣の芝生に目を向けると、他領域で「患者系インフルエンサー」と呼ばれる方々は世に多くいらっしゃって、彼等と比べると、YouTubeチャンネル登録者数やTwitterのフォロワー数等では、圧倒的劣勢を強いられています。
では、広報活動が上手くいっていない原因(多くありますが)今日は4点にしぼりました。初めの2点は”教科書通りの”課題、あとの2点は私の”独断と、かなりの偏見”を加味したものですが、ただ、実際に活動を通じて強く感じている「壁」なので、そこをお話します。
まず一つ目「在宅血液透析」に限定された視聴者の”パイ”の問題。もちろん、データ収集したわけではないですが…自分を含めた、現在の在宅血液透析患者数から、想像に難くないかなと。
二つ目、医の素人である私自身に、医療情報発信者として「権威の裏付け」がない、という問題。
この点、他領域の患者系インフルエンサーの中には、医療者と協業することで権威性を担保している方々もいらっしゃいます。ただ、そのコンテンツの多くは、結局「医療者発の情報」になってしまっている印象で、「自分の体験を自分の言葉で伝えたい」との私の思惑とは異なりますので、一概に比較はできないかなとは思いますが…
さて、あとの二つ。これは「在宅血液透析に関する情報発信」に限定されません。非医療者が(私が)広義の医療情報発信活動をする上で感じている壁です。
一つ目「Twitter内の”政治”に順応できなかった」。
医者ではない、芸能人著名人でもない、イチ患者が発信するコンテンツを、自身のアカウントパワーのみで拡散するには限界があります。一番手っ取り早いのは、多くのフォロワーを抱える人に”気に入られて”、彼等に、TwitterでいうところのRTやコメントを頂いて、コンテンツを拡散してもらえば良いわけですが…いわゆる”Twitter民”と呼ばれる方々と良好な関係性を維持するには、ある種の「政治力」マメさと”ヨイショ”も必要な気がしてます。
私は、毎日の”ご挨拶”ツイートを、したり返したり、といったマメさはない、他者を”ヨイショ”する気もない。なんなら、強力なアカウントパワーを持つ人であっても、その言動にイチ患者として違和感を抱けば、その違和感を、自身のメディアで表出する始末ですから…。これでは拡散してもらえるわけはありません。この点、自分の考えを多少改める必要はあるかとは思いますが、「Twitter民」に頼らない、情報拡散の術を現在模索中です。
二つ目「素人が素人に求めている情報は、他にあるのでは?」という点です。
ここで一つ、(突然ですが)野球で例え話をさせてください。
ショートストッパーが打球正面で難なくゴロをさばくシーンと、派手にダイビングキャッチするシーン。前者はベテラン選手で、打球の軌道を事前予測し、早めにポジショニングを修正し難なくゴロをさばく。一方後者は経験があさく、打球へのリアクションが遅れ、苦し紛れのダイビングキャッチで何とかアウトをとる。
さて、どちらに観客は湧きますか?
現在、私が情報発信する上で意識しているのは「自己の経験を正しく”事実描写”する」こと。
先ほどの野球のシーンに置き換えると、当日の球場、天候、グランド状態、バッター、シチュエーション等の事実を正しく描写することを意識しています。結果として、コンテンツとしての面白みは、ない。
一方で、世の素人が素人に求めているのは、やはりダイビングキャッチする選手の姿ですよ。泥だらけのユニフォームや光る汗、はたまた、プロ入団前、高校3年間休まずお弁当を作り、送り迎えをしてくれた母の愛、等々…事実は事実、その周囲を「愛」「絆」といった、いわば”非論理的”な要素で装飾されたストーリー。
つまり、同じ患者の「体験談」であっても、「苦難や苦悩を乗り越えて今がある!」といった「美談」であったり、「無茶して死にかけた」といった「武勇伝」のウケが良い印象です。
この点、今の自分は、視聴者のニーズに応えていないことになりますが、そもそも、私が患者の「美談」や「武勇伝」が好きではないので、私同様、それらを求めて”いない”方々もいらっしゃる、と信じて、硬派に活動するしかないかと。
最後、今後に向けてですが。
絶対的患者数の少ない在宅血液透析の当事者としての情報の「希少性」と「需要」は一定程度見込めるとはいえ、
(先ほど申し上げた)「在宅血液透析」に限定された視聴者の”パイ”の問題は、如何ともしがたい。より広い層に情報をリーチさせるためのコンテンツ選定には、継続的再考の余地は多いにあるかなと。実際、「腎移植」関連情報のインプレッション数は、在宅のそれと比べて多いですから。
さらに、私自身に医療情報発信者として「権威の裏付け」がない点も、如何ともしがたい。
今の検索エンジンでは、非医療者の医療系コンテンツは上位表示されません。YouTubeなどは、強者がよりレコメンドされるアルゴリズムなので、弱者には正直厳しい。Twitterでさえ、(先ほど申し上げたように)非医療者がコンテンツを拡散させるには、強者に寄生するがごとく、したたかな政治力が求められるという現実…難しい環境なので、皆様に是非お願いしたいのは「今回で懲りずにまた、こういった場にお声がけ下さい!!」と申し上げるしか、今はないですね。
医の素人である医療情報発信者としては、拍が付く?というのもありますが…
なにより、学会という、医療情報にとっては「正しい場所」から「正しい形」で、自分が伝えたい情報が拡散する可能性が広がると思っております。(聞くところによると)来年の11月にも第25回があるとのことですので、「是非、その節はお声がけ下さいませ!」とのお願いを申し上げて、私のプレゼンを終了させていただきます。
最後までご清聴ありがとうございました。
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